[No.11] ザ・タウン(The Town) <80点>

The Town



キャッチコピー:『ここは全米最悪、強盗と犯罪の街(タウン)。』

 必死で生きろ。自分の”罪”に、追いつかれないように。

三文あらすじ:全米一銀行強盗発生率が高い街ボストン”チャールズタウン”で生まれ育ったダグ・マクレイ(ベ ン・アフレック)は、幼なじみのジェム・コグリン(ジェレミー・レナー)らとともに銀行強盗を生業としていた。ある日襲った銀行で人質に取った女性支店長クレア・キーシイ(レベッカ・ホール)をいったんは解放するも、口封じの必要性を検討するため、正体を隠して接触を続ける内、次第に彼女に惹かれていくダグ。街(The Town)を抜け出し彼女とともに生きることを望むも元締めの脅迫により最後の仕事を余儀なくされた彼に、FBI捜査官アダム・フローリー(ジョン・ハム)の捜査の手が伸びる・・・

 
~*~*~*~

 
 ベン・アフレック監督、脚本、主演。彼の映画は相変わらずよくできている。本作は、筆者の大好きな”銀行強盗もの”。銀行強盗、特にしっかりとしたプロ意識を持ち、無用の殺生を避けるスマートな強盗はカッコイイ。筆者のオールタイム・ベスト『ヒート』におけるニール・マッコリーや、伊坂幸太郎の小説『陽気なギャングが地球を回す』における強盗チームなどはその好例だ。



 本作でベン・アフレック演じるダグは、街の雰囲気の中でなんとなく銀行強盗になった感が無いでは無いが、人は殺さないという信条の下、しっかりと事前の計画を立て現場では臨機応変な対応を見せるスマートな強盗だ。そんなダグとは違い、強盗仲間、とりわけ幼なじみのジェムはいわゆる”ごろつき”といった感じ。過去に殺人で服役していたし、強盗中もすぐ人を撃つ。彼は、犯罪に支配された街”チャールズタウン”を象徴する存在として、ダグが足を洗う上での重い足枷となる。本作は、ダグがFBI捜査官のアダムから逃げる過程を描くとともに、ジェムや元締めが象徴するチャールズタウン、そしてチャールズタウンが象徴する“犯罪”、ひいては、“自身の過去の罪”からの離脱を描く。



 銀行強盗ものの金字塔として、先ほども言及した『ヒート』がある。そして、同じ銀行強盗を描いた映画として、『ヒート』と本作はいくつかの共通点を持っている。まず、同じようなシーンやプロットが見受けられる、という点。『ヒート』において、一番の目玉とされた12分間にもおよぶ銃撃戦。本作でも包囲されたダグらが展開する市街地での銃撃戦が、アクション面で一番の盛り上がりとなっている。



 また、前者において、シャーリーンが夫のクリスを逮捕するための囮にされるシーン。FBIが自宅内で待機する中、シャーリーンは帰宅したクリスと対峙し、クリスにだけ分かる合図でFBIの存在を知らせる。本作でも同様の状況で、クレアはダグに対して、FBIには分からない、彼女らにだけ理解出来る合図を送る。

 「今日は、晴れた日だから。」

 これは上手い脚本。まぁベタといえばベタだが、中盤の何気ない会話で張られた伏線が、ラストの重要なシーンで結実している。やるじゃん、ベン・アフレック。


 
 『ヒート』と本作で共通する2点目は、“街”が印象的に描かれている、という点。同作ではロサンゼルス、本作ではボストン“チャールズタウン”。前者ではマッコリーやハナなどの男達の生き様を見守る“無機質な街”として、後者ではあたかも意思を持つかのようにダグを追い込む“有機質な街”として描かれる。


 
 さらに、“女”が象徴的に描かれている、というところも、『ヒート』と本作の共通項。同作では、男達が、銀行強盗に象徴される彼らの“生き様”と惚れた“女”との間で葛藤する様が描かれる。一方、本作において銀行強盗が象徴するのはダグの”罪”であるが、足を洗い過去の罪と向き合うことをダグに決意させるのは、クレアという“女”だ。よその街から赴任して来たクレアは、チャールズタウンが象徴する犯罪や罪とは対極の存在として描かれる。



 このように、本作は、銀行強盗映画の金字塔『ヒート』と似た特徴を複数持つ、良質の佳作である。当然、アクション面のスケールや俳優陣の豪華さ、そして、強盗達のスタイリッシュさでは同作に及ばないものの、罪からの逃亡というダグのパーソナルな部分にテーマを絞ることで、『ヒート』とは一線を画した独自性の構築に成功したと言っていいだろう。そこはかとなく悲しいが、ラストの落としどころもよい。頑張れ、必死で逃げろ、ダグ・マクレイ。

点数:80/100点
 脚本は素晴らしいし、俳優陣の演技もいい。受賞こそ逃したが、ジュレミー・レナーが助演男優賞でオスカーにノミネートされてもいる。しかし、同じような銃撃戦シーンでは、やはり『ヒート』には見劣りするし、足を洗いたがっているような銀行強盗よりも、もっとプロフェッショナルでヒロイックな銀行強盗が筆者の好みである。きっとマッコリーなら、チャールズタウンからも30秒フラットで高飛びしていたことだろう。

(鑑賞日[初]:2011.12.19)

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