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20
2013

[No.240] マーターズ(Martyrs) <12点>

CATEGORYホラー




キャッチコピー:『これは本当に公開していいものなのか?』

 この映画の公開は、観客に対する傷害事件だ。

三文あらすじ:1970年台初頭のフランス。幼くして何者かの手で廃墟に監禁され、長期的な拷問を受け続ける少女シュリー(ミレーヌ・ジャンパイノ)は、一瞬の隙を突いて命からがら脱出に成功する。保護された施設で同室になった少女アンナ(モルジャーナ・アラウィ)の支えもあり、徐々に平静を取り戻していくシュリーだったが、15年後、猟銃を持った彼女は、ある平凡な家庭を訪れ、家族を次々に撃ち殺し始める・・・


~*~*~*~

 
 筆者は、昔から血が苦手だった。中学時代には、保健体育の授業中に先生から生々しいケガの話をされ、不覚にも貧血を起こしてしまうようなチキン・ハートの持ち主。そんなMr. Alan Smitheeも随分大人になり、最近では相当グロテスクなスプラッター作品も平気な顔で鑑賞出来るようになった。・・・と、すぐ調子に乗ってしまったのが運の尽きである。おすすめスプラッターをネットで検索し、辿り着いた本作は、肉体的にも、そして、精神的にも史上希に見るグロテスクな作品であった。

 本作の構成は、大きく3つに分けることが出来る。まず、冒頭、少女シュリーの脱出から彼女が復讐を遂げるまでのパート。さしずめ、第一幕『オールド・ガール』と言ったところか。

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 いたいけな少女が理不尽に監禁され、日々拷問を受け続ける、というオープニングが既に極めてグロテスクなのだが、本作が一本の映画であって、この拷問もあくまでストーリー上のパーツである、と考えれば、鑑賞を続けることはそう難しくない。

 何とか脱出し施設に保護されたシュリーは、そこでアンナという少女に出会い、次第に平静を取り戻していく。しかし、シュリーは、今でも時折暗闇から襲ってくる“何か”に肉体を傷つけられ続けていた、という展開。“何か”は幼少期のトラウマが生み出した幻覚で、傷は自傷行為なんじゃないの?とすぐに当たりが付くものの、一応サスペンス的な描き方がされており、ある程度の“引っ張り”はある。

 その後の展開も中々サスペンスフル。ごく平凡な幸せ家族を突然銃殺していく15年後のシュリー。彼女は、一家の両親がかつて自分を監禁し拷問した犯人だと断言するが、観客はまだ半信半疑である。精神を病んだシュリーは、全く見当外れの家族を皆殺しにしただけなのではないか。彼女の発言の真偽が気になり、駆けつけたアンナとシュリーの掛け合いから目が離せない。

 明かされる事実の一つは、シュリーを襲う“何か”がやはり彼女の幻覚であり、彼女は自分で傷を付けていたにすぎなかった、ということ。家族を皆殺しにしても消えない幻覚から逃れるため、シュリーは自らの命を絶つ。

 そして、第二幕『落武者、登場』。もう一つ残った謎、すなわち、幸せ一家の両親は、本当にシュリー監禁の犯人だったのか、ということが明らかになるパート。結論から言えば、シュリーの発言は事実であった。一人残ったアンナは、幸せ家族宅に隠された地下室を発見する。そして、そこで、長期の監禁からもはや“クリーチャー”のようになってしまった女性を発見するのである。

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 これがその“女性”。この最も衝撃的なビジュアルを国内版ポスターに採用する辺り、日本人はやはり変態民族だと思えるが、しかし、本作を最後まで鑑賞すると、普通のスリラーであるかのような体裁を装っているオリジナル・ポスターの方にこそ憤りを感じることになる。

 この第二幕は、キツイ。非常にキツイ。血しぶきが飛び散ったり、肉片が舞い踊ったりしてくれた方がまだ百倍マシだ。あまりにも長い期間監禁され、日々拷問を受け続けてきたであろうこの女性の姿、振る舞い、その一挙手一投足が、観る者の精神を傷つける。アンナの献身的な手助けも空しく、シュリーと同じように幻覚に苛(さいな)まれ、自傷行為の果てにヒステリーを起こす女性。手が付けられなくなったとき、突如玄関から黒服の武装集団が乱入し、第二幕は終了する。

 ここから怒濤の新展開。第三幕『実録、完全なる飼育』である。黒服の集団は、罪無き人々をさらっては長期間の監禁・拷問を繰り返し、生きたまま死後の世界を見る“殉教者(Martyrs)”を生み出そうとする秘密結社だった、という事実が、黒服のボス的老婆からアンナに語られる。運良く逃げ出せたシュリーもその被害者だったというわけだ。そして、あろうことか、今度はアンナが監禁されてしまうのである。

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 我々は、当然期待する。抑圧の後の解放を。闇夜の後の朝日を。グロテスクな展開の後に待つ最高のカタルシスを。しかし、そんなものは存在しない。本作は、この後、監禁され、日々拷問を受けるアンナが如何にして壊れていくかを淡々と描写していく。爪を剥がしたり、眼球に針を刺したりといったオドロオドロしい拷問がないだけまだマシだとせめて思いたいが、それでも、シュリーのドラマを前半でしっかり描いているため、このシークエンスでの絶望感は尋常でない。しかも、今回はシュリーのときのような奇跡は起きない。ただただ、一人の女性が徐々に“人”でなくなっていく様を淡々と描くだけ。筋書きもままならない。起承転結もない。こんなのは、断じて映画ではない!

 アンナは、結果的に黒服が求め続けた“殉教者”になる。しかも、明確に死後の世界について語った唯一の殉教者だ。アンナが監禁されている家に集まってくる黒服集団の信者たち。しかし、ただ一人アンナから死後の世界についてのメッセージを聞いたボス的老婆は、皆の前でスピーチをする直前、自室で自殺してしまう。

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 つまり、結局アンナは、死後の世界など無かった、というようなことを言ったのだろう。死後の世界を知ることに人生を賭け、唯一にして決定的な方法が失敗に終わった老婆は、絶望のあまり「そんなことはない!私が死んで確かめる!」とばかりに自殺したのだと筆者は結論付けた。

 繰り返しになるが、本作は“映画”ではない。あくまでも少女の拷問がメインの映像作品であり、ストーリーはその添え物に過ぎない。テーマをエロに置き換えたなら、本作はAVだ。もし、本作を“映画”としてこよなく愛しているという人がいれば、彼は生粋の変態に違いない。

点数:12/100点
 久しぶりに純粋なるキモチワルイモノを観てしまった。こんな作品に比べれば、無数のミミズが人を食べる、そんなモンスター・パニックの方が何万倍も健康的だ。

(鑑賞日[初]:2013.6.19)










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Tag:グロ注意 悪趣味映画 拷問系

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