[No.124] Un Petit plat pour l'Homme <65点>

Un Petit plat pour lHomme

キャッチコピー:unknown

 前略、ニール・アームストロング様。

三文あらすじ:地球衛星軌道上。1人の男は船外活動に勤しみ、もう1人は食事の支度に精を出す。2人の無言の掛け合いが、今日のメニューを決めていく・・・

<本編(1分59秒)>


~*~*~*~

 
 本作の原題は、”人類にとっての小さな一皿”という意味。もちろん、人類史上初めて月を踏んだ宇宙飛行士ニール・アームストロングの名言、

 「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ。」

のもじりである。

 有史以来、人は空を目指し、進み続けることを望んだ。それは、バベルの塔の愚行やライト兄弟の偉業を生み、そして、記念すべき1969年7月20日、人類は遂に月に到達する。尽きぬ欲望と飽くなき探求心は大きな濁流となり、その後も人々を先へ先へと押し流す。しかし、神が言葉を奪おうとも、人が惑星を離れようとも、いつの時代も決して変わらない大切なこと。それが”食事”である。

 ブリア・サヴァランは言った。”食事こそは、人が初めからけっして退屈しない唯一の場である。”と。また、ミゲル・デ・セルバンテスは”パンさえあれば、たいていの悲しみは堪えられる。”と言う。”食物を愛するよりも誠実な愛はない。”と述べることで、人類の”食事”に対する根源的な思いを、端的にかつ美しく暴いてみせたのは、バーナード・ショーだ。

 本作は、どれだけ時代が、文明が進んでも変わらない人類の”食事”に対する想いを、宇宙に浮かぶ”一皿”を通して描ききるショートフィルム。船外活動をする男は、調理担当の男に色々と注文を付ける。調理担当の男もいささか辟易としているように見える。しかし、ラストシーン、得意げに後部扉を開放する調理担当は、その背後にびっしりとワインを忍ばせていたのだった。宇宙だってどこだって、おいしい食事と極上のワイン、そして最高の友が居ればそれだけで良い。

 カントだって言っている。”真の人間性に最もよく調和する愉しみは、よき仲間との愉しい食事である。”と。

 尺は短く、アクションも皆無。だけれども本作は、インスタント食品に慣れてしまった現代文明に生きる我々にとって、非常に味わい深い秀作と言えそうだ。

点数:65/100点
 あっちゃこっちゃから名言を引っ張ってみたが、凡才が偉人の威を借りても愚かしいだけ。”美しい言葉が飢えた胃袋をなだめた例はない。”というシュテファン・ツヴァイクの言葉が身にしみる。

<追記>
 このレビューを書いた3日後、ニール・アームストロング氏死亡のニュースが地球を駆け巡った。産経新聞に載っていた遺族の言葉がとてもステキだ。「夜空を見上げ、月があなたに優しく微笑みかける日には、ニール・アームストロングのことを思い出してやってください。」 氏の冥福と今宵の快晴を心から祈る。

(鑑賞日[初]:2012.8.23)

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