[No.93] ロボコップ(RoboCop) <82点>





キャッチコピー:『人間か!?マシーンか!?底知れぬ戦闘能力を秘め 巨大な犯罪ゾーンに出現した史上最強のバイオレンス・ヒーロー!』

 冥府から蘇った鋼鉄の警官<オフィサー>、彼の名は…

三文あらすじ:犯罪に蝕まれた近未来のデトロイトでは、巨大コングロマリット企業オムニ・コンシューマ・プロダクツによって、警察を含めた街全体が支配されていた。デトロイト警察に配属された警官アレックス・マーフィ(ピーター・ウェラー)は、相棒のアン・ルイス(ナンシー・アレン)と共に一連の警官殺しの犯人クラレンス・ボディッカー(カートウッド・スミス)とその一味を追跡するも、凶弾に倒れる。記録上死亡したマーフィだったが、犯罪撲滅のため”警官の機械化”を計画していたオムニ社の手で改造を受け、今、鋼鉄の警官”ロボコップ(RoboCop)”として蘇る・・・


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 1987年、アメリカで公開され、当時のサイバーパンクブームの後押しも受けて大ヒット。本国のみならず日本を含めた全世界で一躍”ロボコップブーム”を巻き起こした名作が、言わずと知れた本作『ロボコップ』である。

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 まずは予告編だが、終盤で使用されているのは、明らかに『ターミネーター』のテーマ。同作の公開が1984年だから、同じ”ロボット”ということで、既に大ヒットしていたテーマを使ったのだろう。

 そして、キャッチコピー。日本版は、かなり長ったらしいもので時代を感じさせてくれる。注目は、英語版だ。

 ”PART MAN, PART MACHINE, ALL COP.”

 良い日本語訳が思い浮かばないが、これは秀逸!本作のテーマを端的にぎゅっと凝縮した名キャッチコピーである。

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 では、本編について言及する。

 一言で言ってしまえば、めちゃくちゃおもしろい!!”ロボコップ”というと、今ではどこか子供っぽいというか何というか、いわば”ネタ的な雰囲気”が付いて回るコンテンツ。そんなイメージから、本作を敬遠しているという人も中にはいるのではないだろうか。かく言う筆者も、SF好き、アクション好きと自称しながら、本シリーズに関しては今回が初鑑賞。完全に食わず嫌いであった。

 蓋を開ければ、さすがオランダが生んだ変態監督ポール・バーホーベン。ヒーローものとは思えないハードかつスタイリッシュな描写のオンパレードに驚かされる。とはいえ、本作においては、彼の持ち味である”エロ”&”グロ”はかなり控えめ。『氷の微笑』のようなモザイク付きセックスもなければ、『スターシップ・トゥルーパーズ』のような人体切断ショーが行われることもない。”グロ”に関しては、ディレクターズカット版においてショットガンで腕がはじけ飛ぶという描写があったり、有毒廃液に突っ込んだ敵がドロドロの醜悪な姿へと変貌するといった見せ場が無いではない。しかし、”エロ”に関しては、唯一序盤の警察署内のロッカールームにおいて、女性警官のおっぱいが丸見えになる、といった程度の描写しかなく、まだバーホーベンの初々しさを垣間見ることが出来る反面、男性ファンとしては、少しもの悲しい点でもあろう。

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 しかし、描写の過激さが抑えられている一方で、本作はドラマ部分の完成度がすさまじい。後年における「このおっぱい、そして血しぶきだけを見てくれよ!」と言わんばかりのバーホーベンスタイルも魅力的ではあるが、スタイル確立前の本作は、彼がやはり才能に溢れた希代のフィルムメーカーであることを改めて実感させてくれる。

 クラレンス率いるマフィアから派手に痛めつけられ、絶命する警官マーフィ。折しも新作の法執行ドロイドED-209の失敗を挽回すべく、新たに”ロボコップ計画”を画策するオムニ社。ED-209を推すオムニ社のNo.2リチャード・ジョーンズ(ロニー・コックス)と”ロボコップ計画”の成功によって大出世したロバート・モートン(ミゲル・ファーラー)の確執も良い設定。この設定から、ジョーンズが実はクラレンスの黒幕であるという展開や自身の地位を奪おうとするモートンをクラレンスに始末させるジョーンズの非道さが波及的に導かれていくし、ラストでロボコップ vs ED-209という胸熱展開が生まれる。

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 遂に誕生した鋼鉄の警官”ロボコップ”。中盤までは、彼の無敵の活躍を描く。そして、中盤以降、消された記憶を取り戻し、とうとう自身の正体を知るロボコップことマーフィ。体を失い、妻と子を失い、人生を失った男の苦悩。この観点は当時からすれば斬新だっただろうし、特にターミネーター的なサイボーグ警官の単なる大活躍を期待した観客は、度肝を抜かれたことだろう。

 この”機械”と”人間”との板挟みもさることながら、彼にとって最も悩ましいのは、”警官”と”人間”との板挟み。クラレンス一味が自信の憎き敵であることを思い出すマーフィだったが、もとより彼は法執行者たる警官であり、特に今では”法の遵守”というオーダーがインプットされた”ロボット”である。クラレンス一味に関しては、結局”気合い”的なサムシングが働き逮捕することなく殺してしまうのだが、気合いでもどうにもならない最強のオーダー”指令4”をクリアする展開は、中々上手く出来ている。

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 激闘の末、クラレンス一味を抹殺したロボコップは、その足でオムニ社へ直行。会議室に乗り込み、ジョーンズ逮捕を試みる。しかし、最強のオーダー”指令4”とは、”オムニ社の役員に逆らうと回路が切断される”という致命的なもの。ロボコップは、この指令によって1度痛い目を見ている。自白の録画を公開され自棄になったジョーンズは、社長を人質にとりヘリを要求。銃を向けるも発砲できないロボコップ。ここで社長が一言。

 「ジョーンズ、お前はクビだ!!」

 なるほど!これでジョーンズは、もはやオムニ社の役員ではない!「どうも。」と感謝の意を述べて派手に発砲するロボコップ。蜂の巣のジョーンズは、転落して死亡。いや、そりゃあバカバカしい理屈ではある。取締役会開けよ!とか、株主総会開けよ!とか、登記残ってるケド!?とか、まぁ色々突っ込み方はあろう。でも、いいじゃないか。前振りからのオチ、伏線の回収。これがしっかり出来ている映画は、観ていて清々しい。

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 息子に見せるはずだった銃のクルクル収納を披露し、立ち去ろうとするロボコップ。その背中に社長が声をかける。「いい腕だ。名前は?」これも伏線回収。以前、かつての相棒ルイスに「あなた名前は?」と聞かれた際、ロボコップは答えなかった。しかし、今の彼は、あのときとは違う。ふり返ったロボコップは、一拍の後に口を開く。

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「マーフィだ。」


 なんというベタな展開!誕生以来初めての笑顔を見せるロボコップ、いや、オフィサー・マーフィ。ブラボー!!

 その他、気付いた点。

 ジョーンズが始末されるクライマックス。彼は、社長に「You're Fired!!」と言い渡され、直後ロボコップに発砲される(Fired)のだが、これはやはりジョークになっているのだろうな。

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 もう1点。“ロボットの警官”というのは、設定的にもビジュアル的にも懐かしの『特捜ロボ ジャンパーソン』に似ている。また、もっと昔では『宇宙刑事ギャバン』にそっくり。実際、本作制作時、スタッフは『ギャバン』サイドにデザインの使用許諾を得ているらしい。

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 しかし、”人間+ロボット”という構図で思い出すのは、やはり我らが鋼鉄のヒーロー”アイアンマン”ではないだろうか。特に、ロボコップのホルスターが右大腿部から出現する際のメカニカルなビジュアルは、アイアンマンのあの”カチャカチャシステム”の元祖に思える。そして、演出面で酷似しているのが、前知事立て籠もりのシークエンス。ここでロボコップは、前知事が立て籠もっている部屋の外から壁を貫き、壁に背を付けている前知事を部屋の外に引きずり出すのだが、これは、まさにアイアンマン初出撃時、紛争地帯の村を荒らすゲリラを建物の外に引きずり出した、あの演出と同じ。もしかしたら、アイアンマン制作チームがロボコップにオマージュを捧げたのかもしれない。

点数:82/100点
 格好いいロボ有り、熱い展開有り、上質なドラマ有り。子供に観せるには暴力描写がハードに過ぎるが、特に苦手という人以外なら充分鑑賞に堪えうる程度。ガキっぽいなどと敬遠せずに、是非1度観てもらいたい傑作である。

(鑑賞日[初]:2012.6.6)

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Comment

  • もやし
  • URL

いい記事だった!
ロボコップの魅力を余すところなく楽しんでくれたみたいでファンとして嬉しいよ!

  • Mr.Alan Smithee
  • URL
Re:

ありがとうございます!
ストーリーラインは純粋な少年の心で楽しめ、残酷描写はB級好きな大人の心で楽しめる素晴らしい作品でした。
リメイク版も今から楽しみです。

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