[No.171] E.T.A. <72点>

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キャッチコピー:unknown

 宇宙では、おいしいコーヒーは誰でも飲める…。

三文あらすじ:宇宙を航行中の貨物船に1人の男。長年の船旅に男は退屈しきっていた。そんな彼の背後に、貨物室から出現した“何か”の影が迫る・・・

<本編(4分24秒)>



~*~*~*~

 
 一見難の変哲もない小話であるが、『エイリアン』ファンにとってはクスッと笑ってしまう、非常に秀逸なパロディ・ショートフィルムである。

 まず、オープニング。惑星を背景にしたこの映像を見て、筆者は本当に“ちょっと『エイリアン』っぽいぞ。”と感じた。しかしまぁ、そのような映像はいくらでもあるので、とりあえず一旦忘れる。

 しかし、主人公の男が現れると再び『エイリアン』ファンのみなさんは、目を見開くことになるだろう。広大な宇宙をたった1人で航海し、推定到着時刻(E.T.A.)まではまだ何年もあるため、退屈しきっている彼。そんな彼が着るT-シャツには、なんとウェイランド・湯谷社のロゴがプリントされているではないか。これはどういうことなのか。『エイリアン』シリーズの正式なシリーズでないことは分かっている。では、製作者の単なるお遊びであり、そのマークに物語上の意味はないのか。しかし、それにしては、やたら何回もはっきりとスクリーンに映し出されるロゴマーク。

 その謎も解けぬまま、物語は急展開を迎える。オンボロ貨物船の電子系統が突如シャットダウンされ、船内の全ての機能が停止してしまうのだ。主人公によるいわゆる“ロシア式修理法”で事態は早期に収拾されるのだが、モンスター・パニックファンならすごく気になるのは、何かただならぬものを収納しているらしき貨物室のドアが開いてしまうのではないか、という点。停電によりドアの電子制御が麻痺している一瞬の隙に、意外と知能の高いモンスターが扉を開放して脱走、事態の収束に胸をなで下ろす登場人物に襲いかかる、という流れは、『エイリアン』を含めたモンスター・パニック映画にありがちだ。案の定、再び倦怠の表情を浮かべながらコーヒーメーカーのスイッチを押した男の背後で、貨物室の扉が音もなく開き、問題の“何か”が姿を現す…。

 あれ?見覚えのある長い頭部、しなやかな尻尾、そして背中から生える突起物。これは…まんまエイリアンやん!しかも、“2”以降の。

 これは一体どういうことか。『エイリアン』っぽいオープニング、ウェイランド・湯谷社のロゴマーク。もしかして、ファンが無許可で勝手に作った小規模な『エイリアン』なのか?そんなことして大丈夫なのか?パロディやオマージュならまだしも、丸々パクるとは頂けない。宇宙では、我々のモラルは誰にも伝わらないのか?と、筆者が本来の意味とはまた別にハラハラしながら観ている間にも、エイリアンはどんどん男に近づいていく。そして…

 パカッと開いたエイリアンの口からコーヒーカップを掴んだ第2の口が登場、待ちわびた男に優しく正確に渡してあげるのであった。これは上手い!つまり、エイリアン状の“何か”はコーヒーメーカーだったのであり、我々は、少なくとも筆者は完全に騙されてしまったという訳である。

 普通に観れば極めて普通の小話に過ぎないが、『エイリアン』ファン、あるいはモンスター・パニックファンは勝手に因果律を追い、まんまと製作者の術中にはまるという仕掛け。久々にエンドロールで大笑いしてしまった。

点数:72/100点
 万人に手放しで勧められる名作では決してない。しかし『エイリアン』をこよなく愛する人々とは、きっと感動を共有できるであろう秀作に違いない。そして、それでいいのである。宇宙では、我々の趣味は誰にも伝わらない、のだから。

(鑑賞日[初]:2012.11.1)

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