08
2013

[No.215] ガメラ2 レギオン襲来 <95点>





キャッチコピー:『消滅するのは、日本か、レギオンか。』

 我々は、“同志”であるがゆえに。

三文あらすじ:ギャオス襲来から1年後の北海道、隕石の落下直後から近郊でビール工場のガラス瓶や光ファイバーケーブルの消失という奇怪な事件が発生し、たまたま落下現場に居合わせた札幌市青少年科学館学芸員、穂波碧(水野美紀)は、隕石調査を担当する自衛隊二等陸佐、渡良瀬佑介(永島敏行)に、隕石自体が移動しながら近郊での事件を引き起こしている可能性を示唆する。そんな中、札幌市営地下鉄が正体不明の生物に襲撃を受け、すすきののデパートに高さ数十メートルにも及ぶ巨大な植物が出現、自衛隊の応戦により駆逐されたかに見えたのも束の間、地中から巨大な昆虫型の生物が現れ、姿を消す。その後、仙台を壊滅させ、首都東京を目指す宇宙怪獣「レギオン」の脅威の前に、人類の、そして、地球の命運は、再び、古代アトランティス“最後の希望”「ガメラ」に託された・・・


~*~*~*~

 
 前作『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、サブタイトルに恥じぬ怪獣映画の王道、まさに“天元”を行く傑作モンスターパニックムービーであった。そして、本作は、これを越えた。本作は、ただの“良く出来た怪獣映画”ではない。その域に留まらず、素晴らしいドラマ、完膚無きまでに“漢の魂完全燃焼”なドラマを怪獣映画と融合させた、“超”傑作モンスターパニックムービーである。

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 本作は、宇宙から飛来した外敵「レギオン」と我らが巨大亀「ガメラ」の子供心くすぐる死闘を描く訳だが、その過程で自衛隊とガメラの共闘という展開を選択し、そして、しっかり描ききったという点に特徴がある。

 これは、ガメラ、特に平成三部作のそれとゴジラ作品との決定的な違いであろう。ゴジラは、基本的に“人類の敵”として存在している。したがって、人類は、ゴジラを明確な“脅威”と位置づけ、対ゴジラ兵器、例えば“スーパーX”や“メカゴジラ”で応戦することになる。そもそも、水爆実験によりゴジラザウルスから怪獣ゴジラに変異したという出生経緯を持つゴジラは、根本的には人類への敵意を持った存在なのである。

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 これに対して、古代アトランティス人が“地球最後の希望”として生み出した生物兵器である平成三部作版ガメラは、基本的に人類の敵ではない。もちろん、巨大なガメラが市街地で死闘を繰り広げれば必然的な損害が発生するので、政府はガメラを危険視し、攻撃を加えたりもする。しかし、ガメラと心を通わせる少女という設定を置くことで、ガメラは人類も含めた“地球の生態系”を守ろうとしている、ということが明確になる。

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 そして、本作では、そんなガメラと彼を理解した自衛隊員が、日本人が、いや、地球人が、がっちりとタッグを組み、宇宙からの侵略者に立ち向かっていく。まさに「地球を…なめるなよ!」である。これは熱い!

 そのような展開をチョイスしたという点が、まず素晴らしいし、何より本作のストーリーテリング上とても一貫している。本作で明らかになるガメラの真実、その一つに“ガメラは人類ではなく地球の守護者である”というものがある。巨大亀型生物兵器ガメラがギャオスを打ち倒し、レギオンと対峙し、そしてイリスに向かっていくのは、人類を守るためというよりはより広く、その環境を脅かす者から地球を守るためだったのである。つまり、現在は、まだ人類が“地球環境の一部”としてその生態系内に留まっているため、結果的にガメラの守護を受けることが出来る訳だが、このまま環境汚染を進め、生態系を破壊し、ガメラが“地球の敵”と判断するに至ったなら、我々人類は、ガメラに排除される運命にある。作中でもその点を指摘し、ラストは雪乃さんの「ガメラの敵には…なりたくないよね。」という言葉で締めくくられる。

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 人類による飽くなき環境破壊に警鐘を鳴らすテーマは一見辛気くさいようにも思えるが、しかし、我々は、ここで思い出すのである。ガメラと自衛隊員、日本人、いや、地球人とのあの熱き漢の共闘を。本作のように、ガメラとしっかりタッグを組んで地球を守る魂があれば、これから先も人類がガメラの“敵”になることはないであろう。そういう希望に満ちたポジティブな作品であると筆者は思う。

 また、本作が、そのようなガメラと地球人との共闘をしっかり描けた最大の理由は、怪獣にも通常兵器が効くという設定を導入した点にあるだろう。

 筆者は、怪獣映画を“モンスターパニック”として捉えている。そして、モンスターパニックとSFは違う。もちろん、現実には存在しない架空の出来事を描く、という点では、モンスターパニックも広義にはSFである。しかし、SFが基本的にその世界全体を架空のものとして展開されるのに対して、モンスターパニックは、登場するモンスターのみが架空の存在である、という点に特色がある。観客目線では、住居、乗り物から小物類まで、その全てを近未来的であったりファンタジックに楽しみたいのがSF作品であり、我々の住む“日常”に突如モンスターという“非日常”が現れ、日常が浸食される様を観るのがモンスターパニックだ。そういった意味で、先述の通り、対ゴジラ兵器という架空の兵器が登場するゴジラ作品は、本シリーズと比較するとかなりSF寄りの怪獣映画と言うことが出来る反面、この平成三部作は、モンスターパニックの王道を行くシリーズだと言うことが出来る。

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 さて、話が少し逸れてしまったが、怪獣に対して通常兵器がある程度の有効性を持つ結果、本作では、実在の自衛隊員がガメラと共に戦っている、という印象を色濃く受ける。そして、実在の自衛隊、すなわち、我々の社会の一員がガメラと共闘するという印象は、ひいては、我々一人一人の人類がガメラと共に地球を守る“同志”として戦っているのだ、という意識の拡張を可能にする。ここが上手い。そうすることで、先述のテーマも明確になるし、何よりも我々自身が自衛隊に感情移入し、心を込め、魂を燃焼させてガメラの死闘を見守ることが出来る。架空の兵器を用いるゴジラ作品では、それを駆使して戦う自衛隊もどこか“別世界の話”という印象を受け、ゴジラと自衛隊が共闘する展開でも、本作のようなテーマ性や魂の燃焼を盛り込むことは出来なかったであろう。

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 そのようにして、本作は、怪獣映画とは思えない程極めて上質なドラマを紡いでいく訳であるが、怪獣映画は少年たちの義務教育である、という根本を決して忘れていない。すなわち、ドキドキワクワク、胸躍るベタな展開であり、ギミックである。

 まず、“宇宙からの外敵”という設定が熱い。サイヤ人襲来に代表されるように、古(いにしえ)より最強の敵は宇宙から来ると相場が決まっている。また、その最強の敵の名を聖書から取り、“レギオン”と名付けたセンスも素晴らしい。

 “我が名はレギオン。我々は、大勢であるがゆえに。”

という新約聖書マルコによる福音書5章9節は、少年たちのいわゆる“中二病”的なツボを的確に押さえている。

 そして、何と言っても素晴らしいのは、最強の敵を前に一度は破れたガメラの満を持しての復活という展開だ。フリーザの前に満を持して現れた悟空。アーロンの前に満を持して現れたルフィ。絶望と希望の分水嶺、過去と未来の分岐点。最強の敵に為す術もない局面で最強の味方が現れ、少年たちのハートを鷲づかみにしたという例は、洋の東西、時代の今昔を問わず枚挙に暇がない。本作では、レギオン“草体”の大爆発を受け炭化してしまったガメラを再起動させる原動力として“人々の祈り”を持ってきた辺りも、テーマの一貫性が感じられ、俺たちの魂を完全燃焼させる。

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 さらには、本作の主役たる“怪獣”の格好良さ。まずは、本作のヴィラン、宇宙からの最強の侵略者“レギオン”

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 やはり“昆虫型のエイリアン”というのは、強そうだし禍々しい。ビジュアルだけで“最強”の肩書きに説得力を持たせる至高のデザインである。

 そして、我らが希望の古代兵器“ガメラ”。特に、本作における彼は、最強の敵を前に“最強の必殺技”を繰り出す。それは、突如ガメラの腹部が展開し放たれる究極の熱線。名を“究極超烈火球<ウルティメイト・プラズマ>”という。

 こうやって地球上の“マナ”を集め…

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 発射!!

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 地球のエネルギー“マナ”を大量に消費してしまうため、その後の地球環境を激変させる恐れがあり、また、ガメラの生涯でたった一度しか使えないというガメラにとってもギリギリ最後の大技。子供だった劇場鑑賞時には、急にガメラのお腹が開いた!と少々面食らったものだが、彼が古代アトランティスの“兵器”だったことを考えれば至極当然の必殺技である。ただ、そのような幼少期でもこの必殺技が“格好いい”ということだけはしっかり認識できていた。ロマンは、理屈ではない。

点数:95/100点
 傑作シリーズ“平成ガメラ三部作”の中でも、エンターテイメントに特化した大傑作。怪獣映画と侮らず、是非ガメラの咆吼をその耳に、自衛隊の雄姿をその目に、そして、彼らの共闘をその胸に焼き付けて欲しい。そーいえば、先日極めてタイムリーに“アトランティス大陸発見か!?”というニュースが新聞に載っていた。

大西洋の海底に「陸地」発見 アトランティス痕跡?

 これは“ガメラの墓場”が見つかる日もそう遠くはないかもしれない。ロマンだね。

(鑑賞日:2013.5.5)










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