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28
2012

[No.110] 88:88 <88点>

88882.jpg

キャッチコピー:unknown

 ヴァル、あなた疲れてるのよ・・・。

三文あらすじ:ヴァル(Rachael Kahne)という女性が、何かに怯えるように“準備”をしている。恋人のマーク(Ramon De Ocampo)からの電話も無視して、ベッドを固定し、ドアには幾重にも鍵を取り付ける。そして、時計が88:88というあり得ない時刻を示したとき、彼女の部屋に“何か”が訪れる・・・

<本編(13分59秒)>

※歯車の横のアイコンを押すと字幕表示されます。


~*~*~*~

 
 こいつはおもしろい。

 まず、いきなりヴァルが自宅を厳戒態勢に整えていく様を淡々と描写していく、という手法が良い。確かに、雰囲気自体は『モンスターズ/地球外生命体』とかその辺の“オシャレB級SF”のテイストで、近年では特に目新しいという訳ではない。しかし、訳も分からないままストーリーに引き込まれていく、というのはやはりワクワクするし、本作には、ポカンとした観客を引き込んでいくだけの演出力がある。

 昼日中から一心不乱に本格的な日曜大工に挑む女性というだけで既に不気味さが漂っているが、その大工内容がまた恐い。一体彼女は、何に怯えているのか。畏怖と期待が膨らむ。

 徐々に明らかになっていくのは、彼女が“何か”の調査をどこかの機関に依頼したもののその結果は“不確定”であった、ということ。そして、彼女の読む雑誌から推して量るにその“何か”が宇宙に関係しているらしい、ということ。さらに、恋人マークからの電話から、ヴァルがここ最近引きこもっていて連絡がつかないことと、おそらく彼女は一度マークに“何か”の存在を話したが、彼は信じてくれなかった、ということが理解される。

 そして、いよいよ就寝の時。足首もがっちり、体もがっちりとベッドに固定し、睡眠薬を飲んで夢の中へ。デジタル時計が無機質に明滅し、表示される“88:88”。突如部屋中を煌々と照らす光。不気味な震動と響き渡る快音。ワクワクは最高潮だ。

 昼間、ヴァルが苦労して強化した防犯設備が次々と外されていく演出も上手い。物理的に強力な力で派手に破壊するのではなく、謎の能力によって“静かに優しく”外されていく。最後まで残った右足首の命綱がそっとパージされてぶらんと垂れ下がるヴィジュアルも、彼女の絶望を良く表現できている。

 本作で最も物議を醸すのは、当然“何か”の正体であろう。結局、何らその正体が明らかになることはないのだが、ドアの隙間から見えたあの“手”。いかにもなエイリアンの左手であり、いささかB級テイストである。これが見えた瞬間、一気に冷めてがっかりしてしまった、という人もいるのではないだろうか。B級SFをこよなく愛する筆者としては、もちろん諸手を挙げて賞賛したいところ。むしろ、エイリアンも片手だけなどと出し惜しみせずに、諸手を見せてくれればよかったのに。

 昼間の防犯対策の中で唯一その用途が不明であった“鏡”も、きちんとエイリアン撃退用のトラップとして使用されており、しっかり伏線回収がなされている。

 本作でエイリアンの正体に次いで物議を醸すのは、やはり“オチ”ではないだろうか。結局、作中では、エイリアンの正確な正体や彼らの動機、ヴァルと彼らのこれまでの経緯など、その一切が不明のまま。おまけに、ラストで変異した“ガラス玉”の正体も全く分からない。外界との連絡を絶ってエイリアン対策に専心していたヴァルがやおらマークに電話を掛けていることから、あのガラス玉は、エイリアン襲撃の終焉を意味する何か、あるいは、エイリアン撃退の決定打となる何かであると推測される。

 まぁ、謎は謎のまま残すのが紳士の嗜みである。特にショートフィルムにおいてはなおさらだ。ちなみに、筆者としては、本作後、ヴァルとマークがさながらモルダーとスカリーのように、ガラス玉を手がかりにしてエイリアンの謎を暴き、追い詰めていく、という続編を期待している。

点数:88/100点
 点数は、まぁ正直シャレも入ってはいるものの、極めてよくまとまった秀逸なショート・フィルムであることは間違いないだろう。しかし、就寝前に自らそのナイス・バディをきつく縛るヴァルを見ていささかのエロスを感じてしまった筆者もまた、モルダー同様少し疲れているのかもしれない。

(鑑賞日[初]:2012.6.28)





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Tag:エイリアン侵略系SF これが女の生きる道

2 Comments

ナイシトール  

大きなストーリーの内の、この14分を切り取ったというところに面白さを感じます。「見て欲しいものがあるの」、ここ笑っちゃいました。

2012/07/13 (Fri) 21:11 | EDIT | REPLY |   

Mr.Alan Smithee  

Re:

この部分だけ切り取ったのに、前後がちゃんと想像出来るところに監督の才気を感じますね。

2012/10/31 (Wed) 20:31 | EDIT | REPLY |   

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