[No.118] ダークナイト・ライジング(The Dark Knight Rises) <68点>

Dark Knight Rises



キャッチコピー:『伝説が、壮絶に、終わる。』

 どうした、 クリストファー、 ノーラン。

三文あらすじ:”トゥー・フェイス”となって命を落とした”光の騎士<ホワイト・ナイト>”ことハービー・デント(アーロン・エッカート)の罪を被り、”暗黒の騎士<ダークナイト>”として街を守ることを決意した“バットマン”ことブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)。あれから8年、「デント法」の下、束の間の平和を享受するゴッサム・シティで、心身共に深く傷付いた彼は隠居生活を送っていた。そんなとき、圧倒的パワーを持った最強のヴィラン”ベイン”(トム・ハーディ)がゴッサム・シティに現れ、今再び、”暗黒の騎士”は立ち上がる(The Dark Knight Rises)・・・


~*~*~*~

 
 本日、この夏の超話題作『アベンジャーズ』、遂に公開!!まぁ、例によって筆者が同作を鑑賞するのは、まだしばらく先になってしまいそうなので、とりあえず、1週間も前に観ていながら未だレビューせずに放置していたこれまた話題作『ダークナイト・ライジング』への”不満”を熟々書いていきたいと思う。ちなみに、8月4日、既にこの夏のエイリアン・ファン大注目作『プロメテウス』の先行上映が1日だけ行われたらしいけれども、少なくとも筆者の最寄りの映画館では3D上映のみだったので、今回は無視した。

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 まず、全体的なことで言うなら、流れが悪い。確かに、アクションのテンポは決して悪くなく、むしろ3時間という圧倒的長さをほぼ感じさせない出来に仕上がってはいる。しかし、1シークエンス1シークエンスの切れ目が何だか”ぶつ切り”、といった印象で、特に終盤の大カタルシス・シークエンスであるはずの”バットマン復活”のくだりは、いまいち盛り上がりに欠けた。

 次に、やっぱり不満なのは、アルフレッド・ペニーワース(マイケル・ケイン)の扱い。彼は、本シリーズ1作目からバットマン=ブルース坊ちゃまを支える名執事であり、「決して。(Never.)」など数々の名言を残した名キャラクターだ。

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 そんな彼が、遂に本作では、主であるブルース・ウェインの元を去る。バットマンを一旦どん底に突き落とし、そこから”ライズ”するカタルシスを描くための布石として考えるなら、この展開は中々評価できるものだろう。自分の方向性を見失ったヒーローが、腹心の執事すらも失い、悩み、苦しみ、暗闇の中で一筋の光明を見いだし、再び立ち上がるそのとき、アルフレッドもまた再び彼の下へと帰ってくる。なんと胸のすくヒーロー譚だろう。ところが、本作において、バットマンが再びゴッサム・シティへと帰還するとき、アルフレッドは帰ってこない。彼が帰ってくるのは、物語の終盤も終盤、ブルース・ウェインの葬儀の場においてである。これにはがっかりだ。

 さらに、思いつくまま不満点を述べていくなら、マリオン・コティヤール扮するミランダ・テイト。このキャラクターはいただけない。

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 正確には、このキャラがいただけないと言うよりは、彼女が裏切るタイミングが悪すぎる。あそこはまさにダークナイトがやっとライジングするシークエンスであって、こちらとしても今までの鬱憤をさてどう存分に晴らしてもらおうかとワクワクしているパート。そんなところで突然グサッと昼ドラ感覚の裏切りを見せられては、拍子抜けどころの騒ぎではない。バットマンの驚いた表情も非常にマヌケだ。

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 下半身をライジングさせているからそういうことになる。情けないぞ、ダークナイト。

 そして、これはミランダ・テイトにも関係することだが、突如明かされるあの縦穴牢獄での逸話。まるでアラビアン・ナイトのような雰囲気が、『ヒート』調のゴッサム・シティで展開されていたこれまでの物語とどうもそぐわない。だいたいあれはドコなんだ。とてもアメリカ国内には見えないのに、脱出したバットマンはそっこーでゴッサム・シティに戻ってきていた。なんだか全然釈然としない。

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 それから、本作でバットマンを完膚無きまでに叩きのめす最強のヴィラン”ベイン”。これもいまいち。

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 確かに、筋骨隆々、モリモリのゴリマッチョな彼は、純粋な肉弾戦ではバットマンを圧倒するだろう。でも、何度も戦って全部ただの肉弾戦というのは、一体どういう了見だ?バットマンは体中に様々な飛び道具を仕込んでいたはずなのに全く使おうとしないし、ベインはベインでそれぐらい知っていそうなものなのに対策を講じている様子がない。そんなことだから、終盤最も盛り上がるバトルでいとも簡単にマスクを切られたりするのだ。バットマンがマヌケならベインもマヌケ。そういえば、ベインもまたミランダ・テイトに恋する男の1人だった。彼もバットマン同様、下半身がライジングしていたためにその他がお留守になっていたに違いない。

 まだまだ細かな点を挙げ出すとキリがないので、最後に本作のオチについて。これはもう全くの拍子抜けであろう。あのままバットマンが命を賭していれば良かったのに、とかそういった次元の話ではない。ヒーローが解除不能の爆弾を自ら運んでいき、己の命を犠牲にして人々を守る、といった陳腐な展開を何故に最先端のフィルムメーカーであるクリストファー・ノーランが用いてしまうのか。そんなもんは、もう何十年も前に鉄腕アトムがやってるぞ!

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 その後、どーせ生きてるでしょ、という観客の冷たい視線の中、悲しみに暮れるアルフレッドも寒い。お前はもっと早くライジングしろ!また、ラストシーン、アルフレッドの前振り通りになる展開がくどい。大体、前作であれだけ善悪についての深いテーマを描いておきながら、その中心で揺れ動いた張本人たるバットマンが、ちょっと反省してるくらいの犯罪者とくっつくとは、一体どういうことか。前作でジョーカーが暴き出したのは”善人もすぐに悪人へと転じうる”という人間の脆さであって、”悪人だってすぐに過去の罪を償える”ということではなかったはずだ。過去を消す機械なんて本当は無いんだぞ!

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 さて、色々と独善的な不満点を述べてきたが、結局筆者としては、新バットマンの完結編たる本作を”ベタなヒーローもの”に仕上げて欲しかったのである。というか、前作『ダークナイト』を観た時点で、続編の方向性はそれ以外ないと思っていた。

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 あれだけ緻密かつ克明に”善悪”というものを浮き彫りにしてみせた前作があっては、それ以上に深遠なテーマを描くことはまず不可能。それならば、前作を土台にしてもう一度”ヒーロー”の原点に立ち返り、自己犠牲を厭わず圧倒的パワーで人々を救い、ひいては万人の希望になる、そんな真のヒーローをベタにきっちり描くべきだったのだ。だいたい前作が本国であれだけヒットしたのは、作品の良さだけではなく、当時の不況の影響もあったはずだから、『アベンジャーズ』のようなお気楽ヒーローものが再び脚光を浴びている現代において、本作のような中途半端な”ダークさ”が受けるはずもないのである。

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 したがって、筆者としては、実はさきほど悪口を言った本作のオチについて、その展開自体は悪くないと思っている。爆弾を携えて飛び去り、命を懸けて街を守るなんてのは、有史以来幾度となく描かれてきたザ・ベリー・ベスト・オブ・ベタに違いない。そして、そのような展開を採用した制作人が、本作を通して“ヒーローの原点”を描こうとしたことも想像に難くない。しかし、持っていき方がまったく上手くないんだ。もう登場するヤツらの軸が全員ブレすぎていて、何が言いたいのか微塵も伝わって来ない。やはり、全体としてひどくがっかりなのである。

 では、ここからは、本作において筆者が手放しで絶賛するポイントを3点ほど述べる。

 まず、子供時代のミランダ・テイトのキャスティング。これは圧巻を通り越して絶句である。一体何人をオーディションすれば見つけられるのか。それとも運命の出会いだったのか。ベインにも見えるしミランダにも見えるのである。

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 映画において登場人物の子供時代を演じる子役は、いつも大人時代を演じる俳優と非常に似た雰囲気を持っていて驚かされる。古い例になるが『パルプ・フィクション』において、ブルース・ウィリス演じるブッチの子供時代を演じる子役などは、極めて素晴らしいキャスティングであった。しかし、本作の子役は、2人の俳優、しかも男と女の双方に見えるのだから、これはもうキャスティング・クルーを素直に絶賛するしかなかろう。

 次に、本作で新機能が追加されたニュー・バット・ポッド。この追加された新機能が非常に格好いい。

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 前作では大破したバット・モービルから勢いよく飛び出し、壁に直撃するとせり上がって方向転換する、という驚愕のシステムを披露したバット・ポッド。今回はさらにパワーアップし、なんとバイクでありながら全方位移動を実現する新システムが搭載されている。すなわち、急ブレーキで車体が横滑りした刹那、前後のタイヤが慣性の方向にクンクンクンクンッッッ!!!と駆動し、スリップを防いでくれるのである。このヴィジュアルが超クール!既視感の強い空飛ぶモービル”バット”の存在を霞ましてしまうほどに、このニュー・バット・ポッドは筆者のハートを鷲づかみにした。

 最後に、何と言っても彼女の魅力は語らずにはいられないだろう。そう、アン・ハサウェイ演じる漆黒の泥棒猫”キャット・ウーマン”ことセリーナ・カイル嬢である。

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 ちょっと前まではプリティなプリンセスばかり演じていたアン・ハサウェイも、気付けばこんなセクシーでクールな役までこなすようになったのか、とまず感慨深い。新たなるキャット・ウーマンのデザインは、頭頂部まで上げたゴーグルがあたかも”猫耳”に見える、という現代らしいリアルなもの。”キャット・ウーマン”の名を作中1度も登場させなかったのも、リアル路線へと徐々にシフトしてきたアメコミものの変遷を感じさせてくれてこれまた感慨深い。

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 そして、その後はもう主に彼女のヒップに釘付けである。とにかくエロい。その美しきヒップをより強調させるのが、先述したスーパー・バイク”バット・ポッド”である。かなり過激な前傾姿勢でなければ搭乗出来ない構造のバット・ポッドは、搭乗者の臀部を嫌が応にも突き出させる仕組み。おまけにクンクンクンクンッッッ!!!っと全方位に移動し、全アングルからの画を提供してくれるのだから、本当に憎めないバイクである。

点数:68/100点
 とまぁ、散々バットマンやベインに対して、やれ”マヌケだ”やれ”下半身がライジングだ”と中傷の言葉を浴びせかけた筆者であるが、実は、筆者自身が鑑賞中常に”ライジング”だったのであった。本レビューで書いた様々な悪口も、そんなマヌケの駄文としてひとつご容赦いただきたいところである。

(鑑賞日[初]:2012.8.10)
(劇場:ワーナーマイカルシネマズ りんくう泉南)

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う~む...I think so.

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