03
2012

[No.127] プロメテウス(Prometheus) <70点>

CATEGORYSF




キャッチコピー:『人類はどこから来たのか?』

 2093年、宇宙の旅。

三文あらすじ:2089年、考古学者エリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)とチャーリー・ホロウェイ(ローガン・マーシャル=グリーン)は、世界各地の古代遺跡に同一の星座が描かれていることを発見する。2093年、ウェイランド・コーポレーション重役メレディス・ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)、アンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)他、社長である故ピーター・ウェイランド(ガイ・ピアース)の元徴集されたエキスパートたちを乗せた宇宙船”プロメテウス(Prometheus)”は、遺跡に記された星”Lv-223”に到達。彼らはそこで”人類の起源”と”かつてない恐怖”に遭遇する・・・


~*~*~*~

 
<前置き>
 まずは、トニー・スコット氏のご冥福を心からお祈りする。レビューを下書き状態で放置していたため、彼の訃報ももう随分前のことになってしまった。しかし、やはり一言述べずにはいられない。

 言わずと知れた青春ドッグ・ファイト映画『トップ・ガン』の生みの親であり、筆者も大好きな『トゥルー・ロマンス』の監督。そして、何を隠そう本作の監督リドリー・スコットの弟である。

 兄に勝るとも劣らない才能もさることながら、近年では『サブウェイ123 激突』『アンストッパブル』など、古き良きアクション映画を撮るほとんど唯一の監督だっただけに、本当にその死が惜しまれる。川に身を投じての自殺ということであるが、今後事の真相も明らかになってくるだろう。筆者としては、彼の往年の名作たちを精一杯レビューしていくことで、哀悼の意を表していきたいと思っている。

<エイリアン・シリーズとしての『プロメテウス』>
 さて、本作は、SFアクション・ホラーの金字塔『エイリアン』シリーズの前日譚(プリクエル)。一応同シリーズとは独立したストーリーという触れ込みではあるものの、筆者を始めとするエイリアン・ファンへのサービスが随所に散見される。

 まずは、オープニング・タイトル

p1.jpg


 シリーズ1作目では、宇宙を背景にして徐々に徐々に文字が現れていき、最後に”ALIEN”というタイトルが完成した。本作においても、川の中で分裂を繰り返す細胞を背景に”PROMETHEUS”の文字が徐々に形作られていく。冒頭2、3分にしてエイリアン・ファンなら思わずニヤッとする仕掛けだ。

 続いて我々の琴線に触れてくるのは、プロメテウス号のデータ表示。年代、地球からの距離、乗員数、そして目的地”極秘”など、エイリアン・シリーズではおなじみの演出が展開される。さらに、往年のエイリアン・ファンは、かつてのノストロモ号のヴィジュアルとプロメテウス号のそれを比較し、SFXの目覚ましい進歩に唸ることも出来るシーンだ。

p2.jpg


 また、2年間の航行中、他の乗組員がコールド・スリープ状態にあるため、1人で時間を持てあましているアンドロイドのデヴィッド。そんな彼がエクササイズとして行っているのがバスケットボール。エイリアン・ファンがここで想起すべきは、やはり『エイリアン4』であろう。同作において、エイリアンの遺伝子を取り込み超人と化したエレン・リプリーは、ベティ号のクルーをバスケで一蹴、去り際に後ろを向いたままロングシュートを決めるという離れ業をやってのける。本作では、アンドロイド”デヴィッド”が、自転車に乗ったまま片手でロングシュートを決めるというシーンがあるのだが、もしかしたらこれもシガニー・ウィーバー同様、CG無しのガチ・シュートなのかもしれない。

p3.jpg


 その他、枚挙の暇を惜しまず列挙すると、クルーの中のアンドロイドが実は”悪い”奴、ピラミッド内という”閉鎖空間”が舞台、おなじみ”ウェイランド社”、ラストでのヒロインのモノローグなどなど、シリーズファンをうれしくさせるオマージュで一杯だ。

 しかし、何と言っても注目なのは、やはり”ゼノモーフ”、そして”スペース・ジョッキー”である。

 まず、ゼノモーフ。今回登場するのは、ヘビみたいなクリーチャー、エリザベスの胎内から摘出されたイカみたいなクリーチャー、これが成長した巨大なクリーチャー、そして、ゼノモーフのプロトタイプの計4種。黒い液体を浴びて凶暴なモンスターへと変異した乗組員を含めるなら5種となる。

 そんな多彩なクリーチャー群の中で、エイリアン・ファン必見なのは、やはりゼノモーフのプロトタイプだ。ヘビ型クリーチャーやイカ型クリーチャーも旧シリーズにおけるフェイス・ハガーを彷彿とさせ、ファン心をくすぐる。しかし、ラストでスペース・ジョッキーの腹を割いて出現するクリーチャーは、下の写真のようにほぼゼノモーフの形態。我々は、SF映画史に君臨する最凶の種の誕生を目撃したのである。

p4.jpg


 ご覧のように、エイリアン第1号の彼が口を開くと奥から第2の口が!これが後にあの素早く飛び出すインナーマウスになるのだろうか。あるいは、冠の下からせり出してくる顔面を持ったエイリアン・クイーンの原型のようにも見受けられる。いずれにせよ、人類の起源などどうでもよくなるくらいエイリアン・ファンを興奮させるシーンであることは、間違いない。

 結局、本作を観ると、スペース・ジョッキーが作り出した”遺伝子を組み換える黒い液体”によってエイリアンのひな形が誕生、その後独自に進化を遂げ、旧シリーズにおける完全生物ゼノモーフになっていく、ということのようだ。

 ちなみに”黒い液体”による変異のまとめは、以下のとおり。

howchange.jpg


 以上のようなゼノモーフの誕生秘話については、筆者も非常に満足している。問題は、スペース・ジョッキーの正体だ。

 旧作のスペース・ジョッキーは、巨大な宇宙船内にある謎の操縦席のようなものに座ったまま化石化しており、その胸部はチェスト・バスターによって内側から貫かれている、ということしか分からない謎めいたキャラクターだった。そして、この謎めいた感じが、シリーズ1作目の不気味な冒頭を演出していたし、年月を経る内に彼自身をいわば神格化させていった原因である。そう、我々が持つスペース・ジョッキーのイメージは、人智の及ばぬ神々しい存在に他ならない。

 これが旧作に登場したスペース・ジョッキー。

p5.jpg


 うん、やっぱり格好いい。特に筆者が気に入っていたのは、その顔面。丸みを帯びた頭頂部、暗く落ちくぼんだ眼孔、そして長く伸びた鼻。その巨大な体躯も相まって、人類が初めて遭遇する地球外知的生命体と呼ぶに相応しい秀逸なデザインである。なによりミステリアスだ。

 ところが、本作では、スペース・ジョッキーの頭部が実はヘルメットだったことが判明。しかも、そのヘルメットを脱いだスペース・ジョッキーの正体は、こんなにもヒューマニズムに満ちあふれたものだったのである。

p7.jpg


 おい、お前誰やねん!なんか白ブリーフみたいなん履いてるし・・・。筆者が長らく抱いていた、無骨でありながらにして神々しい“異星人”のイメージなど遥か彼方。これでは”人”ではないか。まぁ、スペース・ジョッキーこそが人類の起源であったということを匂わせるストーリー上、致し方ないデザインなのかもしれないが、それにしたって、今日まで彼らを崇め奉り、その正体にロマンを見てきたファンたちを裏切る、凡庸で陳腐で醜悪なデザインではなかろうか。

 ただ、終盤、スペース・ジョッキーの宇宙船内でフロアが開き、あの天体望遠鏡的な操縦席がせり上がってくるシーン。ここは最高にテンションが上がる。

p8.jpg


<『プロメテウス』の謎>
 本作には、結局作中では解明されない”謎”が多い。果たして冒頭のシーンが本当に人類誕生の瞬間なのか?、アンドロイド”デヴィッド”の真の目的とは?、メレディス・ヴィッカーズは人間なのか?、目覚めたスペース・ジョッキーは何故暴れ出したのか?、そして”プロメテウス”に託されたダブル・ミーニングとは何か・・・?

 まぁ、それもそのはず、本作は全2作で構成された物語の1作目。事実、エリザベス役のノオミ・ラパスとデヴィッド役のマイケル・ファスベンダーは、2作分の契約を交わしているらしい。よって、謎の真相は、いずれ制作されるであろう続編を待ちたいところ(2015年9月現在では、2016年1月のクランクイン予定だったかな。)。とりあえず、現段階では、独自の調査で解明できた謎があればその都度本レビューを加筆修正していこうと思っている。もちろん、その謎の中には、

p6.jpg


“なぜ人類は横向きに逃げないのか?”という、究極の難問も含まれている。

<点数:70/100点>
 鑑賞してから随分と時間が経ってしまったので、肝心の”謎”の部分についての記述がすこぶる薄くなってしまった。反省である。しかし、筆者の心は今、完全に『踊る大捜査線』の虜だ。

(鑑賞日[初]:2012.8.26)
(劇場:ユナイテッド・シネマ岸和田)










プロメテウス [DVD]

新品価格
¥927から
(2015/9/3 00:47時点)


プロメテウス [Blu-ray]

新品価格
¥1,058から
(2015/9/3 00:48時点)


マケット エイリアン スペースジョッキー ノンスケール レジン製 塗装済み完成品フィギュア

新品価格
¥86,000から
(2015/9/3 00:50時点)


コんガらガっち どっちにすすむ?の本 (創作絵本シリーズ)

新品価格
¥1,296から
(2015/9/3 00:54時点)



関連記事
スポンサーサイト

Tag:劇場鑑賞作品 天の光はすべて星

0 Comments

Leave a comment