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2013

[No.209] レスト(Rest) <65点>

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キャッチコピー:unknown

 眠りにはすばらしいものが用意されている。
 すばらしい目覚めがそれである。
 だが、すばらしい眠りなど在りはしない。
 ― アンドレ・ジッド

 ただ一人、この愛すべきゾンビを除いては。
 ― Mr. Alan Smithee

三文あらすじ:大戦で死亡し、ヨーロッパの地に埋葬されたアメリカ兵が、ある日、目を覚ます。ゾンビとなった彼は、故郷を目指し、歩き出す。“休息(Rest)”を得るために必要な“あるもの”を求めて・・・

<本編(11分56秒)>



~*~*~*~

 
 “ゾンビ映画”は尽きることを知らない。ベラ・ルゴシの時代から広い意味で“ゾンビ映画”を捉えるなら、その歴史は、実に約80年!映像技術の進歩や画期的なプロットの登場によって、今なお世界中の人々を魅了し続けている。

 最近では、やはり“ゾンビが主人公”というプロットが目新しいところ。ゾンビが悪を討つ『ゾンビ処刑人』であったり、ゾンビが恋をする『ウォーム・ボディーズ』であったり、多種多様、非常に様々なジャンルの作品が“ゾンビ”というジャンル内で誕生している。

 さて、本作は、そんな中でもまた少し異色。“ゾンビが主人公”という点では、上述の2作品と同様であるが、本作のゾンビを一言で言うなら“望郷のゾンビ”。彼は、ある日突然目覚め、人を食べるでもなく、世間の変わりように目を丸くするでもなく、ただただ故郷を目指す。森をくぐり、丘を越え、仕舞いには船に乗って海を渡ったり、都会の真ん中で地下鉄に乗ったりして、真っ直ぐに故郷へと歩き続けるのである。

 本作は、この辺りのある種の“バカバカしさ”も素晴らしい。ゾンビは普通に船に乗り、普通にシャベルを購入しているが、人とのコミュニケーションはどう図ったのか、金銭はどこから調達したのか、などなど疑問は尽きず、そこがいい“突っ込みどころ”になっているからだ。観客は、そんな文字通りの“ウォーキング・デッド”となった彼の目的を推測しながら本作を観ていく訳であるが、ある程度の予想は途中でついてしまうところだろう。

 しかし、例え予想の範囲内であろうとも、本作のラストは胸を打つ。時間的にも空間的にも長い長い旅を経て、彼は、遂に愛する妻の元へと辿り着き、そっとその横で真の“休息”を得る。これこそが“Rest In Peace.”に違いない。また、大戦中に、張り裂けそうな胸を必至に押さえつつ夫の遅い帰りを待っていた妻、そんな妻との約束を果たせず無念の死を遂げた夫、この2人の当時のドラマを考えるだけでも目頭が熱くなる。

 随分遅くはなってしまったが、彼は、妻との約束を果たしたと言っていいのかもしれない。時間だろうが、空間だろうが、多元宇宙だろうが、そんなことは知ったこっちゃねぇ!という熱い“漢”の心意気が、本作のゾンビからはひしひしと伝わってくる。彼はまさに、天も次元も突破した“天元突破フランシタイ(腐乱死体)”である。そして、そんな彼と遂に隣合って横たわることが出来た妻の死体が、最後にその手をそっと彼の手に重ね合わせる。まるで“ゾンビ、手をどけて”とでも言わんばかりに。非常に感動的だ。一かきすれば、ほんのちょっとだけ深く掘れる。それがシャベルなんだよ。安らかに眠る彼は何も語らないが、そんな“漢”の叫びが聞こえてきそうですらある。だから、筆者が彼に代わって言おう。

 シャベルは、ゾンビの魂だ!!

点数:65/100点
 随分バカバカしい感想となってしまったが、極めてステキなゾンビ・ショートフィルムであることは間違いない。“ゾンビ映画”と聞いただけで拒否反応を示す人も多く、また血しぶき飛び散り肉砕け飛ぶ通常のゾンビ映画からすれば、そのリアクションも至極もっともではあるのだが、そんな人も是非本作を鑑賞し、彼らの時と空間を超えた真の愛を目の当たりにしてもらいたい。

(鑑賞日[初]:2012.4.13)

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Tag:心が温まる話 歩くゾンビ 衝撃のラスト!

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