[No.116] エイリアン(Alien) <94点>

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キャッチコピー:『宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない』

 完全生物 vs 半ケツ女王!
 伝説が、静かに、始まる…。

三文あらすじ:西暦2110年、地球への帰還途上にあった宇宙貨物船ノストロモ号は、未知の惑星LV-426からの信号をキャッチ、コールドスリープ状態にある船員の知らぬ間に進路をその惑星に向ける。惑星に降り立った乗組員らは本社の規約通り調査を開始するが、ケイン(ジョン・ハート)が謎の寄生生物“フェイス・ハガー”に取り付かれてしまう。船内に搬入されたケインは昏睡状態から目覚めるが、程なく謎の生物“チェスト・バスター”に胸部を貫かれ死亡、脱皮を経て巨大な姿へと成長した完全生物”エイリアン(Alien)”とエレン・リプリー(シガニー・ウィーバー)との壮絶な死闘が幕を開ける・・・


~*~*~*~

 
 嗚呼、『ダークナイト・ライジング』が観たい…。しかし、お金が無いのである。時間が無いのである。そこで、仕方なく『プロメテウス』の予習を続行することとする。地球では、筆者の願いなど誰にも聞こえないのだ。

 言わずと知れた宇宙最強の”完全生物”エイリアン。そして、宇宙最強の”エイリアン・ハンター”エレン・リプリー。両者の長きにわたる死闘が幕を開ける記念すべき作品が、本作『エイリアン』である。映画史に燦然と輝く名作に関しては毎度の事だが、本作についてもそこかしこに数多の解説が氾濫しているから、今さら筆者が改まって書くことなど何も無い。いつも通り、筆者が感じたことを独断と偏見と哀愁と尊敬を交えつつ、徒然なるまままに書いていこうと思う。

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 まず、主人公エレン・リプリーについて。

 やはり、彼女は“宇宙最強”と呼ぶに相応しい。地球に限定するなら最強の女性はサラ・コナーということになろうが、宇宙空間において、さらに殊エイリアン戦となると、リプリーの戦績は宇宙の誇り高きハンター”プレデター”のそれを軽く凌駕する。

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 一方、今回の鑑賞で改めて筆者が強く感じたのは、彼女の行動の理不尽さである。

 フェイス・ハガーに寄生されたケインを簡単には船内に入れないという気丈かつ合理的な面を見せたかと思えば、そのフェイス・ハガーが潜む部屋のドアを開け放しにするという凡ミスを披露したりする。また、死亡したフェイス・ハガーを直ちに船外射出せよとの主張。フェイス・ハガーに関するあの時点での知識及び危険性の認識度合いからすれば、この意固地な主張はすごく理不尽だ。人類が初めて地球外生命体と遭遇したというのに、これではアッシュ(イアン・ホルム)でなくとも苦言を呈したくなる。

 つまるところ、彼女の主張は、結果から遡って正当化される類のものに過ぎない。エレン・リプリーとは、ちょっと前の映画にありがちな、結果論に支えられた理不尽な主人公なのである。

 そして、そんな彼女の理不尽さが爆発するのが、愛猫ジョーンズ救出のシークエンス。

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 そもそもこのジョーンズという猫は、作中2度も観客を無駄にビビらせ(これはいわゆる“駄目ホラー”によく見られる演出。)、ブレッド(ハリー・ディーン・スタントン)死亡の間接的な原因にもなるという、本作においてなかなかの疫病神ならぬ”疫病猫”っぷりを披露する存在である。

 しかし、リプリーは、脱出直前の土壇場、ジョーンズ救出に奔走。一方その頃、格納庫ではランバート(ヴェロニカ・カートライト)、パーカー(ヤフェット・コットー)両名がエイリアンに襲われるのである。このシーンは非常に有名で、実際、両名の下へと船内を駆けるリプリーを映しながら音声だけで2人の死に様を表現するという手法は、たまらなくゾクゾクする。ところが、この非常事態、1秒でも早く格納庫に駆けつけるべきリプリーは、なんとジョーンズを収監した大きなペット・ケースを持ったまま走っているのである。いや、猫は置いとけ。軽装でのダッシュであれば、あるいはパーカーだけでも助かったかもしれないのに…。やっとのことで格納庫に到達するリプリー。中をちらっと見てすぐさま2人の死亡を確認、その場を立ち去る。ここもかなり理不尽。本当に死んでるか、もうちょっとちゃんと確認してあげなよ。

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 リプリーは、必至に脱出ポッドへと向かう。あと少し。角を曲がる。そこには、なんとエイリアンが!素早く身を隠したリプリーは、猫をそっと置き、その場を立ち去る…。いや、猫置くんかい。

 と、このように、宇宙最強のエイリアン・ハンターは、なんだか少し自己チューな女性でもある。まぁ、それは半分冗談だ。話変わって、本作でやはり最も素晴らしいシーンは、ラストの”リプリー半ケツシーン”であろう。こちらは冗談ではない。本作では、名匠リドリー・スコットの匠の技が全編余すところ無く披露されているのだが、特にこのシークエンスの”巧さ”は天下一品である。

 母船ノストロモ号をエイリアン諸共に爆破し、脱出シャトル内でほっと一息つくリプリー。観客もほっと胸をなで下ろす瞬間だ。ノストロモ号爆破までのいきさつを音声で記録し、さてコールドスリープに入ろうかと、彼女は服を脱ぎ、下着姿になる。ここで、本作を鑑賞する9割の観客の目線は、確実に彼女が身に付ける明らかにサイズ違いのパンティに、そして惜しげもなく露わになるその半ケツに釘付けになっているとみて間違いないだろう。

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 これは決して男のやましい下心のみが原因ではない。極限の緊張感の連続、終盤での解放。それまでのたくましい姿とは裏腹に実は非常にナイスなプロポーションを有していたリプリー。巨匠の視線誘導は、実に秀逸だ。そして、半ケツシーンから間髪を入れず、完全に船内のダクトと同化していたエイリアンが動く。ここの衝撃は計り知れない。よくも低俗で無垢な男心を弄んだな!と憤ったのは、おそらく筆者だけではないはずだ。

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 もっとも、当然そんな一観客の怒りの声は、宇宙では誰にも聞こえないのである。

点数:94/100点
 寝苦しい熱帯夜にはピッタリの、最強にして最凶、完全無欠のSFホラー。次回、崇高にして最高のSFバトル・アクション『エイリアン2』を以て、クロニクルのボルテージは最高潮を迎える。

<関連記事>
 →こんなん買っちゃいました <第2幕>(ビッグチャップ・エイリアン)

(鑑賞日:2012.7.30)

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