[No.172] ギフト(The Gift) <76点>



キャッチコピー:unknown

 アンドロイドは一角獣の夢を見るか?

三文あらすじ:近未来のロシア。ある男が富豪の老人に贈り物(The Gift)を届ける。受け取った老人は、箱の中に伝説の聖獣“ユニコーン”が入っていると言うが・・・

<本編(4分39秒)>



~*~*~*~

 
 クオリティ超高ぇ!でも意味全く分かんねぇ!!というのが筆者の正直な感想であり、おそらく同じように思った人も多いのではないだろうか。実は、この作品、異なる監督が共通のお題でショートフィルムを撮るという企画の下制作された5本の内の1本らしく、さらになんとリドリー・スコットが一枚噛んでいるらしい。なるほど、どうりで異常にクオリティが高い訳である。

 さて、この企画には、5作品に共通して用いられるセリフというものがあるらしく、その内の1つが「It's a unicorn.」。ユニコーンとは、頭部に角を持った白馬であるが、本作にリドリー・スコットが噛んでいることも併せて想起されるのは、そう『ブレードランナー』である。92年にリリースされた“最終版”で付け加えられた、デッカードが“ユニコーンの夢”を見るシーン。詳しい説明は、同作のレビューに取っておくが、要は、デッカードが実はレプリカントであるという説を裏付けるための要素として巷を賑わした。もちろん、今以てその真偽は定かでない。

 では、本作におけるユニコーンも同じような意味合いを持つファクターなのだろうか。これは全く分からない。とりあえず“ユニコーン”とは、額の中央に一本の角が生えた馬に似た伝説の生き物であり、非常にどう猛であるが処女の懐に抱かれるとおとなしくなる、そして、その角には解毒作用がある、ということらしい。

 まずおもしろいのは、処女好きという点。このことから、ユニコーンは“純潔”の象徴とも考えられているらしいが、むしろ処女を追い回すだなんて不潔以外の何者でもないと筆者は思う。しかも、もし女性が処女でないことが判明した場合、ユニコーンは怒り狂い、その女性を八つ裂きにしてしまうらしい。恐すぎる。どんなけ処女好きやねん。

 非常にどう猛なユニコーンを捕まえる手段は、処女をおとりに使うか、もしくは仕立て屋の知恵に頼るということになっている。その方法がまた何ともマヌケで、まず仕立て屋がユニコーンをおちょくり、激怒したユニコーンは仕立て屋目がけ突進、すかさず仕立て屋は木の後ろに回り込み、哀れユニコーンは木に角が刺さり御用となる、というもの。ユニコーン馬鹿すぎ。これなら別に仕立て屋でなくても出来そうなものだが、まぁ民間伝承とはそういうものである。

 さて、このようにユニコーンは処女と仕立て屋以外捕まえられないどう猛な生物なのであり、この点が本作を観る上でもポイントになっているのではないかと筆者は考える。

 まず、本作には、処女も仕立て屋も登場しない。処女に関しては、唯一その素質がありそうな富豪の孫らしき少女が登場するが、彼女は問題の“ユニコーン箱”に一切関わらない。ロボットにしても女性型でない以上、処女の象徴として捉えるべきではないだろう。仕立て屋に関しても、やはり登場しないと考えるべきである。なぜなら、映画における立証責任はすべからく製作者サイドにあり、本作の登場人物が仕立て屋であるという描写がない以上、彼らは仕立て屋ではないと判断すべきだからである。

 したがって、本作で“ユニコーン箱”と接した3人は、ユニコーンを捕らえることは出来ない。すなわち、皆不遇の最期を遂げることになるのである。そして、ロボットが橋の上で追い詰められる終盤、観念したロボットは“ユニコーン箱”を河に投げ捨てる。『キリスト教地誌』には、断崖に追い詰められたユニコーンがそこから飛び降りて逃亡するという描写があるらしく、マクガフィンとして登場する本作の“ユニコーン箱”は、やはり空想上のユニコーンになぞらえたアイテムであろう。

 では、本作のオチについてはどう考えるべきか。筆者は、実はあの子供は女の子である、と自分を納得させることにした。魔の“ユニコーン箱”と遂に邂逅した紛う事なき処女、生娘。この出会いが物語に新たなる局面をもたらし、それを期待させて本作は幕を閉じるのである。この解釈が個人的には最も据わりが良い。

 1点残った謎は、何故ロボットは箱を持って逃走したのか、という点である。これは未だ考えがまとまらずよく分からない。“ユニコーン箱”は、見た者を、例えそれがロボットであったとしても虜にしてしまう魔力があるのか、はたまた『ブレードランナー』同様“美しくとも人工の産物”という点での共感からなのか。ユニコーンを救う男が登場する民間伝承でもあればいいのだが、筆者の浅はかな知識では今のところ謎は謎のままである。

点数:76/100点
 観る人によって様々な解釈が出来そうな素晴らしい傑作。以上に記した解釈は、浅薄な知識しか持ち合わせていない筆者の個人的な考えなので、是非正解を教えて頂きたい。

(鑑賞日[初]:2012.10.31)

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