[No.101] スターシップ・トゥルーパーズ(Starship Troopers) <85点>

Starship Troopers



キャッチコピー:『奴らは群れでやってくる!』

 世にも”グロテスク”なB級SFの怪作。
 進め!バーホーベン愚連隊!!

三文あらすじ:民主主義崩壊後の世界では、新たに地球連邦が組織され、軍歴の有無によって「市民」と「一般人」が差別される”ユートピア社会”が築かれていた。高校生ジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)は、恋人カルメン・イバネス(デニス・リチャーズ)の後を追い軍への入隊を決意。両者の友人でエリートのカール・ジェンキンス(ニール・パトリック・ハリス)は情報部へ、優秀なカルメンはパイロット候補生として艦隊アカデミーへ、アメフトしか脳のないリコは機動歩兵部隊へと配属されるが、昆虫型エイリアン”アラクニド・バグズ”との戦闘が全面戦争へと発展し、数百光年の彼方に散ったかつての友人たちは、今再び集結する・・・


~*~*~*~

 
 監督は、以前紹介した『ロボコップ』ボール・バーホーベン。その他の代表作として『トータル・リコール』や『氷の微笑』があることからも分かるように、エロ・グロならお手の物、オランダが生んだ変態監督との異名を欲しいままにする名監督だ。

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 前回紹介した『2012』がローランド・エメリッヒの持てるもの全てを注ぎ込まれた作品であったのと同様、本作は、奇才ポール・バーホーベンが自身の趣味を爆発させ、これまで培ってきた才能・技術・魂を全て注入した作品であると個人的には思う。したがって、本作に詰め込まれた要素の種類は非常に広範だ。

 まず、大枠は、SF映画。民主主義崩壊後という近未来を舞台に、エイリアンと人間の壮絶な死闘を描く。このエイリアンとの死闘は、とてもグロい。つまりスプラッター映画の要素だ。極めて攻撃的なフォルムのバグは、人間の四肢という四肢をいとも簡単に切断。腕や足や首が画面狭しと飛び回る。さらに、軍による管理社会に対する反戦風刺映画としての側面。全編軍のプロパガンダ放送という形式を採りながら、その実、軍や戦争やアメリカ社会への揶揄を含んでいるという構成だ。

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 これだけならただのハードSF映画なのだが、なんと青春学園ドラマの要素が無理無理ぶち込まれている。物語序盤、未だ高校生のリコら主要メンバー。勉強の成績は良くないが実直な性格で、アメフトではスタープレイヤーというベタな熱血漢のリコ。器量良し、性格良し、成績良しと3拍子揃ったマドンナのカルメン。彼女はリコと付き合っているが、キャリアと恋愛をきっぱり分けたいという性格上、高校の間はキス以上を許さない。そんな”男より仕事派”のカルメンと、彼女に終始ヤキモキしながらも惚れているリコ、という2人の関係は実にベタベタ。高校卒業パーティの場面、リコの耳元で「今夜、パパは留守よ。」と囁くのも大変ベタで素晴らしい。カルメンは、戦艦だけでなく男の舵取りも上手い才女である。

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 さらに、高校時代リコと同じアメフトチームのプレイヤーであり、入隊後も同じ小隊に配属される女性ディズ・フローレス(ディナ・メイヤー)。やんちゃでお転婆、負けん気も強いという彼女は、カルメンとは正反対ながらも中々の器量良し。そして、高校時代からずっとリコにアプローチをかけている。一方、カルメンと同じ艦隊アカデミーにいるのが、ちょっといけ好かない感じのイケメン男子ザンダー(パトリック・マルドゥーン)。”ザンダー・ゾーンにようこそ”でおなじみのザンダー・ケイジとは似ても似つかない、なんだか鼻につくイケメンであり、リコの恋敵である。もう1から10までベタな学園ドラマだ。もちろん、リコとザンダーが殴り合うという青春シーンもある。

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 以上のように本来出会うはずのない様々なジャンルが一同に会した本作。あたかもごった煮の闇鍋であるかのような、ある種異様な様相を呈している。筆者が本作を”グロテスク”と形容したのは、そういう訳だ。一言で言うなら『スクール・ウォーズ』を『スター・ウォーズ』テイストにして『漂流教室』と混ぜ合わせたような映画

 しかし、そんな一見とても成立しそうにない映画が、なんとも奇妙なバランスの上で完璧に成立しているというところが本当にスゴイ。ひとえにバーホーベンの類い希なる才能の成せる業と言う他無いだろう。

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 また、男子にはうれしい”胸熱展開”が随所に用意されているのも本作の見所の1つ。特に、高校時代の厳格な先生が実はリコらが配属された部隊の伝説の名匠だった、という展開はシビれる。教師時代には何も装着していなかった欠損した左腕にメカメカしい義手を装着した”フルアーマード・ラズチャック先生”の登場シーンは必見だ。

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 ちなみに、ラズチャック先生を演じたマイケル・アイアンサイドは、カナダが生んだ変態監督デヴィッド・クローネンバーグの初期作品『スキャナーズ』において、世界征服を目論む最強の能力者ダリル・レヴォックを好演したカルトSF界の名優である。

点数:85/100点
 正直めちゃくちゃへんてこりんな映画で、手放しで人に勧めると変人だと思われかねない。しかし、そのへんてこりんさが逆に監督の希代の才能をこれでもかと思い知らせてくれる大変素晴らしい作品でもある。バーホーベン監督のために”命などくれてやれ”!

(鑑賞日:2012.6.16)

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