[No.186] 巨神兵東京に現る <83点>

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キャッチコピー:『エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。』

 世界の終焉は、人智の及ばぬ静寂、壮麗、無慈悲を以て我らに迫る。あるいは、すでに。

三文あらすじ:東京。いつもと変わらぬ日常に突如“巨神兵”が現れる。それは、世界の終焉たる“火の7日間”の始まりだった・・・


~*~*~*~

 
 『ヱヴァ新劇場版:Q』と同時上映のショートフィルム。宮崎駿の傑作アニメ『風の谷のナウシカ』で腐敗した巨神兵の作画を担当したのが庵野秀明であったことから彼自身が自分の大好きな特撮技術をフル動員し、制作したものである。

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 まず、東京の日常的な風景の中、林原めぐみのナレーションで物語は幕を開ける。まるで綾波レイが喋っているようなたどたどしく、奥深く、不安を煽る声色。

 そして、突如、巨神兵が東京に現れる。まるで、イーサン・ハントのような地面スレスレの低空飛行で。これは少しだけ笑いそうになった。

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 あと、笑いそうで言うなら、エンドロールに“巨神兵 宮崎駿”と出てくるのもちょっとビックリ面白い。巨神兵の原案は宮崎駿氏によるものである、という意味なのだろうが、何だか宮崎駿が老体にむち打ち巨神兵のスーツアクトを演じきった印象を受ける(まぁ、もしかしたらモーキャップくらい本当にやったのかもしれないが。)。

 冗談はさておき、やっぱり現代の特撮技術はスゴイ。巨神兵の放つ一閃がことごとく街を破壊していくのだが、これが圧倒的なビジュアルイメージ。そもそも、我々が完成形の巨神兵を見るのはこれが初めてであり、その点での発見も多い。彼らが放つビームは、実は口からメカニックな砲身が飛び出して放っていた、ということ。背中に複数生えたトゲが光の翼になり空を飛ぶということ。そして、そのビジュアルが、エヴァンゲリオンに酷似しているということ。キャッチコピーは伊達じゃない。本当にエヴァは巨神兵をモチーフにデザインされているように見える。

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 巨神兵登場後は、目の前で街が破壊されているにも関わらず、ベランダに出てそれを眺めたり携帯で写メを撮ったりする人々の姿が印象的。人間は、厄災に関してことごとく無自覚だ。それが眼前に姿を現した後でさえも。

 もっとも、これは別に自然的・物理的な事象に限らない。自らに降りかかる“不幸”に関して、人は絶対的な無自覚を貫いている。生きている限り“不幸”はどこにでも存在しているはずなのに、持ち前のポジティブさは尽きることを知らぬ。いざ“不幸”がその手を伸ばしてきた後でさえ、とりあえず事態を楽観的に見ることを止めようとはしない。そもそも、それを“不幸”と呼び習わすこと自体、反吐が出るほどに楽観主義的であろう。今の筆者だって、笑ってはいられない。

点数:83/100点
 非常に楽しめる傑作特撮ショートフィルム。ただ、何らかの一貫性を持ったストーリー展開を想像してはいけない。これは、特撮大スキ監督庵野秀明が、ただただ巨神兵に東京を破壊させるだけのお話だ。だから、本作終了後、周りの観客から若干疑問の声が漏れ聞こえたし、筆者の弟ですら「こんなとき、どんな顔すればいいか分からないの…。」などと呟く始末。巨神兵の格好良さと圧倒的なカタストロフィだけを楽しみに鑑賞してもらいたい。

(劇場鑑賞日[初]:2012.11.18)
(劇場:ユナイテッドシネマ岸和田)

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Comment

  • 矢部結城菜
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いいと思います!

  • Mr.Alan Smithee
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Re:

ありがとうございます!

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