[No.152] ミミック(Mimic) <75点>





キャッチコピー:『遺伝子が泣き叫ぶ』

 ”裏切り者”は、罪人の寄生虫である。

三文あらすじ:近未来、マンハッタンではゴキブリを媒介源とするストリックラー病により、多くの人命が失われ、助かった者も重い後遺症に苦しめられていた。有効な治療法のないこの病気に対し、昆虫学者のスーザン・タイラー(ミラ・ソルヴィノ)は、ゴキブリだけを殺し、一定期間後に死滅する新種の昆虫「ユダの血統」を遺伝子操作によって創造、街に放つ。3年後、「ユダの血統」によって病は根絶されたが、死滅したと思われていた彼らは、密かに生き延び、人間に擬態(Mimic)するという進化を遂げていた・・・


~*~*~*~

 
 まずは、あらすじをご覧になり、どう感じるだろうか。止めどない胸の高鳴りを、果てしないワクワクを、禁じ得ないはずだ。80~90年代のモンスターパニックには、まだ古き良きベタなプロットが採用されていて、とっても好感が持てる。

 とはいえ、本作は、良くあるモンスターパニックと少し相違している点がある。それは、主人公自身がモンスターを創造した、という点。その名の通り人間にとってまさに”裏切り者”となる”ユダの血統”は、本作の主人公スーザン・タイラー自身が疫病根絶のために生み出したシロアリとカマキリのハイブリッド昆虫。予想外の進化を遂げた彼らは、自分たちの”外敵”、すなわち、アスファルトを飛び跳ねる”人間”に擬態して、逆にその”外敵”を捕食し始める。

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 つまり、本作におけるパニックの元凶は主人公であるスーザン自身。そういった点で、本作は、主人公の制止を振り切って愚か者がモンスターを生み出し、主人公が七転八倒の末その尻ぬぐいをする、という本来のモンスターパニックにおけるプロットとはやや一線を画しているのである。

 とはいえ、本作において、スーザンがその辺の葛藤に悩む展開はあまり無い。もうちょっと彼女の葛藤に焦点を当てていれば、ジメジメ薄暗い雰囲気と相まって、本作は、映画史に残る名作モンスターパニックになっていた可能性があるので、少し残念だ。

mimicmira.png


 このように、ストーリー自体を過剰にジメジメさせず、いわば”ハリウッド然とした”展開に終始しているのは、監督ギレルモ・デル・トロがまだ駆け出しだったからなのかもしれない。今や彼は”悪趣味の権化”として有名。是非リメイクして、重厚な贖罪の物語を作って欲しいところである。

 本作は、そのジメジメ薄暗い雰囲気も含めて、意識してかせずか『エイリアン』シリーズにかなり似た部分がある。

 最も近似しているのは、スーザンの母性を主軸に据えているところ。エレン・リプリーが最終的に全エイリアンの”母”になったように、遺伝子操作によって”ユダの血統”を生み出したスーザンも彼らの”母”と言える。また、スーザンは子を産めない。作中明確に言及される訳ではないが、演出の感じからして、彼女は子を身ごもれない可能性が高い。そんな彼女が、夫であるピーター・マン博士(ジェレミー・ノーサム)及び少年チューイ(アレクサンダー・グッドウィン)と生き延びるラスト。身寄りを失ったチューイは、おそらくスーザンの養子になるであろう。この辺も、我が子を失い、みなしごニュートと母子の関係を築いたリプリーを彷彿とさせる。

 さらに、本作には、警官レナードとしてチャールズ・S・ダットンが出演している。

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 そう、シリーズ随一の”駄作”と評される『エイリアン3』において、囚人たちのリーダー、ディロンを演じていた人物だ。同作での好演同様、本作でも味のある名脇役として、その存在感をしっかり示している。

点数:75/100点
 『エイリアン』シリーズの二番煎じ感がないではないにしろ、極めて上質のモンスターパニック・ムービー。続編の法則に漏れず”駄作”であるらしい2及び3も機会があれば鑑賞してみようと思う。

(鑑賞日:2012.10.8)

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