06
2012

[No.141] ランド・オブ・ザ・デッド(Land Of The Dead) <60点>

CATEGORYゾンビ
Land Of The Dead



キャッチコピー:『これが最後。これが究極のゾンビ!!』

 ようこそ、極めて”普通な”恐怖の世界へ。

三文あらすじ:ゾンビが世界中に蔓延した世界、生き残った人々は、三方を川に囲まれた土地に防御フェンスを敷いて町を築き、高層ビルに暮らす富裕層とスラムに住む貧民層に別れて暮らしていた。物資調達部隊の傭兵隊長ライリー(サイモン・ベイカー)は、町を牛耳る権力者カウフマン(デニス・ホッパー)から、装甲車デッド・リコニング号を乗っ取り町の爆破を予告した部下のチョロ(ジョン・レグイザモ)を止めるよう命じられる。しかし、その頃、思考力を持ったリーダー格のゾンビに率いられたゾンビの大群が、川を渡り、町に近づきつつあった・・・


~*~*~*~

 
 ゾンビ映画の生みの親ジョージ・A・ロメロがなんと約20年ぶりにメガホンを取ったのが本作。ゾンビ映画ファンは嫌でも期待に胸躍らせ、ヒートアップした配給会社は、これがロメロの”後期ゾンビ三部作”の1作目であり、まだ全然最終作では無いにも関わらず”これが最後。”などと訳知り顔で観客を煽る。

 そんな、これまた有象無象、悲喜交々な熱い想いの中で世に送り出された本作は、大方の期待に反して非常に”普通の”パニック・ホラー作品であった。もちろん、これは筆者個人の感想であるから、本作を観てロメロの素晴らしさを再認識したという人がいてもいい。しかし、筆者は、この期待のゾンビ映画に対して、何ら斬新なワクワク感を抱くことが出来なかった。

 まず、物語の設定であったり、展開。近未来、世界にはゾンビが蔓延しており、生き残った少数の人々は三方を川に囲まれた土地に壁を作り暮らしている。その中は町になっているのだが、町を牛耳る富裕層とスラムに住む貧民に別れた2層構造。さらに、富裕層のトップであるカウフマンがかなりの悪玉であり、最終的には、彼を倒すことで町が開放されることとなる。いや、いわゆる“終末系”の映画って、全部そうやん。

 では、本作が描くテーマはどうか。ゾンビ映画というフィルターを通して、人間や現代社会の愚かさや儚さ、虚しさなどを描いてきたロメロ監督。彼のメッセージは決して辛気くさかったりわざとらしかったりすることなく、きちんとサバイバルホラーというエンターテイメントを形作っていたし、むしろそのようなメッセージが作品に良い感じの絶望感を与えていた。そんなロメロが本作で訴えるのは、覇権主義の限界。全然新しくない!いや、別に新しければいいという訳ではないのだが、だからといって本作に特別血のたぎりを感じるような他の展開がある訳でもなく、やっぱり巨匠の新作としてはチープで陳腐だと言わざるを得ない。

 さらに、筆者としては、若干の知能有るリーダー・ゾンビを登場させた、ということも頂けないポイント。

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 本シリーズにおける”ゾンビ”とは、名も無きゾンビたちの集合体であった。だからこそ恐かったのだ。殺しても殺してもうじゃうじゃと湧いてくる”総体としてのゾンビ”は、「アイツをどうにかすれば万事解決だ!」というありがちな一発逆転を許さない。これが理不尽にして言いようのない不気味さと恐怖を醸し出していたのだと思う。

 また、意志の欠落という点がゾンビの恐さだったとも言える。人間の生肉を食べるという本能のみに従い、撃たれても手足がもげても、ゆっくりとしかし確実に向かってくるゾンビは、人の姿をしていながら明らかに人ではない、というアンバランスな恐怖を生み出していた。

 本作におけるリーダー・ゾンビの登場は、以上の2点をことごとく無にしてしまう設定である。結果的には、リーダーを倒して一発逆転という安直な展開にはならないものの、やっぱりキャラが付いてしまうとゾンビの不気味さは半減だ。キャラ立ちしたゾンビは『バタリアン』に任せておけば良い。

 本作は、巨匠ジョージ・A・ロメロ久々の新作ゾンビ映画ということで、キャスティングも中々豪華。

 中でも目を引くのは、悪い町のトップ、カウフマンを演じるデニス・ホッパー

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 一昨年、惜しくもこの世を去ってしまった名優であるが、筆者の中での印象的な彼の役と言えば、やはり、『ブルーベルベット』のフランク・ブース、そして、『スピード』のハワード・ペインである。つまり、筆者の中では、彼のクレイジーな名演ばかりが印象に残っているのであるが、本作での彼はかなり落ち着いた悪役ぶり。とはいえ、名優の存在感は遺憾なく発揮している。

 また、ヒロインとして登場するのは、『トリプルX』でエレーナを演じたアーシア・アルジェント

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 彼女は、何を隠そう、ゾンビ映画史に残るあの変態悪趣味品性下劣巨匠ダリオ・アルジェントの娘。彼女がロメロ作品のヒロインを張るというのは、ゾンビファンにとってなにやら言い知れぬゾクゾク感に見舞われる事件であろう。

 他にも、最近『リンカーン弁護士』で保険金立替業者ヴァル・ヴァレンツェラを演じたジョン・レグイザモが出ていたり、ロメロ自身も大ファンだという『ショーン・オブ・ザ・デッド』を作ったサイモン・ペグ&エドガー・ライトの両名が、見せ物小屋で戦わされる赤と黒のゾンビ役でカメオ出演していたりする。こういったキャスティングの妙も中々楽しい。

点数:60/100点
 なんだか可もなく不可もなく、そこら辺に転がっていそうな普通のパニック・ホラー。巨匠が最近の趣向を取り入れたのだ、と言えば聞こえは良いが、巨匠はもっと頑固に自分の道を行って欲しいものである。

(鑑賞日[初]:2012.10.5)










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Tag:歩くゾンビ

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