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2012

[No.107] スパイダーマン(Spider-Man) <78点>

CATEGORYアメコミ
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キャッチコピー:『運命を受け入れろ。』

 でもヒーローになりたい。ただ1人、君にとっての。

三文あらすじ:ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)は、同級生でお隣さんのM.J.ワトソン(キルスティン・ダンスト)にずっと恋心を抱きながらも話しかけることすら出来ない冴えない高校生。ある日、社会科見学で研究所を訪れたピーターは、遺伝子操作によって誕生した”スーパースパイダー”に噛まれ覚醒、スーパーヒーロー”スパイダーマン(Spider-Man)”として生まれ変わる。しかし、同じ頃、ピーターの親友ハリー(ジェームズ・フランコ)の父にして軍事企業の社長ノーマン・オズボーン(ウィレム・デフォー)は、試作段階のパワー増強剤を自ら服用、残忍な悪鬼”グリーン・ゴブリン”と化し、スパイダーマンを狙い始める・・・


~*~*~*~

 
 いよいよ今週土曜日公開(3Dのみ前週末に公開していたらしいが、そんなふざけた先行上映は無視する。)、21世紀アメコミ映画ブームの先駆け『スパイダーマン』3部作を装いも新たにリブートする新シリーズ『アメイジング・スパイダーマン』。監督が『(500)日のサマー』で高い評価を受けたマーク・ウェブだとか、ピーター・パーカーを演じるのが演技派のアンドリュー・ガーフィールドだとか、ヒロインであるグウェン・ステイシーを演じるのが今最も注目の若手女優エマ・ストーンだとか、そういった様々なことで連日メディアを賑わせている、今年公開される大作の中でもかなり期待大なブロック・バスターである。

 ちなみに、同作において筆者が最も注目しているのは、新たなるヴィラン”リザード”を演じるリス・エヴァンス『ノッティングヒルの恋人』における”血が大好き”とのメッセージが、このような形で実現するとは驚きだ。スパイキーの個性的な演技に期待したい。

 という訳で、映画界に多大なる功績と影響を残した前シリーズを一気におさらい。まずは、スパイディ誕生秘話の第1作『スパイダーマン』だ。

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 本作は、筆者にとって中々に思い出深い作品である。というのも、筆者が本作を鑑賞した劇場は、あの梅田ブルク7。筆者が愛聴していたABCアシッド映画館がオープニング試写として『突入せよ!あさま山荘事件』の上映を主催し、回収率9割越えという奇跡の数字を叩きだした、あの映画館。そして、何を隠そう筆者が大学生になって初めてしたアルバイトが、梅田ブルク7でのフロア業務だったのである。採用時の面接で「最近当シアターで観た映画は何かありますか?」と聞かれ、観に来たのは4年も前であるにも関わらず「『スパイダーマン』です。」と毅然と答えたのも今や昔。いい思い出である。

 さて、まずは、そんな本作のスタッフについて。

 まず、監督は、『死霊のはらわた』シリーズでおなじみサム・ライミ。本作のような超ヒーロー大作にカルト的な人気しか有していなかったスプラッター・ホラー監督を起用するというところが当時斬新だった。この趣向は今でも受け継がれているようで、リブート版においても、アクションのイメージなど皆無なマーク・ウェブが監督として起用されている。

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 次に、スパイダーマンことピーター・パーカーを演じるのは、ナイーブ青年トビー・マグワイア。本作以前の彼と言えば、『カラー・オブ・ハート』だとか『サイダーハウス・ルール』だとかのイメージが強く、すごくナイーブでセンシティブな演技派俳優という位置づけだった。そのような位置づけは今も変わっていないかもしれないが、ピーター・パーカーの苦悩までしっかり描くという本作のコンセプト的に、トビーの起用は、大英断であり大成功だったと言えるだろう。また、リブート版でピーター・パーカーを演じるアンドリュー・ガーフィールドの起用も、どこかしらドビーに似通ったキャスティングと言える。『ソーシャル・ネットワーク』のエドゥアルド・サベリン役で一躍脚光を浴びた彼は、その後『わたしを離さないで』でも極めてナイーブな役柄を演じきっている。『ダークナイト』のようによりシリアスな物語になる、というリブート版において、彼がどのような演技で魅せてくれるのか、期待が高まるところ。

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 最後に本作のヒロイン、M.J.ことメアリー・ジェーンを演じるのが、本作で最も物議を醸したキルスティン・ダンスト。子役出身でコンスタントに良作へ出演する彼女だが、どうもこう、高校生から大学生、しかもニューヨークで舞台女優になるようなM.J.を演じるには”おばさんくさい”。というか、表情がなんか”邪悪”

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 「ロードショー」のデフォルメされた挿絵の横に「これでも笑ってるの。」と吹き出しが出ていたことが、今でも忘れられない。公開時には、もっと辛辣な意見も多くて、普通に「いや、ってゆうか、ブサイクじゃない?」と言っていた人も多かった。

 では、本作の中身について若干言及していく。

 冒頭は、蜘蛛の糸をあしらったスタイリッシュなタイトルロール。最近は、ストーリーが始まる前のこういう”長いタイトルロール”も珍しくなってしまったが、この時間は、観客がこれから始まるめくるめく映画の世界に思いを馳せる大切な時間。”ゆとり世代”の諸君は、我慢して観るように。何より、本作については、長い冒頭の時間も格好いいビジュアルと音楽で楽しめるはず。

 ちなみに、音楽を担当するのは、『ダークマン』でライミとタッグを組んだダニー・エルフマンである。やはり彼の楽曲は、格好良く怪しげでステキだ。

 タイトルロール明け、主人公ピーター・パーカーのモノローグ。

 「This, Like Any Story Worth Telling, Is All About A Girl.」
 (これは、1人の女の子の物語だ。)

 そう、本シリーズは、あくまでもM.J.という1人の女の子の物語なのであり、あくまでもピーター・パーカーが、M.J.にとっての”ヒーロー”になろうとする話。

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 ピーター・パーカーは、ブルース・ウェインやトニー・スタークのように自ら欲して超能力を手にした訳ではない。彼は、たまたま蜘蛛に噛まれ、期せずして超人的な身体能力、鋭敏な第6感、そして手首から射出されるスパイダー・ウェブを手に入れただけだ。この点が、彼のやや特異なところであり、”能力”という形式に対して”気持ち”という実質がついて行っていないことから、彼の苦悩が生まれる。ある日突然に特殊能力を得てしまったはいいが、“なぜヒーローにならなければならないのか”、そして、“なぜヒーローであり続けなければならないのか”は分からない。これはピーターというキャラクターの悩みでもあり、作品を鑑賞する我々の疑問でもある。この問いに対する答えの一つが最愛の人M.J.の存在。憧れの彼女を守るため、彼女に相応しい“男”になるため、彼は、葛藤の中で“ヒーロー”への道を模索していく。

 もう一つ、ピーターを“スパイダーマン”たらしめる支柱が、次の格言。

 「With Great Power Comes Great Responsibility.」
 (大いなる力には、大いなる責任が伴う。)

 ベンおじさんが語ったこの言葉は、ピーターを成長させ、彼を真の”ヒーロー”へと昇華させていく。

 スーパーヒーロー”スパイダーマン”として、彼が圧巻の活躍を見せるのは、やはりラスト、クイーンズボロブリッジでの戦い。二重人格の悪鬼”グリーン・ゴブリン”に、最愛の人M.J.とロープウェーに乗る10人ほどもの人々を同時に人質にとられるスパイディ。この本作最強のヴィランを演じるウィレム・デフォーも、相変わらず味ありまくりな良い演技。

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 橋の上で人質となった両者を吊り下げるゴブリンは、スパイディに対し”ヒーローの脆さ”を突きつける。1人の女性と数人の乗客。全てを救おうとする”ヒーロー”は、どちらかを犠牲にしなければならない状況において、矛盾を来たし、崩壊する。

 高らかに笑い、両者を落下させるゴブリン。スパイディが救出に向かうのは、M.J.だ。やはり、”ヒーロー”としての彼は、一義的にはM.J.にとってのヒーローに他ならない。

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 しかし、彼の格好いいところは、結局どっちも助けてしまう、というところ。筆者は、以前”ヒーロー”を、”他者の救済のため己を犠牲にする精神”と、”想いを実現するための力”の両方を持つ者、と定義したが、今改めて再定義を試みるとするなら、”最愛の1人と複数の他人の命の天秤において、どちらも救うことの出来る能力者”ということになろう。それくらい、本作のこのラストシークエンスは、圧巻の力業であり、ヒーロー好きの心を熱くさせる。とはいえ、似たような二者択一を採用した『ダークナイト』の方が、作品のテーマをより克明に描き出して見せたことは周知の通りである。

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 そのようにして、真の”ヒーロー”へと昇格したスパイディは、愛しのM.J.からの告白も鉄の意志でお断りする。そこにあるのは、正体をバラすことで自分の敵が彼女の命を狙うことを防ぐ、という工藤新一イズムだ。

 そして、彼はラストシーン、確固たる決意の下、再び独白する。これは、M.J.に関する上記独白と併せて冒頭で行われた「僕が誰かって?ん~…ふにゃふにゃ…。」という煮え切らぬ一人語りに対応している。

 「Who Am I? I'm SPIDER-MAN.」
 (僕が誰かって?”スパイダーマン”さ。)

 格好いい!まるで、トニー・スタークが記者会見の席で言い放ったかのような、シビれる台詞。彼は”ピーター・パーカー”であることを止め”スパイダーマン”となった。それは、紛れもなくヒーローに必要とされる”自己犠牲”の精神。また1人、ヒーローが誕生した。

点数:78/100点
 正直、勢いは良いものの、随所に”粗”の見え隠れする作品ではある。今回は書かなかったが、”火事場での救出シークエンス”などは、取りも直さず”遡及的にガッカリシークエンス”だし、何より話の主軸であるはずのヒロインM.J.が、『GODZILLA』のオードリーに勝るとも劣らない”クソ女”である、ということも、本作に対する手放しの賞賛を阻害させる要因だ。とはいえ、今日における”アメコミブーム”の礎を築いた本作の功績はやはり計り知れないし、大傑作『スパイダーマン2』を語る上で不可欠な作品である以上、アメコミ好きにとってのバイブルには違いない。『アメイジング・スパイダーマン』は、本シリーズと一応関係の無いリブート版ではあるものの、同作鑑賞前の予習として、あるいは、鑑賞後の復習として、未見の人には是非1度鑑賞してもらいたい作品である。

<おまけ>
 本作のブルース・キャンベル。

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 ピーターがM.J.の気を引くために参加した”賭けプロレス”の司会者。名も無き役柄ながら、作中唯一原タイトルである”ジ・アメイジング・スパイダーマン”との言葉を口にした人物であり、何を隠そう”スパイダーマン”という名前の考案者である。

(鑑賞日:2012.6.26)










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