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2013

[No.223] ロスト・ハイウェイ(Lost Highway) <62点>

CATEGORYサスペンス




キャッチコピー:『いかがわしい映画』

 勘弁してくれよ、二日酔いなんだから。

三文あらすじ:ある朝、サックス奏者のフレッド・マディソン(ビル・プルマン)が自宅のインターホンに出ると、「ディック・ロラントは死んだ。」との一言だけが聞こえてくる。またある朝、フレッドと妻のレニー(パトリシア・アークエット)は、自宅前に置かれた差出人不明のビデオテープを発見、そこには、何と自分たちの家の室内の映像が収められていた。奇怪な出来事に翻弄される日々の中、あるパーティーに参加したフレッドは、白塗りの謎の男(ロバート・ブレイク)から「以前あなたの家でお会いしました」と声を掛けられ、手渡された携帯電話で促されるまま自宅に電話を掛けると、そこからは目の前にいるはずの男の声が聞こえてくるのだった・・・


~*~*~*~

 
 いや、もう意味分からんどころの騒ぎではないです。とりあえず、現時点での筆者の拙い理解を備忘録的に書き留めておこうと思う。まずはざっと流れの整理から。

 冒頭、「ディック・ロラントは死んだ。」のくだり。“ディック・ロラント”とは、ロバート・ロッジア演じる本作の大ボス、というか元凶というか。とにかく、レニーの復讐の対象として存在するマフィアのボスのことで、全てを終えたフレッドは、過去の自分に復讐の(あるいは“解放”の)完了を報告した。

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 その次のビデオパート。ここからは、しばらくフレッドの妄想である。レニーに彼女の過去を問いただしたフレッドは、実はあのとき彼女の真実、すなわち、かつてディック・ロラントの元でポルノに出演していたということを知り、彼女を惨殺。動機は、劣等感のような感情であろう。なぜなら、夜の営みの描写から分かるようにフレッドは極度の早漏であり、セックスに関して、特に妻にまつわるそれについてかなりのコンプレックスがあるからである。

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 妻を殺したショックから妄想の世界に逃げ込むフレッド。真実は、ビデオテープの中にある。フレッドが、「事実を事実のまま記録したくない。」と語り、ビデオ嫌いであることを明らかにするシーンがあるが、これはメタな視点から見れば、ビデオテープに記録された映像は(フレッドの妄想ではなく)現実である、ということを示す役割を持ったパートだろう。したがって、自分のしたことを受け入れられないフレッドは、妄想の中で、実は一本しかないビデオテープを3回に分けて鑑賞するのである。つまり、フレッドが現実から目を背け妄想世界に逃げ込んでいる、という状況の比喩である。

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 引き続き妄想の中、パーティーシークエンスで登場する謎の男、俗に言う“ミステリーマン”。彼は、殺されたレニーの化身、というか幽霊、というか怨霊というか。そんな存在である。その証拠に、フレッドとレニーが寝ているとき、レニーの顔が一瞬ミステリーマンになるシーンがある。妻の亡霊的な存在だから、初対面のくせに「以前、あなたの家でお会いしました。」と、そんなことを言うわけだ。

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 そして、フレッドは、突然、刑事たちに殴られ、妻殺害の容疑で逮捕される。ここからが、一応現実のパートとなる。収監され死刑を待つフレッドだが、頻繁に頭痛を訴え、謎の雷鳴が轟くと、そこには何と全くの別人、自動車修理工を営むピーター・レイモンド・デイトン(バルサザール・ゲティ)がいたのだった。

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 ここは、冒頭から続いたフレッドの“妄想”とは違い、あくまでも“現実”の話。ただ、妻レニーの怨念がミステリーマンとして顕在化し、彼が放つ非科学的能力が現実に干渉しているという構図。そして、ここからは長々とピーターのパート。いよいよ訳が分からない

 体はピーター、心も当初は大部分ピーターなのだが、徐々にフレッドの本性が顕れてくる自動車修理工。彼が一目惚れし、運命の恋に落ちる女アリスは、殺されたレニーの過去の姿ではないだろうか。つまり、レニーの怨念ミステリーマンの力によって、現実世界が一部書き換えられた。

 世界の主な時間軸は、変わらず本来の姿を保っている。それは、本作でミステリーマンの能力が届かぬ存在、言うなれば“客観的観測者”としての役割を与えられている刑事たちが、引き続きフレッド事件の捜査としてピーターを尾行していることから明らかである。書き換えられたのは、フレッド(=ピーター)を取り巻く世界。フレッドは、ピーターという器に押し込められ、ピーターの周囲には、レニーがまだポルノをやっていた時代の関係者が配置されている。

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 では、これは何のために行われた改変なのか。答えは、レニーの復讐である。自身をポルノ女優として辱めたディック・ロラントに対する復讐、そして、自身をポルノの世界に引き込んだあの髭男(名前忘れた。)に対する復讐。それらを全うするために、怨霊となったレニーは、自身がポルノ女優だった“過去”を“現在”に送り込み、その状況の中、最も復讐のシナリオに組み込みやすいピーターにフレッドの人格を送り込んだ。復讐の完遂を確信した彼女は、浜辺でのセックスの後、「お前が欲しい。」というピーター(=フレッド)に対し、「あなたには一生あげないわ。」と言い残して去る。

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 物語は、ここで冒頭に戻ってくる。自宅のインターホンを押し、「ディック・ロラントは死んだ。」とだけ言い残して逃げるフレッド。逃避行の最中、幾度目かの雷鳴が轟き、フレッドはまた違う“誰か”に変貌を遂げそうになって、終幕。

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 んんんんん・・・。もう全く意味が分からない。ただでさえ二日酔いで頭がクラクラするのに、こんな映画を観てしまっては、脳みそがトロトロに溶けて鼻から流れ出てしまいそうである。

 本作がこんなにも意味不明で、それだけに数多の観客を困らせ、解釈・解説に奔走させ、そして、今なお彼らの心を魅了し続けるのは、ひとえに監督の説明不足が原因である。本作を論理的に一貫して説明することは、おそらく不可能ではない。しかし、非常に複雑な映画構造を監督が一切説明しないまま描き続けるがために、全く以て理解不能な意味トロロ作品に仕上がっているのである。まるで『2001年宇宙の旅』のように。

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 筆者個人としては、こういう映画はあまり好きではない。監督である以上、自らが考えたストーリーを一本の映画内でしっかり説明しきる必要がある。とまでは言わなくても、本作のような作品は、決して胸を張って“エンターテイメント”と言える代物ではないだろう。

 一応、本作に対する筆者の独断的な解釈、いや、“提案”を披露しておく。レニーは、果たして“復讐”のためだけに一連の“世界線改変”を行ったのだろうか。あまりにも救いがなく、悲しい物語ではないだろうか。まぁ、別にそれでもいいのだけれど、鑑賞後しばらく経ってからこの記事を書き、書いていく途中で筆者が思いついた説明は、以下の通りである。

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 レニーは、何も復讐のためだけに世界線をいじった訳ではない。彼女が本作のような行いに走ったのは、ひとえに愛する夫フレッドに出会い、結婚するため、である。

 フレッドは、レニーの過去を知らなかった。だから、彼女と結婚したのである。つまり、ポルノ女優を辞めていなければレニーはフレッドと結婚できなかった。という事実がある。では、レニーは如何にしてポルノ女優を辞めたのだろうか。この点は、いくつかの解説サイトを漁っても明記されていなかった。当然、本作でもその点が描かれることはない。

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 つまり、筆者は、本作で描かれた一連の出来事によってレニーはポルノから逃れることが出来た、と考えるのである。惨殺され、霊体となることでスーパーナチュラルな力を得たレニーは、世界を改変し、愛する夫(器はどこぞの自動車修理工)の手によって、自身を忌まわしきポルノの呪縛から解き放たせる。その後、人生をやり直したレニーは、フレッドと出会い結婚。しばらくして、また惨殺され、世界を改変し、夫の手助けを得る。本作は、このような繰り返しの因果を描いているのではなかろうか。

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 レニーが夫に自分を惨殺させるのは、霊体にならないと世界改変の能力を得ることが出来ないから。そして、どうせ死ぬなら愛する夫の手によって殺されたいから。また、フレッドにとっては、妻を殺したショックという精神的不安定が、ミステリーマンの能力の干渉を受けるための受動的要因になるという一面もあるかもしれない。

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 本作ラストで、逃げるフレッドがまた違う人格に変貌するのは、同一世界線上に同じ人格が長く存在し続けられないからではないか。終盤で全てを悟ったフレッドは、ポルノの呪縛から解き放たれたレニーを彼女と出会い結婚する“別の自分”、あるいは“過去の自分”に託し、「ディック・ロラントは死んだ。」とだけ言い残す。そして、彼は別人格の人間となり、束の間幸せな2人の世界線から離脱するのである。

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 砂浜でアリスがフレッドに「あなたには一生あげない。」と言ったのも、目の前の“あなた”にはあげない、という意味である。ポルノから逃れた彼女と出会い、結婚し、束の間の幸せを与えるのは、同じ“フレッド”でも今目の前にいるフレッドではなく、これから出会う“フレッド”。では、なぜセックス・オン・ザ・ビーチするのかと言えば、ピーターの器に入ったフレッドはあくまでも“レニーの解放”という役目を果たすためのフレッドなのであるが、やはりそれは愛する夫である(または、愛する夫であった)以上、フニャチンではないピーターの体でセックスすることで、コンプレックスを感じぬ幸せを最後に与えてやりたかったからであろう。お役目ご苦労さん、かつて私が愛した人。そして、これからまたしばらく幸せになりましょうね。と、そんな感じかもしれない。

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 えーと、ややこしいけれども、全体の流れとしては、

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 こんな感じと筆者は考えている。ただ、これだと「ディック・ロラントは死んだ。」の部分が上手く説明出来ていない。おそらく、本作冒頭時点の世界、あるいは、そのときのフレッドのみを再び本作ラストの時間軸に移動させるという世界線の改変が行われたのだろうが、二日酔いの頭ではこれ以上考えられない。ウコンを補給するため、筆者も一時ネットから離脱したいと思う。

点数:62/100点
 全く意味が分からないにも関わらず、最後まで極上の緊張感の中楽しめる本作は、間違いなく鬼才デヴィッド・リンチの素晴らしさを物語る作品である。が、とりあえず、頭が変になりそうだ。

(鑑賞日[初]:2013.5.18)










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