[No.201] ダイ・ハード3(Die Hard:With A Vengeance) <85点>

Die Hard3



キャッチコピー:『世界一、運の悪い奴。今度はニューヨークが戦場だ!』

 A GOOD DAY TO CALL YOUR WIFE.

三文あらすじ:ある夏の日、繁華街のショッピングモールが何者かによって爆破される。「サイモン」と名乗る犯人(ジェレミー・アイアンズ)は、NY市警の刑事ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)を指名し、市民を人質にとった「命令ゲーム」を開始する。ひょんなことからゲームに巻き込まれた家電修理店店主ゼウス・カーバー(サミュエル・L・ジャクソン)とコンビを組むことになった世界一不運な“不死身の(Die Hard)”男は、炎天下の大都会で今度は猛烈な(With A Vengeance)戦いに挑んでいく・・・


~*~*~*~

 
 不死身のタンクトップヒーローが大活躍する超人気シリーズ第3弾。しかし、シリーズものの性か、本作は、前2作とはやや趣を異にする作品である。

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 まず、舞台が広いということ。第1作は高層ビル、第2作は国際空港で繰り広げられたジョン・マクレーンの戦い。今回の舞台は、NY市全域である。これはいただけない。本シリーズは、世界一不運なオヤジが閉鎖された限定空間をチョロマカチョロマカと動き回り、高度に統率されたプロの武装集団と分の悪い死闘を演じるという点が素晴らしかった。確かに、本作でもジョン・マクレーンは、NY市内を所狭しと動き回るのだが、町全体を舞台にしたアクションなんて、それはもうただのアクション映画である。

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 しかし、本シリーズの制作陣は巧妙である。シリーズ第4弾において、舞台をアメリカ全土に、第5弾において、舞台を世界(ロシア)に広げることで、あたかも本シリーズが徐々に主人公の活躍の場を広げていく構成だったかのように仕立てているのだ。これはこれである種の一貫性が保たれており、シリーズの軸が大幅にぶれることを阻止できていると言ってもいいだろう。そういった意味においては、本作の舞台も随分限定された空間と言えなくはないし、何より今後のシリーズの方向性を結果的に決定づけたわけだから、文句ばかり言わず素直に受け入れるべきかもしれない。

 それに、大都会NYを舞台に繰り広げられるアクションは、ベタには違いないがやっぱり血湧き肉躍る。まぁ、本作の制作チームは、別にダイ・ハード魂を始めから無くしていた訳ではなくて、最初は本作の舞台を船にしようとしていたというのは有名な話。しかし、スティーブン・セガールの『沈黙の戦艦』のヒットを受けて急遽『Saimon Says』という別脚本をダイ・ハード用に改造したのである。飛行機にしてしまうと『エアー・フォース・ワン』と被ってしまうし、なかなか難しいところである。ちなみに、クライマックスでマクレーンとゼウスが敵の船舶に潜入するが、これは船を舞台にしようとしていたことの名残であるらしい。

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 本作がこれまでの本シリーズのルールから逸脱している2つ目のポイントは、バディ・ムービーになっているというところである。

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 ジョン・マクレーンという男が前2作で繰り広げてきた戦いは、全く孤独なものであった。相手は軍隊のようなプロ集団であるにもかかわらず、彼は周囲の理解も得られないままたった独りで孤独に戦う。これがよかったのだ。だからこそ彼の“世界一不運な男”という肩書きにも何らかの説得力があったのだし、だからこそ我々はマクレーンの死闘に熱狂し、ラストの大団円では熱い涙を流したのだった。しかし、本作において、マクレーンは、電気修理屋のゼウスと終始バディを組んで行動する。それだけでなく、彼を取り巻く同じ部署の刑事たちや、あまつさえFBIの捜査官までが非常に協力的。本作のマクレーンは、不運どころかむしろ中々恵まれた環境でアクションを繰り広げている。

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 しかし、この点について、筆者はあまり強く非難できない。なぜなら、マクレーンとバディを組む電気修理屋ゼウスを演じるのが、筆者の敬愛するサミュエル・L・ジャクソンだからである。真面目な一般市民役だから、彼の持ち味であるハイテンションの中にも凶暴性をちらつかせる演技は垣間見えないものの、やはり彼が出演すると映画がぐっと締まる。

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 ルール逸脱の3点目は、季節が夏という点だ。前2作における季節は、共に冬。そして、共にクリスマス。これがよかったのに。真夏の炎天下の下では“HO-HO-HO”というジョークも“まぁいいさ。今日はクリスマスだ。”という感動の台詞も登場のしようがない。当然エンディングで『LET IT SNOW』が流れることもない。アクション映画でありながらクリスマス・ムービーである、という点が本シリーズの個性だっただけに、この点の変更は非常に残念である。もっとも、一応マクレーンが「この辺りでサンタクロースを見なかったか?」という趣旨の発言をするシーンがあり、ファンへのせめてものサービスだと考えられる。

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 以上、ここまでは、本作が如何に前2作のルールから逸脱しているかを述べた。とはいえ、本作の監督は、第1作と同じジョン・マクティアナンである。2作目をレニー・ハーリンに任せた彼は、3作目にして再び登板、すなわち復讐(Vengeance)をかます上で、本シリーズ、特に彼自身が監督した第1作へのオマージュを多く取り入れている。

 まず、マクレーンとホリーの関係。第1作において謝罪の大切さに気付き、ホリーへの愛を再確認したマクレーンは、第2作では、ロサンゼルス市警へ移籍、作中2人の関係は良好のように見受けられた。これはこれでありだと思う。しかし、マクティアナンの中では、やはり2人はいつまでも上手くいかない夫婦であるようだ。2人の関係という側面から考えるなら、絶対にこのままシリーズを終了させておくべきだった…。

 ちなみに、マクレーンがホリーに電話をかけるシーンを良く見てみると、彼が吸う煙草の銘柄が分かる。そう、それはマルボロ12mg。しかも、ソフトケース。スパイク・スピーゲルが吸い、バレンタイン・ミッキーが吸い、そしてジョン・マクレーンも愛飲している赤丸ソフトケース。彼らのようなヒーローたちに憧れ、同じ銘柄を吸っているという人も多かろう。もちろん、Mr.Alan Smitheeもその例に漏れない。

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 次に、事件の首謀者。これは単純明快、本作の犯人は、第1作でナカトミ・プラザを占拠した犯人ハンス・グルーバーの兄サイモン・ピーター・グルーバー。犯行の動機も、一見弟の復讐と見せかけておいて実は準備銀行に貯蔵されている大量の金塊だった、というように、第1作と似通った構図になっている。

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 他にも細かい点を言うなら、例えば、マクレーンのタンクトップ。白いタンクトップ姿で暴れ回るのはもちろんのこと、後半で大きな水たまりに突っ込み、しっかりと全体を汚している。1作目においても、マクレーンのタンクトップは、途中から突然全面的に汚れていた。これは、マクレーンが下水タンクに落下したシーンがカットされたための唐突さであったのだが、本作でもこの点をきちんとオマージュしているのではないだろうか。

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 さらには、決着の銃弾は2発という点もオマージュと言っていいだろう。1作目では、最後に残った2発の銃弾を使って、マクレーンが見事にホリーを救出する。本作でも、マクレーンがラストでサイモンの乗ったヘリと決着を付けるシーンで残った銃弾は2発。非常に良いオマージュだが、1作目では1人に1発ずつたたき込み2人を倒したのに対して、本作では、2発ともを電線に打ち込んでおり、合理性という点では1作目に軍配が上がるだろう。

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 そして、最後の決めぜりふは、本作でももちろんコレ。

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「Yippee-ki-yay, Motherfucker!」


 まぁ、2作目からそうだったのだが、もはや作中でカーボーイ関連の話題が出ることもなく、この名台詞は一種の様式美と言ってよさそうだ。全シリーズを通して変わることなく一貫しているのは、厳密にはこの台詞だけかもしれない。

点数:85/100点
 色々と悪口めいたことばかり書いてきたが、正直アクション映画としての本作は、めちゃくちゃおもしろい。オープニングはシリーズNo.1だし、マクレーンを二日酔いにさせ、彼の疲れたセクシーさを存分に描くという趣向も素晴らしい。おまけにサミュエル・L・ジャクソンが準主役ときた日にはもう最高である。筆者もマクレーンのように素直になる必要がありそうだ。

(鑑賞日:2012.2.21)

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