[No.204] デス・プルーフ in グラインドハウス(Death Proof) <78点>

Death Proof



キャッチコピー:『究極のスリルと最強のヒロイン。スッキリ爽快なガールズ・スラッシャー・ムービー誕生!』

 美脚とカーアクションを愛する全てのマザー・ファッカーたちへ。

三文あらすじ:テキサス州オースティン、地元ラジオ局のDJジャングル・ジュリア(シドニー・ターミア・ポワチエ)は、友人のアーリーン(ヴァネッサ・フェルリト)、シャナ(ジョーダン・ラッド)と共に「テキサス・チリ・パーラー」という飲み屋へ。アーリーンは、そこでスタントマン・マイク(カート・ラッセル)という男に出会うが、彼が自分たちを一日中つけ回していたことに思い当たる。アーリーンらは、車で店を去るが、時を同じくして、自身の“対死仕様”(Death Proof)の車で店を後にしたスタントマン・マイクが恐ろしい本性を露わにする・・・


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 タランティーノと盟友ロドリゲスが、低予算のB級映画ばかり上映するB級映画館を現代に蘇らせんと画策したのが、本作及び『プラネット・テラー』の2本組“グラインドハウス”シリーズである。

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 そのため、『プラネット・テラー』でチェリー・ダーリンを演じていたローズ・マッゴーワンが本作でスタントマン・マイクの犠牲になる女性パムを演じていたり、マイケル・パークス演じるテキサスレンジャー、アール・マックグロウとその息子エドガーが両作に共通して出演していたりする。この辺の遊び心は、タランティーノ作品お馴染みで、非常におもしろい。

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 ちなみに、グラインドハウス作品だけでなく『キル・ビル Vol.2』『フロム・ダスク・ティル・ドーン』にも登場するアール・マックグロウは、彼の息子を“SON NO.1”と呼ぶが、演じるマイケル・パークスとジェームズ・パークスは、実際に親子関係にある。さらに、アールは、『フロム・ダスク~』の冒頭で殺されてしまったため、同作が時系列的に最も未来の話だと分かる。

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 さて、まず本作は、あらすじを書くのが非常にむずかしい。前半と後半でばっつり分かれた2部構成になっているため、後半まで説明しようとするなら中オチを言わざるを得ないし、かと言って前半のみ伝えるのでは、後半の登場人物が紹介できない。結局、筆者は、衝撃的な中オチを秘匿することを選び、前半のみのあらすじに留めた。

 その一方で、筆者が抱いた本作の感想はいたってシンプルである。すなわち、ガールズトークはつまらない、カーアクションは分からない。これに尽きる。

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 タランティーノ作品の魅力の1つに、登場人物のくだらない会話というものがある。『レザボア・ドッグス』における“ライク・ア・ヴァージン”のくだり、『パルプ・フィクション』におけるフット・マッサージのくだり。ストーリー展開上何の意味も持たないそれらの会話は、グダグダダラダラと続く割には非常に魅力的で、ずっと聞いていたい気にさせられる。少しオーバーな表現になるが、それはおそらく、彼らの会話に人それぞれのこだわりや人生哲学が表れていたからだろう。

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 マドンナの話を真剣に展開するMr.ブラウンやマッサージとは何たるかを熱く語るヴィンセントの姿からは、彼らの頑固な性質や、それでいてなんだか良い人なんだなという雰囲気がビンビン伝わってきた。くだらない話題を真剣そのものに語る彼らは、ある種可愛くすらあったのである。

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 しかし、本作における無駄話は、少し趣が違う。本作の登場人物はほとんどが女性であり、必然無駄話もいわゆるガールズトーク、すなわち恋やファッションの話になる。これがくだらない。もちろん、それは筆者が男だからその手の話題にあまり興味がない、という部分が大きい。とは言え、彼女らが展開する恋バナは、あの男とヤッたのヤラなかっただの、あの男とヤリたいだのヤリたくないだの、なんだかとってもゲスなのである。

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 そこには、もはや一介のギャングや掃きだめの銀行強盗のような、いわばお気に入りのオモチャで真剣に遊ぶ子供のような無邪気さや可愛らしさは微塵も感じられない。この感覚は、そう、まさに『セックス・アンド・ザ・シティ』を観た後の、あのどんよりしたうんざりした感覚に似ている。しかも、本作では、そんな苦痛とも言える無駄話が、まさかの2部構成でお送りされるのである。まぁ、これがリアルなガールズトークというものなのかもしれないし、筆者をこれだけうんざりさせるということは、タランティーノが描くそれは真に迫ったものなのだろうが、ヤッたヤラないだのあの服が可愛いだの、そんな話はもうお腹いっぱいである。

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 本作を構成するもう1つの重要要素は、カーアクションである。これは上記のようなキャピキャピした世界ではなく、硬派でロマン溢れる“漢”の聖域と言っていいだろう。

 しかし、哀しいかな、筆者は、車に全く興味が無い。007のアストン・マーチンって格好いいなぁとか、せいぜいその程度の認識で日々暮らしている。したがって、これは全く筆者が悪いのだが、後半展開される長尺のカーチェイスシーンがとっても退屈なのである。『バニシング・ポイント』が名作だと言うことは知っているし、いつか観てみたいとは思っているが、それでもゾーイ(ゾーイ・ベル)やキム(トレイシー・トムズ)のように熱く魂をたぎらせることはできない。

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 と言うわけで、筆者の心に響く要素をほとんど持っていない本作ではあるが、その実本作のテーマは“男性讃歌”にあるのではないか、とふと思ったりもする。

 本作は、大きく前半と後半の2部構成になっており、まず、前半で登場したアーリーンらは本性を現したスタントマン・マイクによって見るも無惨な最期を遂げることになる。そして、後半。またしても4人組の美女たちに目を付けたスタントマン・マイクは、今度は彼女らの思わぬ反撃を受け、こっぴどくやられてしまうことになる。

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 映画的な役割で言うなら、前半は観る者のフラストレーションとスタントマン・マイクへの憎悪を蓄積させる前フリのパート、後半は一転スタントマン・マイクが女性陣からボコボコにやられるカタルシスパートということになろう。では、前半で死亡したアーリーンらと後半で反撃に転じたゾーイらの違いは、どこにあったのだろうか。

 ペチャクチャと恋バナばかりに終始したアーリーンら。一方のゾーイらは、恋バナもそこそこに車への愛を爆発させる。ここに大きな違いがある。つまり、スタントマン・マイクに打ち勝つことができたのは、車への飽くなき憧れに象徴される“漢”の魂を持った女性だけなのである。その証拠に、後半パートにおいて、スタントマン・マイクをコテンパンにする際、アーリーン同様昨日のイチャイチャの模様を克明に語り、おそらく“漢”の魂など微塵も持っていないであろう女優のリーは、ダッジ・チャレンジャーの担保として置いてきぼりをくらっている。

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 そして、そう考えると、前半パートでのくだらないガールズトークにもやや得心がいく。ウダウダとしょーもないことばかり喋っていたアーリーンら、その最期は、四肢をバラバラに吹っ飛ばされるほどのカークラッシュという悲惨なものだった。しかも、タランティーノは、その最期の様子をこれでもかというくらい執拗に詳細に描写する。これは、タランティーノ自身が、女のくだらない無駄話を木っ端微塵に破壊した瞬間なのではないだろうか。あまりにも不謹慎で言うのがはばかられるところではあるが、本作の中オチは、実はかなりのカタルシスを含んだものなのかもしれない。

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 その他、本作の見所としては、やっぱり美女の美脚であろう。まぁ、必ずしも美女ばかりではないような気もするのだが、登場する女性はみな素晴らしい曲線美。しかも、その足をまさに“舐める様に”しつこく描写していく。そういった意味でも、本作は、タランティーノのフェチが最も露骨に爆発した作品と言えると思う。

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 ちなみに、そんな美脚美女の1人リーを演じるメアリー・エリザベス・ウィンステッドは、『ダイ・ハード4.0』及び『ダイ・ハード/ラスト・デイ』において、マクレーンの娘ルーシーを演じている。さらに、『遊星からの物体X ファースト・コンタクト』では、主人公ケイト・ロイド博士を演じている。この情報は、あくまで筆者の趣味である。

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点数:78/100点
 『キル・ビル』ではなりを潜めていた“無駄話”が復活したものの、個人的にあまりピンと来なかった本作。“グラインドハウス”ならではの趣向として、わざとフィルムに傷を付けたり、音ズレを演出したり、白黒にしてみたりという工夫は大変おもしろいのだが、その点では『プラネット・テラー』に軍配が上がる気がする。さて、次回、公開初日に観てきたタランティーノ最新作の未だ書いていなかった感想を“アンチェインド”したいと思う。

(鑑賞日:2012.2.28)

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