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2013

[No.206] ONE PIECE FILM Z <83点>

CATEGORYアニメ
ワンピースZ



キャッチコピー:『標的、全海賊。』

 容疑者“Z”の復讐。

三文あらすじ:“偉大なる航路<グランドライン>”後半の海“新世界”にあるファウス島で、古代兵器にも匹敵する破壊力を持つ鉱石“ダイナ岩”が強奪される。犯人は、海軍の正義に絶望し、新世界の海賊全滅を目論む元海軍大将“Z(ゼット)”(声:大塚芳忠)。偶然Zに出会った“麦わらのルフィ”ことモンキー・D・ルフィ(声:田中真弓)は、奪われた麦わら帽子を取り戻すため、彼が率いる“麦わらの一味”の仲間と共に、Zに戦いを挑む・・・“ひとつなぎの大秘宝<ワンピース>”を巡る海洋冒険ロマン!


~*~*~*~

 
 原作者尾田栄一郎を総合プロデューサーに迎え『STRONG WORLD』の感動と興収よ再び!と企画されたワンピース劇場版最新作を、非常に遅ればせながら鑑賞してきた。『STRONG WORLD』の感想で熱く書いたが、やはりワンピースは筆者のバイブルであり、公開日から3ヶ月近くが経とうとも是非押さえておきたかったのだ。例え、コミックス最新刊が、依然としてかつての男気と熱さと簡潔さを失ったままのドタバタ漫画であったとしても、である。

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 さて、本作の感想は、一言で言って“期待以上”であった。『STRONG WORLD』に関しては、正直“期待はずれ”。それは、劇場版史上初の原作者監督抜擢というニュース性や、Mr.Childrenの新曲がテーマソングになっているというサプライズによって、個人的なハードルが上がりすぎていたためもあった。その点、本作では、前作でややガッカリした分あまり期待もしておらず、予想外の良質な出来に驚くことになった。映画では、こういったことが頻繁に起こる。

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 本作は、アヴァンからオープニングシークエンスにかけてが、まず素晴らしい。バトーさんの「う~みはみ~ているぅ~~♪」といういぶし銀な歌声に乗せて、Zの代名詞とも言える右腕の超重量兵器“バトル・スマッシャー”の装着映像が“寄り”で映し出されるオープニング。これは格好いい。“おっさん”と“メカ”が醸し出す絶妙の化学反応は、まるでスパイダーマン史上最高のヴィラン“ドック・オク”のような雰囲気。

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 その後、ダイナ岩を奪おうとするZとそれを止めようとする海軍とのファウス島の死闘は、映像的に圧巻。特に、Zが雑魚海兵たちをスマッシャーでなぎ払っていくシーンは、本当に格好いい。まぁ、なんだか「海賊無双」のCMで見たような映像ではあるものの、Zの強さと格好良さを端的に伝え、観客を物語に引き込むためには十分な戦闘シーンと言えるだろう。

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 そして、一方の麦わらの一味にスポットを当て、火山灰が降ってきてオープニングタイトル。このシークエンスに関しては、正直タイトル後にした方が良かった。しかし、オープニングタイトルは極めて格好いい。『STRONG WORLD』では、期待に反する和やかで愉快なオープニングだったのだが、今回は期待以上のクールなオープニング。筆者が『STRONG WORLD』で観たかったのは、このオープニングだったのだ。終始“Z”という人物を軸に据えた映像展開も、本作のテーマを色濃く反映しており素晴らしい。

z③


 本作のテーマは、ずばり“Zという漢”であろう。ゼファーが如何にして絶望し、如何にして“正義”を形成し、如何にして“Z”となり、そして、如何にしてその人生を完結させるか。これを麦わらの一味との戦いを通して描いていくのである。確かに、前作でもヴィランである“金獅子のシキ”が非常にいぶし銀な悪役として描かれていたのであるが、それはあくまでも麦わらの一味の冒険を形作りその目標と成るべき人物として登場した。これに対し、本作は、Zから始まり少年ゼファーで終わる、という構成からも明らかなように、完全なる“Zの物語”。つまり、『STRONG WORLD』とはある意味で逆に、麦わらの一味がZという男の人生最後のドラマを盛り上げているのである。これは言うなれば、人気シリーズの劇場版でありながら、敢えてそのタイトルを冠さず、犯人の人生を描いた『容疑者Xの献身』と似た試みである。

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 そして、Zという漢を描く試みは、本作において成功していると言っていいだろう。ゼファーに降りかかった災難は悲劇的かつ端的なので、彼が“海軍の正義”に絶望したことも納得だし、自身が信じるヒーロー“Z”になった後の彼のいぶし銀さもしっかりと描けている。何よりも筆者が感動したのは、Zという漢の最期に関する尾田栄一郎自身の言葉である。これは鑑賞特典として配布された千巻に綴られているのだが、そこには、Zの最期について、

 「一切反省をしない。この方が男らしく、敵として気持ちがいい。」

と記載されているのである。

 痛く同意である。筆者は、個人的に、最後の最後で改心してなんだか“いい奴”みたいに終わっていく悪役が大嫌いである。そんなことなら最初からやらなければいいのだし、序盤中盤で犠牲になった人々をほったらかして安易なお涙ちょうだいから勝手に丸く収めようとする製作者も許せない。この傾向は、例えば『銀魂』などに顕著である。しかし、『ONE PIECE』はそうではない。『ONE PIECE』の悪役は謝らない。展開上、ルフィと一時共闘したりする場合もあるが、自身のしたことには皆誇りを持っている。だからこそ、『ONE PIECE』の悪役は格好いい。筆者が未だに『ONE PIECE』を心のバイブルと位置づけている大きな理由がここにある。

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 さて、オープニング以降の展開も本作は素晴らしい。ラストバトルまでは、ほぼ完璧と言っていいのではないだろうか。問題は、前作同様、ラストバトルにある。

 前作では、ラストバトルが非常に尻すぼみだった。かつてゴールド・ロジャーや白ひげと肩を並べた伝説の海賊としてシキを持ち上げるだけ持ち上げた割に、彼の最期は非常にあっけない。20年もの歳月を費やした計画がずさんすぎるし、ルフィの勝利にも全く説得力が無かった。

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 本作でもその点は同様である。しかも、本作で特にダメだったのは、序盤中盤とルフィが2度もZに敗北しているという点だろう。1度の敗北なら、その後のラストバトルにおいて主人公が気合いで勝利しても、そこは少年漫画的な熱さで説得可能。しかし、2度となると、もはや何らかの合理的な説明が必要なはずである。同じように2度の敗北を喫したクロコダイルに対するルフィの勝利は、ラストバトルの“漢の熱さ”に加えて“血でも砂は固まる”という理屈があったからこそ説得力があった。しかし、本作にはそのような論理的な説得力が微塵もない。何故ルフィが最強の海兵に勝てたのか、その点が不明瞭である。一応Zが病を患っているような描写は何度か登場するが、ラストバトル前にその点が再確認されることもなかった。

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 また、決着が地味という点もいただけない。本作は『ONE PIECE』という少年漫画の劇場版である。そうである以上、やはりラストのキメ技は、技名を声高らかに熱く叫ぶものであってしかるべきだ。しかし、本作はそうではない。満身創痍のルフィとZが泥試合を繰り広げる様は、確かに“リアルな”バトルかもしれないが、決して"少年漫画のバトル"とは言えないだろう。「かめはめ破!」と叫ばない悟空など悟空ではないのである。製作者としては、今までにない“リアルな”バトルを描くことで新規さと説得力を期待したのだろうが、少年漫画の演出としては完全に失格だと筆者は思う。

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点数:83/100点
 正直、作品の出来としては前作を超えていると思えるのだが、前作の“海賊VS海賊”の構図は捨てがたいし、何よりミスチルが絡んでいたということで、本作は前作と同じ点数にしておく。少年漫画の新時代を築いた『ONE PIECE』の劇場版は、今回も興収的に大成功だった訳だが、少年漫画永遠の金字塔『DRAGON BALL』劇場版最新作『神と神』は、果たしてどこまでの結果を残すことが出来るのか。今から非常に楽しみなところである。

(鑑賞日[初]:2012.3.7)
(劇場:ユナイテッドシネマ岸和田)






























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