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09
2012

[No.114] ダークナイト(The Dark Knight) <96点>

CATEGORYアメコミ
Dark Knight



キャッチコピー:『Let's Put A Smile On That Face.(口が裂けるほど笑わせてやる。)』

 ”善”と”悪”は、神の右手と左手である。

三文あらすじ:大富豪ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)扮する“バットマン”の活躍により徐々に平和を取り戻しつつあるゴッサム・シティ。しかし、そこに一切の理屈が通用しない最凶のヴィラン”ジョーカー”が出現、バットマンを追い詰めていく。ゴッサム・シティの正義の象徴”光の騎士<ホワイトナイト>”ことハービー・デント(アーロン・エッカート)すらもジョーカーの手に落ちたとき、バットマンは、街を守るため、自ら”暗黒の騎士<ダークナイト>(The Dark Knight)”となることを決意する・・・


~*~*~*~

 
 まず、キャッチコピー。色々と種類はあるのだが、この”Let's Put A Smile On That Face.”に関しては、日本語訳がかなり秀逸。ジョーカーがナイフを突きつけた対象に対して発するこの台詞は、直訳するなら”その顔に笑顔を刻んでやろう”とでもなりそうなところだが、”口が裂けるほど笑わせてやる。”の方が、ジョーカーの狂気をより効果的に表現できていて素晴らしい。

 また、ポスターに関してもかなり多くの種類が存在する。もちろん、本シリーズの主人公”バットマン”のものも格好いいし、本作における善悪逆転の象徴”トゥー・フェイス”のバージョンもグッド。しかし、ここはやはりアメコミ史上最凶のヴィラン”ジョーカー”のもので決まりだろう。

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 さて、本作の映画としての完成度の高さというのは、映画ファンならずとも既に周知のことと思う。

 まず、興行収入という点から。公開されるや否や『スパイダーマン3』が持っていたオープニング興収記録を塗り替え、その後も『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』の3億ドル突破最短記録、『シュレック2』の4億ドル突破最短記録を次々と更新。当時は、あの絶対に不可能と言われた”『タイタニック』超え”を果たすのではないか、と非常に話題になっていた。結果、ジャックとローズの永遠の愛には遠く及ばなかったものの、全世界で10億ドル以上を叩きだし、現在(2015年8月25日時点)では、歴代興行収入ランキング22位に君臨する歴史的傑作が、本作である。

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 もっとも、本国アメリカでの”ダークナイト・フィーバー”に比べて、日本の反応は少し冷めたものであった。最終的な興行成績は、17億円止まり。アメリカに追従する時代が終焉したのかもしれないが、筆者の素人考えでは、本作の日本における不振の理由は、以下の2つ。

 1つ目は、バットマンの不人気。もちろん、日本人のほとんどは”バットマン”を知っているし、そのロゴが普通にTシャツのデザインになっていたりもする。しかし”ヒーローとしてのバットマン”を知っている若者が、一体何人いるだろうか。かく言う筆者も、恥ずかしながら未だ旧シリーズは未見。況んや今時の中高生や大学生などは”コウモリのヒーロー”程度の認識しか無いだろうと思われる。

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 そもそも”ゴリマッチョのヒーロー”というのは、日本人にはウケない。『鉄腕アトム』しかり、『ゴレンジャー』しかり、『ウルトラマン』しかり、『仮面ライダー』しかり、『るろうに剣心』、『忍空』、最近では『HUNTERxHUNTER』や『ONE PIECE』など、古来より我が国では、華奢なヒーローが巨躯の悪漢を圧倒するという展開が好まれてきた。『ドラゴンボール』は希有な例外であり、それ故にアメリカでも大人気を博したのである。したがって、日本でバットマンはそこまで人気が出ない。新シリーズでは、それなりにスマートなクリスチャン・ベールが起用されているとはいえ、やはりまだ彼では日本での集客力に不安があるし、コスチュームはやっぱり以前と変わらず”ゴリマッチョ”だ。

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 ちなみに、この理屈の表裏として、日本でのスパイダーマン人気を理由付けることが出来る。世界的に大ヒットした旧スパイダーマン・シリーズではあるが、中でも予想外の大ヒットを飛ばしたのが、我が国日本であった。華奢なピーター・パーカーが、ゴリゴリのおっさんたちを蹴散らしていくという構図がウケたためであろう。リブート版『アメイジング・スパイダーマン』が日本で世界最速公開を行ったのには、そんな理由もある。

 そして、2つ目の理由は、故ヒース・レジャーの不認知。本国アメリカではもちろんのこと、日本においても映画ファンならこの名を知らぬ者はいない実力派若手俳優。『ROCK YOU!』では堂々たる主役ぶりを見せつけ、『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞にノミネート、一気に注目された。そんな期待の新人が、バットマン史上に留まらずアメコミ史上最も凶悪なヴィラン”ジョーカー”に抜擢され、そして、本作の完成を待たずしてこの世を去った、というニュースは、彼を知る者の興味をそそるに十二分であった。

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 おまけに”ジョーカーのジンクス”もセンセーションに油を注ぐ。旧シリーズでジョーカーを演じたジャック・ニコルソンは、その狂気に満ちた役柄にのめり込み、精神的に大変不安定になった。そして、本作でジョーカーを演じたヒース・レジャーもまたその役柄に魅入られた結果、不眠症になってしまい、ジャック・ニコルソンに相談していたらしい。

 以上のような前提があれば、若きヒース・レジャーをそこまで苦しめたジョーカーの演技だけでも一目拝んでおこうと思うのは至極当然だが、残念ながら我が国の大半の人は、ヒース・レジャーを知らない。”ゲイのカーボーイ”と言えば顔くらい出てくる人もいるだろうが、誰がそれをヒース・レジャーだと即答できるだろうか。『ROCK YOU!』に至っては、同作を鑑賞した人が日本に1人でもいるのかさえ疑問だ。

 長くなったが、興行収入から見た本作の素晴らしさと、筆者が考える日本での不振の理由は、以上の通りである。

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 さて、本作がとんでもない完成度を誇った作品であるという根拠、その2点目は、当然その内容である。つまり、観れば分かる、という類のものであるから、ここでは特に詳述しない。当ブログの性質上、本レビューを借りて熱く語りたいのは”ジョーカーの悪役としての格好良さ”についてである。

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 まず”悪役”と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは誰だろうか。仮面ライダー好きならショッカー、007好きならブロフェルド、ジブリ好きならムスカ、というように、広い意味での”ヒーロー”が活躍する作品には、必ず対峙し退治すべき”悪役”の存在がある。

 筆者の個人的な分類によれば、多くの悪役は、以下の2パターンに分類可能である。すなわち”利益追求型””悲しい生い立ち型”である。前者はどちらかというとポピュラーなパターンであり、上に挙げたショッカー、ブロフェルド、ムスカの3者は、いずれもこの型に分類可能である。このタイプの悪役が目指すべき最終目標は、やはり”世界征服”であろう。一方、後者については、ときとして精神異常を伴った酔狂な悪役として登場する。幼くして心にトラウマを負ったハンニバル・レクターなども、後者のカテゴリーに分類して良いだろう。

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 このように、まぁ大体の悪役は、以上の2つの型、もしくは、2つが重複した性格を持っているというパターンがほとんどである。ところが、本作のヴィラン”ジョーカー”は、2つのパターンのいずれにも属さない。5つの銀行を襲いながら、奪った金を惜しげもなく燃やしてしまう彼には、利益を追求するという行動原理はなく、顔面の傷にまつわる物語が毎回コロコロと変わることから、悲しい生い立ちも無いと思われる。

 彼が格好いいのは、まさにこの点。明確な行動原理や動機の存在は、悪役への理解に繋がる。そして”理解”と”恐怖”は、基本的に対局のところにある。人は、理解出来ないものに恐怖するのである。古来より人が幽霊に恐れおののいてきたのは、それが枯れ尾花と知らなかったからだ。”恐怖こそが神である”というのも、人が”神”という存在を理解出来ないからに他ならない。そういった意味で、ジョーカーは、まさに”純粋な恐怖”そのものであると言える。

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 また、行動原理や動機というものは、ときとして”言い訳”へと形を変えることがある。裁判における情状酌量のように、特に悪役にまつわる悲しい生い立ちは、彼に対する”同情”を誘う。しかし、これは格好良くない。”仕方なかったからやりました”というような消極的な悪役を、少なくとも筆者は認めない。本作が浮き彫りにするように”善”と”悪”とは表裏のものであり、かつ相対的な概念である。本来的には、どちらが”正しい”というような事柄ではない、いわば”イデオロギーの戦い”。だからこそ、悪役は常に自身の行動を”正しい”と確信し、自信を持っているべきであるし、その方が格好いい。アーロンが一度でもナミに謝ったか?クロコダイルは国盗りに罪悪感を微塵でも抱いていたか?筆者が『ONE PIECE』をこよなく愛している理由の一端はこの点にあり、反対に、結局最後には”ごめんなさい”する悪役ばかりが登場する『銀魂』には、魅力を感じない。

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 このように、一般的な悪役の分類に属さず、確固たる信念を持った“純粋な恐怖”として存在する最凶のヴィラン”ジョーカー”がバットマンに突きつける“善悪の彼岸”。本作は、結局どちらが”正しい”か、という点については明確な答えを提示しない。むしろ、筆者としては、前述したように両者の間には明確な差異など無いと考えているのだが、本作もそのように考えているということがビジュアル的に分かるシーンが、終盤、高層ビルでの対決シーンである。

 ゴッサム・シティの正義の象徴”光の騎士(ホワイト・ナイト)”を”悪”の道に叩き落とし、さらに脱出用フェリーを乗っ取って”人間の脆さ”、”善悪の相対性”を証明しようとするジョーカー。彼を止めるため、我らがコスプレ大富豪バットマンは、高層ビルに単身乗り込んでいく。SWATから人質を守ったり、懸案だった犬との死闘を経たりして、最終的にジョーカーを捕まえるバットマン。上述した本作のメッセージが読み取れるのは、カメラアングルからだ。

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 普通に立っているバットマンと、足をワイヤーに絡められ天地逆さまに吊されているジョーカー。この構図自体をメタファーとして受け取るなら、やはりバットマンが”善”、ジョーカーが”悪”、あるいは、前者が”正しく”、後者は”間違っている”ということを示しているとも思える。しかし、本作は”善悪の彼岸”について、そのような安易な決着を提供しない。逆さまに吊されたジョーカーを、カメラもまた”上下逆さま”に捉えるのである。一見対局にあるとも思えるバットマンとジョーカー、すなわち”善”と”悪”という存在も、視点を変えれば何ら相違無い、ということを示唆する、非常に秀逸なシーンである。

 最後に、本作のヒロインについて。前作のケイティ・ホームズから交代。本作でレイチェル・ドーズを演じるのは、映画ファンなら当然ご存じ、ジェイク・ギレンホールの姉、マギー・ギレンホールである。

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 旧『スパイダーマン』でのキルスティン・ダンストや『アイアンマン』でのグウィネス・パルトロウのように、何故かアメコミ作品では、いわゆる”正当派美人”から少しズレた印象的なルックスの女優がヒロインとして起用されがちだ。マギー・ギレンホールもその例に漏れず、なんだか”おばさん”みたいな顔面の持ち主。合わない人は全く可愛いとは思わないだろう。それが証拠に、今回本作を一緒に鑑賞していた筆者の弟は、パーティーのシーンでジョーカーがレイチェルに対し「美人だな。」と言った瞬間、やや食い気味で「えぇ?!そうなんや…。」と控えめな不満を漏らしていた。

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 しかし、筆者はここに断言したい。彼女は可愛い。女性のタイプという極めて主観的な事柄につき、文章を用いて反対派を説き伏せるということは至難の技であるから、ここでは彼女の魅力が一発で分かる作品を1本ご紹介しておく。

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 『セクレタリー』。2002年のアメリカ映画である。一言で言うなら”変態秘書SM映画”。あらすじを一行で述べるなら、内向的で自傷癖のある女性リー・ホロウェイは、自立を目指し弁護士事務所の秘書に就職するが、ボスであるエドワード・グレイからの陰湿なイジメを受ける内に逆に快感を感じ始め、やがて恋心を抱くようになり、2人のSMチックなプレイは次第に激しさを増していく…。そんな世にもAVまがいな作品。とはいえ、れっきとした”ヒューマンドラマ”であり、本作でマギー・ギレンホールは、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞にノミネートされている。

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 紹介しておいて何ではあるが、同作におけるマギーのどの辺が魅力的か、という点についてここで詳述すると、筆者があたかもスゴイ変態のように思われてしまうので、やめておく。とりあえず、手を拘束され、届いた手紙を口で運ばされるシーンがあって……まぁまぁ、多くは語るまい。とにかく、特に男性諸君には、是非一度鑑賞してもらい、マギー・ギレンホールという女優の魅力を知ってもらいたい作品だ。ちなみに、同作でマギーは、奇しくもゴッサム賞なる賞を受賞しているらしく、何やら因果を感じるところである。

点数:96/100点
 本作に関しては、非常に様々な角度から検証された多くのレビューが書かれているので、筆者としてはやや周辺的な、言ってみれば当ブログらしい事柄について今回は述べた。とりあえず、未見の人は、『ダークナイト・ライジング』公開に間に合うように、今すぐ鑑賞してもらいたい大傑作である。”暗そう”あるいは”長そう”というイメージから本作を敬遠している人をたまに見るが、そして、そのイメージは完全に的を射ているのだが、それでも一見の価値有り、と断言できる作品。それが本作『ダークナイト』である。

(鑑賞日:2012.7.4)













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