07
2012

[No.147] バタリアン(The Return Of The Living Dead) <85点>

CATEGORYゾンビ
Return Of The Living Dead



キャッチコピー:『They're Back From The Grave And Ready To Party!』

 あたしオバンバ、あなたの脳味噌食べさせて~・・・。

三文あらすじ:アメリカ、ケンタッキー州ルイビルのユニーダ医療会社で働くこととなったフレディ(トム・マシューズ)は、先輩社員のフランク(ジェームズ・カレン)から、軍の移送ミスによって会社の倉庫に保管されている“ゾンビ”の存在を知らされる。2人がゾンビの保管されているタンクを叩いたところ、突然死者を蘇生させるガス”トライオキシン245”が噴出、空調を伝って倉庫内に充満したガスによって標本用の死体が動き出す。慌てた2人は、社長であるバート(クルー・ギャラガー)を呼び、ゾンビを秘密裏に処分するため、知り合いのアーニー(ドン・カルファ)が営む火葬場で焼却するが、放出された煙が雨となって大地に染みこみ、墓地から大量のゾンビが現れることに・・・


~*~*~*~

 
 監督ダン・オバノン。SFモンスターパニックの古典的傑作『エイリアン』の脚本家として、また以前紹介したびっくりホラー『ゾンゲリア』の制作に携わった者として、そしてさらには、本作『バタリアン』の監督として有名な人物である。

 連想ゲームではないが、”オバノン”と聞いて思い浮かぶのが、やはり”オバタリアン”という単語。”おばさん”を指し示すスラング的造語であり、筆者が小学生くらいの頃には、まだ僅かに使用されていたような思い出がある。そんな一般用語までをも生み出したのが、本作『バタリアン』だ。

 本作の日本におけるヒットは、配給元である東宝東和の戦略の妙に寄るところが大きい。本作の原題は『Return of the Living Dead』であり、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が実話だったという設定の元、ゾンビ映画へのオマージュをふんだんに盛り込んだ傑作コメディ。しかし、そのような内容に全く関係ない『バタリアン』なる迷邦題が意外とウケた。

 一応”バタリアン(Battalion)”には”大群”の意があるらしく、群れを成して襲ってくるゾンビたちを表せていなくもない。また”大隊”という意味をも持つ日本版タイトルが、軍による爆撃で町が全滅し、さらに大規模なゾンビの雨が降るというアイロニックなラストをも示唆していると考えるなら、この一見ふざけた邦題も、実は多分に含蓄に溢れた名タイトルと言えるのかもしれない。

 さらに、タイトルだけでなく、登場するゾンビにも勝手にキャラクター名を付けたところが、東宝東和の上手いところ。

 非常に印象的なコールタール漬けゾンビ”タールマン”は、極限のパニック状態にあるはずの登場人物が突然その名で呼び始めるという不思議なシーンを演出している。

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 また、上半身のみの老婆ゾンビ”オバンバ”は、診察台に縛り付けられ、アーニーに「聞こえるか?」と問われた際「YES・・・」と応えただけなのに、何故か字幕では「オバンバ・・・」と呟いたことにされており、ワムウ以前としては中々堂々たる開口一番での自己紹介となっている。

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 このような無理矢理感溢れるキャラクター付けが、ただでさえB級テイストに満ちた本作により多くの突っ込み所をもたらし、そのB級感を高めていることは間違いない。そういった意味でも、やはり東宝東和の戦略は成功したと言っていいだろう。

 さて、本作のゾンビは”走る”。それだけではなく、喋ったり、道具を使ったり、人間の脳みそしか食べなかったりと、オリジナルであるはずのロメロ版ゾンビとは一線を画す、いわば亜流のゾンビである。

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 筆者は、本来的には、このようなルール無視のゾンビを認めたくない。しかし、本作がロメロ版ゾンビに対する愛に満ちたオマージュであることを考えると、本来ノロノロと動き、大した知性を持ち合わせていないゾンビが、全力疾走したり、無線を使って警官をおびき寄せたりするといった”裏技”も、笑いと新たな恐怖を生む仕掛けとして納得出来るところである。すなわち、本作のゾンビ像は、あくまでもロメロ版ゾンビを正統派とした上で”わざとハズして”描かれているのである。

 本作の最も素晴らしい点の1つとして、アイロニックなラストが挙げられる。通報を受けた軍は、救出作戦など展開しない。有無を言わさずミサイル攻撃を仕掛け、ゾンビもろとも町全体を消し飛ばしてしまう。しかし、大爆発の煙は再び天に昇り、死の雨を降らせるのだった・・・。

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 素晴らしいエンディングである。やはりゾンビ映画は、そのフィルターを通して世間を批判するという側面を持つべきだし、全てが荒廃する終末感も大事な要素。その両方を一挙に取り込む本作のラストは、天晴れの一言に尽きる。

点数:85/100点
 そろそろゾンビ映画にも食傷気味になってきたので、徐々にモンスターパニックへと移っていこうと思う。というわけで、B級映画の宴はまだまだ続く。It's PARTY TIME!!

(鑑賞日:2012.10.7)










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Tag:衝撃のラスト! 走るゾンビ ヘンテコ邦題 バカ映画

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