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2012

[No.180] ノー・ウェイ・アウト(No Way Out) <45点>

No Way Out

キャッチコピー:unknown

 希望は残っていないよ、こんな時にはね。

三文あらすじ:ある男(A・J・ボウエン)が謎のモンスターに追われて逃げてくる。なんとか建物内に立て籠もるが、徐々に追い詰められる男。逃げ場がない(No Way Out)と悟った彼は、最後の手段に出る・・・

<本編(9分00秒)>
※ちょっとグロい。閲覧注意。



~*~*~*~

 
 今回鑑賞したのは、インディーズのフィルムメーカー、クリストファー・アーロン・モーガン氏のモンスター・パニック作品。原案は、なにやら海外で人気の映画サイト“AICN”のジャーナリスト、エリック・ヴェスペ氏が考案したらしい。2人とも筆者が知らぬ人物である。ってゆうか“ヴェスペ”って。“ヴェスパー”ではないのだろうか。

 “ヴェスパー”と言えば、ダニエル・クレイグ演じる新生007第3弾『スカイフォール』が、シリーズ史上最高のオープニング成績で全米1位になったそうで。前作『慰めの報酬』はどうやらファンには不評だったらしいが、筆者は中々良い作品だと思ったし、今回もファンによる前評判は芳しくないながら、12月1日の日本公開が今から待ちきれない。

 さて、本作の内容である。とりあえず、中盤までの展開は、正統派モンスター・パニック作品としてまずまず素晴らしい出来。モンスターを極力登場させず、それでいてスリルと緊迫感を持たせた演出は、非常に上手い。これは、ひとえにカメラワークとカット割りの妙に寄るところが大きいと思われる。

 難点を言うなら、まず、モンスターは別に登場させなくても良かったと思う。本作のモンスターは、一瞬だけその全貌を明らかにするが、むしろそうはせず、奇妙な触手や不気味な足を見せるだけで最後まで引っ張った方が、様々な想像が膨らんで楽しく、そして恐かったのではないか。しかも、本作の監督にはそうするだけの技量があると感じる。

 もう1つの難点は、主人公の行動に合理性がないという点。これは、この手の映画で絶対にやってはいけないことであり、どちらかというとこちらの難点の方が決定的である。もちろん、彼のラストにおける行動のことを言っているのではない。そうではなくて、例えば、主人公の男は、序盤で舞台となる一室に逃げ込み、外からモンスターがドアを押し開けようとするのを必至で押さえるのだが、モンスターの猛プッシュが終了すると“やれやれ一安心”とばかりに気を緩めてしまうのである。これは頂けない。モンスターは一時退却しただけであり、いつまた襲ってくるか分からない。しかも、しっかりしたドアならいざ知らず、この部屋のドアは、押せば簡単に開くいわゆるレストランの厨房式ドアである。それならば、モンスターから今まで必至に逃げてきた男は、当然まずドアにバリケードを張るのが合理的な行動。そうはせずに、しかも、他の侵入口のチェックすらサボって(実際にその後モンスターは他の侵入口から登場している。)大声で助けを呼び始める男の姿は、滑稽で、不合理だ。

 まぁ、それは一応大目に見るとして、本作で一番注目なのは、やはりラストで男がとる行動である。すなわち、彼は、カミソリで自らの頭皮を切り開いた後、むき出しの頭蓋骨を壁にぶつけて割り、取り出した生の脳みそを小さな窓から外界へ放り出す。かなり常軌を逸した、ある意味不合理の極みのような行動であるが、それだけに解釈の余地は広がる。

 普通に考えるなら“俺の魂はやらねぇぞ!”というモンスターに対する男の最後の抗いと捉えられるのではないだろうか。少なくとも、筆者はこのように解釈した。

 “魂”の在処について、日本では広く心臓の位置にあるというのが定説化しているが、欧米諸国では脳にあると考えられているらしい。逃げ場を失い、もはや助からないと悟った男は、残った気力を振り絞り、せめて“魂”の在処たる脳だけは、モンスターの手の届かない場所に逃がした、ということだ。これはもう現実的・実際的なオチではない。男とモンスターの死闘は、すでに心意気のぶつかり合いという局面を迎えており、それはすなわち“種族間のプライドを賭けた戦い”と言える。こう解釈すると、本作は、ある意味で『遊星からの物体X』のような熱い“漢”のモンスター・パニック作品とも言えそうだ。

 でも、本作の雰囲気からしてそれはなんだか違うような気もする。なにかもっとこう神話的なメタファーとして、男の行動が描かれているような気配。しかし、哀しいかな、筆者はそういった“神々の遊び”に疎いので、本作の真の意味を理解した人からの意見を是非賜りたいと思っている。

点数:45/100点
 中々に前衛的なモンスター・パニック作品。惜しむらくは、やはり主人公の非合理性であり、さらには“逃げ場がない”という点に説得力がないということ。オチだけでなく、モンスターに関しても、一切の物理的拒絶が無効というアヴァンギャルドなものにすれば、本作はもっと素晴らしい作品になっていたのではないだろうか。

(鑑賞日[初]:2012.11.12)






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Tag:グロ注意 衝撃のラスト!

2 Comments

あむる  

男の不合理な行動を説明できるようにモンスターについて想像してみました。

○バリケードを張らない+足刺されても叫ばない
    ↓
モンスターは一旦麻痺らせてじわじわ後で食べるタイプ?
触手に捕まると食べられてしまうので、男は一晩中をずっとカミソリで防ぎ続けていたんでしょうか?

○厨房式ドアを開けた+光の中に手を伸ばす
    ↓
モンスターはある種類の光に弱い?
そうするとドアを開けたことも、脳を外に逃がしたことも説明できるのかな?

んーでもやっぱりしっくりこないですー。

2012/11/13 (Tue) 00:26 | EDIT | REPLY |   

Mr.Alan Smithee  

Re:

麻痺させるタイプのモンスターという可能性は、充分にあると思います。だいたいよく分からんけどクモっぽいモンスターっていうのは、人間を麻痺させて食べます(『アラクニッド』参照。)。

 それから、ある種の光(外の光)にモンスターが弱い、というのも説得的です。主人公が外に脳みそを出したことから、あの真っ白な世界は、抽象的にせよ具体的にせよ“モンスターの手の届かぬ世界”で間違いないと思われます。

 ご意見ありがとうございます♪

2012/11/21 (Wed) 21:11 | EDIT | REPLY |   

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