[No.162] 殺人魚フライングキラー(Piranha II:Flying Killers) <64点>





キャッチコピー:『Now you're not safe OUT of the water!』

 魚もヒロインも浮ついた、キャメロン“後悔の”珍作。

三文あらすじ:カリブ海に浮かぶ島のリゾート地で、観光客が惨殺されるという事件が発生。被害者が増える中、海洋生物学の知識を持つダイビングインストラクターのアン(トリシア・オニール)は、軍が秘密裏に開発したピラニアとトビウオをかけあわせた生物兵器“フライングキラー”が原因であることを突き止める。アンの警告も空しく強行された島の一大イベント“魚フライ祭”の最中、大挙して飛来したフライングキラーの群れが、集まった人々を次々に襲撃する・・・


~*~*~*~

 
 本作は、今や映画史上の興行成績1位を2度も叩きだしている巨匠ジェームズ・キャメロンの監督デビュー作。また、モンスターパニックの古き良き傑作『ピラニア』の続編にも当たる作品。『ターミネーター2』、『エイリアン2』と彼は何故かシリーズものの2作目で評価を受けることが多い。そんなこともあって、モンスターパニックファンならずとも知っている人は知っているという、一種の“古典的作品”が本作である。

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 それなのに、と言うべきか、だから、と言うべきか、本作の出来は正直良くはない。

 まず、フライングキラーがショボい。別に造形のチャチさは良いのだが、見せ方が一辺倒。パタパタ飛んできて、アップになった被害者の横からその首元にガブッと噛み付く。これの繰り返しである。無残に食い荒らされた被害者の描写も今ひとつパンチに欠ける。もっとも、“ピラニア(作中では何かもっと別の魚を言っていた気もするが)とトビウオを掛け合わせた空飛ぶ殺人魚”というモンスターは、最高にバカバカしく、我々の琴線をくすぐる。

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 本作に関して、筆者が殊更にダメだと感じたのは、登場人物が織りなすストーリーである。モンスター・パニックにおいても登場人物たちは日々生活し、様々な悩みを抱えていたりする。そんな彼らは、モンスターの脅威に直面し、それを乗り越えていくことで人間的に成長し、私生活上の問題をクリアしたりもする。これもまた、本ジャンルにおける重要な要素である。

 とはいえ、主軸はあくまでもモンスターの脅威に置かれなければならない。我々は、中々登場しないモンスターに今か今かとヤキモキさせられ、ワッ登場したモンスターに戦慄し、その残虐な振る舞いに心躍らせる。そして、ラストには、勇敢な主人公によって華々しく、かつ、雄々しく殲滅されるモンスターの様に有終の美を感じ、哀悼の意を捧げるのである。つまり、本ジャンルの主人公はあくまでもモンスターであり、登場人物たちが織りなす物語は、主軸を補完する側線、メインディッシュを際立たせる薬味でなければならないのだ。

 ところが、本作では、登場人物のプライベートがしっちゃかめっちゃか。主人公アンが夫と別居中で破局寸前、というキャラ設定は良いだろう。無邪気な1人息子の登場も悪くない。彼らは、モンスターの脅威を克服する中で、家族の絆も取り戻す。しかし、嫌みなイケメン生化学者タイラーの存在価値は、すこぶる疑問である。

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 もちろん、フライングキラーの出生を明かす存在として、彼は必須だ。でも、果たしてアンとの浮気は必要だったか。しかも、最終的にはアンから誘わせて。タイラーの“女口説きテク”は、経験の乏しい筆者から見ても非情にお粗末なもの。まず、いい歳してチャリ移動。そして、何もしないよ、君と一緒にいたいだけ、という見え透いたウソ。これは頂けない。だからこそ、そんな見え見えの手に乗ってしまい、最終的に「今日は泊まってかない?」と自ら提案するアンが、バカ女に見える。

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 しかも、別居中のアンは息子と暮らしており、彼を非常に愛する良い母親である、というフリもある。彼女の浮気という展開は、その母性への信頼すら崩壊させるものだ。サラ・コナーはどうだった?エレン・リプリーは?ジェームズ・キャメロンよ、あなたは、強い母親像を描くことに長けている監督ではありませんか。そういった点でも、主人公アンの浮気騒動は、フライングキラーの活躍による興を削ぐ、出過ぎたストーリーラインだと思う。

 また、1人息子クリス(リッキー・ポール・ゴルディン)が辿る展開は、完全な蛇足。彼は、島で知り合ったお金持ちのおじさんのヨットで5泊の洋上旅行に出発し、その娘であり同乗者のアリソン(レスリー・グレーヴス)と恋仲になる。このアリソンが、おそらく10代前半の少女であり、なおかつ、ロリコンの気が全くない筆者でも思わず目を見張るほどの巨乳である、ということは置いておいて、彼らが2人だけ小舟で抜け出し、ちょっとだけ漂流するパートは、本作の展開上、結局何の意味も持たない。そりゃあ、彼らもフライングキラーに襲われるのでは?と若干ハラハラはするものの、結果一切襲われないのだし、ただただ奔放でプレイボーイな1人息子に嫉妬の念を覚えるのみである。

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 その他にも、ホテルに大挙して押し寄せたフライングキラーの大群を放っといて、ほぼもぬけの殻であろう沈船を爆破することにクライマックスとしての効力はないだろう?とか、色々突っ込みたいところはある。しかしまぁ、キャメロンも、予算の都合から思うように制作できず、あまり誇れる作品ではないと思っているようだから、ある程度は大目に見てあげるのが正解である。要は、フライングキラーというモンスターのバカバカしさに盛り上がった者勝ちということだ。

点数:64/100点
 ジェームズ・キャメロン本領発揮前の奇妙な作品。ウェイランド社社長チャールズ・ビショップ・ウェイランドとしてお馴染みのランス・ヘンリクセンが、アンの夫役でその若き雄姿を披露しているから、ファンは必見ではある。

(鑑賞日[初]:2012.10.18)

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