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2012

[No.130] 踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! <40点>

CATEGORYドラマ
踊る大捜査線 the movie3



キャッチコピー:『さらば、湾岸署。』

 そして、さらば、『踊る大捜査線』。

三文あらすじ:湾岸署移転に伴う引っ越し作業中、管内でバスジャック事件とクラッキングによる銀行強盗事件が立て続けに発生、現場に急行した青島俊作(織田裕二)、恩田すみれ(深津絵里)両人は”何も盗られていない”という被害者の証言に戸惑う。同じ頃、引っ越し作業中の新湾岸署から拳銃3丁が盗まれ、程なくして第1の殺人が発生、”野良犬”と名乗る犯人は、かつて青島が逮捕した被疑者9名につき「彼らを解放せよ。(Set The Guys Loose.)」と要求する。湾岸署最後の3日間に、サラリーマン刑事青島俊作が死ぬ気で立ち向かう・・・


~*~*~*~

 
<制作陣を解放せよ!>
 『踊る』は”閉じた物語”である、と筆者は再三語ってきた。多彩なメンバーが一丸となって強敵である犯罪者と戦う、という従来の刑事ドラマとは違い、青島くんが戦う”ボス”は、室井さんであり、新城さんであり、沖田さんであったりという”警察官僚”ひいては”警察機構”自体である。このような形式が非常に斬新でおもしろかったのだが、その反面、次々に新しい”敵”を出せない、という本シリーズの限界ともなっていた。

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 しかし、本作は、そんな今までの限界を突破、既成の枠組みから脱却している。すなわち、本作においては、警察上層部と所轄との争いがほぼ描かれない。よって、官僚でありながら最終的には上層部に楯突くことでクライマックスを演出する、という役目の室井さんが全く活躍しない、ということもいわば必然である。

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 では、本作は、どのような枠組みを以てストーリーを組み立てているか。それは、従来型の刑事ドラマへの回帰である。

 本作においては、前述のように所轄と上層部との確執がほぼ描かれず、代わりにフィーチャーされるのは、係長青島俊作率いる”湾岸署刑事課強行犯係”という”チーム”だ。このことは「俺に部下はいない。いるのは“仲間”だけだ!」という、本シリーズ史上最も”サムい”名台詞にも集約されている(とはいえ、この台詞も、おそらくは劇場版第2作の「仲間…助けて下さい。」という台詞を前フリとしたものであって、制作陣が一応シリーズ全体の一貫性を意識している、ということは想像に難くない。)。

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 また、”ボス”という点からも、本作が従来型の刑事ドラマに回帰している、ということが覗える。本作における真の黒幕は、小泉今日子演じる日向真奈美。彼女は既に劇場版第1作で登場しているが、そのときは、いわゆる”ボス”、すなわち作品における”ゲスト”としての悪役ではなかった。同作でのメイン事件は副総監誘拐事件であり、その犯人である坂下始を演じるのは、無名の北山雅康である。やはり、この時点での『踊る』は、きちんとその枠組みを保持しており、あくまでも”ボス”は警察機構なのである。

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 しかし、本作における日向真奈美は、完全にキャラ立ちした、いわゆる”ボス”だ。しかも、今までのように”野良犬”という無名の若者が犯人かと思わせておいて、実は黒幕に彼女がいる、という安直なミステリーにエンターテイメント性を求めている辺りも、本シリーズの限界突破に関しての制作陣の苦慮がにじみ出ている。

 そんなわけで、本作は『踊る』の枠組みを捨て、制作陣をいわば”解放”したわけだが、本作をご覧になった皆さんが既に感じているように、それはもはや『踊る大捜査線』ではない。

<織田裕二を解放するな!>
 『踊る』には、いわゆる”サムい”シーンが多い。大半はギャグシーンであって、それはテレビシリーズの頃からしばしば見受けられたことである。しかし、テレビシリーズにおいては、和久さんの「…なんてな。」や早い展開運びによって、その”サムさ”もいくらかは緩和されていたのである。

 ところが、本作ではそのような緩和のない、本シリーズ随一の、いや、邦画という枠組みの中で見てもかなり上位にランクインするであろうというくらい極めて”サムい”シーンが存在する。そう、青島俊作係長による”扉叩き”のシーンだ。

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 新湾岸署に閉じ込められた仲間を救おうと、青島くんが大きな木の棒で扉を繰り返し叩き続ける、というシーンだが、これが心から理解不能。一言で言うと、無駄

 いつも通り上層部の政治的思惑から誰も湾岸署救出作業にあたろうとしない、というのであれば、青島くんの行いもそれなりに意味のあるものとしていくらかの感動を誘っただろう。しかし、本作では、ちゃんとレスキューチームの方々が高温のバーナーやその他の専門的器具を用いて重ね重ね扉の開放任務にあたっている。それでも無理だったのに、青島くん、君は何をやってるんだ。確かに、和久さんは”無駄なことだって必要”と言っていたけれど、お前は完全にはき違えてるからな!

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 このように、ある種怒りにも似た落胆の気持ちが巻き起こる”扉叩き”のシークエンス。しかし、頭ごなしに制作陣を責めてはいけない。本シークエンスの戦犯は、あろうことか青島くん本人、すなわち織田裕二氏である、という噂。真偽は定かでないものの、このシークエンスは、彼の提案で半ば無理矢理挿入されたというのである。この情報も、彼のおそらくは少し”イタい”であろう人柄を考慮すると極めて信憑性の高いものに思える。織田さん、出しゃばりすぎ。疲れるほど働くな。

<過去キャラの”ダークサイド”を解放せよ!>
 本作初鑑賞時、筆者には1つだけ意味の分からない描写があった。犯人が逮捕され、全てが解決した後、新湾岸署に連行されてきた”野良犬”と青島くんがすれ違う。ここで青島くんは”野良犬”に向かって「君…どっかで…。」と呟くのである。当時は、あり得るとしたら引っ越し中無意識に出会っていたということの示唆ぐらいか、と思っていたのだが、もしそうならあまりにも無意味なシーンである。

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 今回の鑑賞に際してネットで調べたところ、事実は判明した。”野良犬”、彼は、須川圭一である。そう、テレビシリーズ第1話「サラリーマン刑事と最初の難事件」において、すみれさんの応援でゲームセンターに臨場した青島くんが対面する、小さな子供。演じる森廉は、ドラマ『お金がない!』で織田裕二演じる萩原健太郎の弟”浩”も演じており、須川圭一としてゲーム機を壊した動機も”お金がないから”である。また、彼は『歳末特別警戒スペシャル』にも登場し、ピーポくんの着ぐるみを着た青島に対して「ビーム出してみろよ!」と生意気に迫る。

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 そんな”愛すべきマセガキ”だった須川圭一くんが、本作においては殺人まで犯す犯罪者になってしまっている、という事実は、あまりにも悲しい。Wikipediaによる彼の生い立ちは、こうだ。

 青島と関わった事で「人のためになる仕事」を志し精神保健福祉士として医療刑務所の心理カウンセラーの職に就くが、そこで『踊る大捜査線 THE MOVIE』での猟奇殺人犯日向真奈美の担当をしてしまった事で逆転移を引き起こし、彼女の信者として依存症状を呈するようになる…



 こうなってしまっては、子供時代の彼ももはや”愛すべきマセガキ”とは呼べない。彼の生い立ちは、シスの暗黒卿に心酔し、“暗黒面<ダークサイド>”に墜ちてしまったアナキン・スカイウォーカーと酷似している。あの憎たらしい立ち居振る舞いの裏には、本当の”悪の資質”が潜んでいたのだ。所詮世の真理とは”性悪説”なのだろうか。制作陣がおそらくファンサービスとして付け加えた裏設定は、観客をなんだか悲しくさせる明白な蛇足であると筆者は思う。

 ちなみに、テレビシリーズ第1話で青島くんが買ってきたあんまんを「甘いの嫌いなんだ!」と言って拒絶した圭一くんは、本作でも仲間の1人があんまんを買ってきた際「俺、甘いの苦手なんだ」と言って断っている。

<点数:40/100点>
 劇場版3作目にして、シリーズのルールをことごとく破り、新境地開拓に乗り出した本シリーズ。果たしてこの試みは、『踊る大捜査線』にとっての”新たなる希望”となるのだろうか。次回、サラリーマン刑事は、遂に最後の難事件に立ち向かう。

(鑑賞日:2012.9.1)














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