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07
2013

[No.205] ジャンゴ 繋がれざる者(Django Unchained) <78点>





キャッチコピー:『これがワイルドだ。』

 Auf Wiedersehen, Dr. Schultz.

三文あらすじ:南北戦争から2年前のアメリカ、ディープサウス。ドイツ人のバウンティ・ハンター、ドクター・キング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)は、ターゲットの顔を知る奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を買い受ける。見事ターゲットを仕留めたシュルツとジャンゴは、コンビを組み、ジャンゴの妻ブルームヒルダ・ヴォン・シャフト(ケリー・ワシントン)を救うため、強大な権力を持つ大農場主カルヴィン・J・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)に戦いを挑む・・・


~*~*~*~

 
 『ダイ・ハード/ラスト・デイ』では、あろうことか公開日を1週間以上過ぎて初めて鑑賞した筆者であるが、敬愛するタランティーノの最新作『ジャンゴ 繋がれざる者』は、さすがに公開初日に鑑賞してきた。

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 感想を一言で言うなら、ハジけきれていない。本作は、前作『イングロリアス・バスターズ』に引き続き、いわゆる歴史物である。南北戦争直前のアメリカ。そこにはまだ奴隷制度が色濃く残っている。したがって、本作中には“ニガー”という差別用語が頻発。アメリカ本土ではこの点がやや物議を醸したのだが、時代設定上別に問題などないはずだろうに。また、奇しくも南北戦争を舞台に、奴隷制度を廃止した米大統領を描くスピルバーグの最新作『リンカーン』と本作が、アカデミー賞作品賞に揃ってノミネートされた、というのも少しおもしろい。

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 アカデミー賞と言えば、本作が受賞したのは、助演男優賞脚本賞の2部門。結局、作品賞は取り逃した、という形になったが、この2部門の受賞は、個人的に本作に対する最大の栄誉ではないかと思う。すなわち、タランティーノ作品というものは、基本的に“分かる奴だけついて来い!”というスタイルであり、辛気くさい割には金だけ掛けた重厚な大作を好むアカデミー会員の琴線に触れるものではない。本作は一応“歴史物”という体裁ではあるが、実質はウエスタンでありアクション映画であるから、そもそも作品賞を獲ることなどあり得ないのである。

 そんな状況の中、タランティーノ作品の“売り”は昔から大胆かつ緻密に組まれた脚本であったし、本作に限って言えば助演を務めるクリストフ・ヴァルツの演技が本当に素晴らしかった。だから、実際には、本作がノミネートされたのに受賞を逃したのは、撮影賞と音響編集賞だけと考えて差し支えないだろう。タランティーノ作品が作品賞を獲るのは、『キル・ビル Vol.3』のときでいい。その頃には、凝り固まったアカデミー会員の考え方も“アンチェインド”されていることを願っている。

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 話が少し逸れてしまったが、本作は“歴史物”であって、その点では前作と共通している。しかし、前作では史実を大胆にぶっ壊し、物語終盤でヒトラーをぶっ殺した。まぁ、史実をぶっ壊したというか歴史をおちょくったというか、いずれにせよ、タランティーノ的な極めてハジけたオチであって、大変素晴らしい。

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 しかし、本作では、そのようなぶっ飛びポイントが無い。もちろん、タランティーノ自身が“史実に沿ったものにはしたくない”と語っているだけあって、全部が全部史実通りに展開しているわけではないのだろうが、やはりそれだけでは物足りない。我々のタランティーノに対するハードルはもはや上がりきっているのだから、“史実に沿わない”というだけでなく“積極的に史実に反していく”ぐらいの試みを期待してしまう。それこそ、南北戦争を根底から覆すくらいの大オチがあれば、本作はもっと素晴らしいものになっていたはずだ。クー・クルックス・クランの実は庶民的なやり取り、というギャグシーンも正直つまらないし。

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 では、本作の素晴らしい点について述べる。

 まず、役者の演技。何と言っても素晴らしいのは、もちろんクリストフ・ヴァルツである。

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 彼は、前作『イングロリアス・バスターズ』で彗星のごとく現れ、我々の心を鷲づかみにしたドイツ系俳優。特に、冒頭で農夫を追い詰めるシーンの演技は、天晴れの一言に尽きる。やり過ぎなくらい丁寧でこの上なく仰々しい立ち居振る舞い。しかして、その中に秘めた氷のように冷たい残虐性。何より、最近のタランティーノの作風にバッチリはまっている。

 そんな彼の演技は、本作でももちろん健在。主人公サイドの人物なので前作のようないやらしさは若干なりを潜めているものの、慇懃無礼とも言える紳士の振る舞いから一瞬で残酷なバウンティ・ハンターに変貌する瞬間は、本当にシビれる。

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 続いて、本作のボスキャラ、極悪非道の農場主カルヴィン・J・キャンディを演じるレオナルド・ディカプリオ

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 これもまた素晴らしい演技。唐突に絶叫するシーンなんかは、ちょっとわざとらしいなぁ…と思わないでもないが、それでも悪辣で残虐、そしてどこかしらコミカルな悪役を好演していると言っていいだろう。ディカプリオと言えば、もちろん『タイタニック』で一躍世界のトップスターに躍り出た訳だが、その後調子に乗りすぎて(『ザ・ビーチ』辺りがピーク)、長らくアカデミー賞から干されている状態が続いている。しかし、近年は、非常に良質な作品で極めて上質な演技を披露しており、そろそろ何らかの賞をあげてもいい頃だと思う。

 そして、筆者大注目のサミュエル・L・ジャクソン

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 黒人でありながらキャンディの右腕的存在というトリッキーなキャラクター、スティーブンを好演している。しかしまぁ、ブルース・ウィリスといいサミュエルといい、おじいちゃんになってしまったなぁ。時代の移ろいであり、世代交代に期待である。

 では、サミュエル同様の黒人俳優として本作の主演を務めるジェイミー・フォックスの演技はどうか。

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 これがなぁ…。本作同様、ハジけきっていない、という印象。もちろん、ジャンゴというキャラクターは終始寡黙な人物ではあるのだが、時折激高するようなシーンでも、サミュエルが見せるような狂気までは感じられなかった。世代交代はまだ遠いようだ。

 あと素晴らしいところは…そう、オープニングはやっぱり中々良かった。ジャンゴを始めとした奴隷達が、荒野を連れて行かれるシーン。ジャンゴ~♪という“ジャンゴのテーマ”が流れ、音楽に合わせてタイトル・バック。

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 本作のタイトルやスタッフの文字色は、これまでのタランティーノのイメージ・カラーである黄色ではなく、血を思わせる真紅。これは、本作がジャンゴの復讐をテーマにしているからか、それとも奴隷制度という流血の歴史を描くからか。もっとも、場所を表示する際は今まで通りの黄色であった。

 それから、ラストシーンも中々格好良かった。終盤、ドクター・シュルツとキャンディが差し違え、ジャンゴは再び“チェインド”されてしまう。一旦救出されたかに見えた妻も再び囚われの身になる。しかし、労働場に輸送される途中、機転を利かせたジャンゴはもう一度自らを“アンチェインド”し、キャンディ・ランドに舞い戻る。そこで対峙するのは、亡きキャンディの右腕スティーブン。つまり、本作は全編奴隷制度を描きながら、最終的には“黒人vs黒人”という様相を呈することになるのである。

 ジャンゴは、スティーブンと共に帰宅したキャンディファミリーをまず一掃。キャンディの姉ララ・リー・キャンディ=フィッツウィリー(ローラ・カユーテ)の死に様がタランティーノらしくおもしろい。拳銃を1発打ち込まれただけで隣の部屋まで一瞬にして吹っ飛んでいくというオーバーな最期。最後に残したスティーブンの両膝に銃弾を叩き込み、悶えながらも悪態をつく彼を残して、ジャンゴは屋敷の外へ。馬上で待つ妻に一瞥をくれ、屋敷の前で仁王立ち、ポルコ・ロッソばりの丸サングラスを装着したジャンゴの目の前で、キャンディ・ランドは大爆発。自由を手にした2人が旅立ち、ハッピーエンド。この一連のくだりは、スピード感もあり、文字通りぶっ飛んでもおり、非常に格好良くて素晴らしい大団円であったと思う。

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点数:78/100点
 筆者の大好きなタランティーノ作品だし、もちろんおもしろくはあったのだが、絶賛するほどではなかった、というのが正直な感想。まぁ、ウエスタンをよく知らない筆者には、本作に散りばめられた数々のオマージュが理解出来なかったということもあるのかもしれない。筆者同様、タランティーノのハジけきった姿を期待する人は、一緒に来年公開予定の最新作にしてサーガの続編『キル・ビル Vol.3』を心待ちにしよう。

(鑑賞日[初]:2012.3.1)
(劇場:ユナイテッドシネマ岸和田)










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  • 2013.03.30 (Sat) 02:37 | 名機ALPS(アルプス)MDプリンタ
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