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21
2013

[No.243] スリザー(Slither) <75点>





キャッチコピー:『叫ぶ前に口をふさげ!』

 我々は、大勢であり個人。宇宙であり細胞。愛であり憎悪。

三文あらすじ:アメリカ南西部の静かな田舎町に、ある日、隕石が墜落する。数日後、森の中で奇妙な生物を発見した町の大富豪グラント(マイケル・ルーカー)は、生物から飛び出した謎の物体に寄生され、人格を乗っ取られてしまう。直後から町中のペットや家畜の失踪・惨殺事件が多発し、グラントの妻スターラ(エリザベス・バンクス)と警察署長ビル(ネイサン・フィリオン)は、原因究明に奔走するのだが・・・


~*~*~*~

 
 前回紹介した『スクワーム』を鑑賞したとき、筆者はこう思った。“これ、CG使ってリメイクしたらおもしろそうやなぁ。”そんな筆者の個人的願望に限りなく接近したモンスター・パニック界の隠れた名作が、本作『スリザー』である。

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 タイトルの“Slither”とは、“ズルズル滑る”という意味。そのタイトル通り、本作で隕石に乗って地球に攻め込んでくるエイリアンは、作中“イカ”と形容されるグラントを本体とし、ナメクジのようなヌメヌメの赤くて気持ち悪い生物が人々の口から寄生することでその者の人格を乗っ取ってしまう、という戦闘スタイルをとっている。つまり、本物のゴカイのどアップや数匹のゴカイの遅々とした様しか描写できなかった『スクワーム』を、最新のSFXで以てリメイクしたかのような一面を併せ持つ作品が、本作なのである。

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 作品が持つ“雰囲気”や“ノリ”も大変素晴らしい。非常に軽快で、ある種“ロック”のようなテンポで進んでいく本作。人によっては“ホラーコメディ”にカテゴライズするだけあって、ギャグシーンの数々も小気味よく観ていて気持ちが良い。田舎町の登場人物たちも皆概ね“気持ちの良い連中”だ。

 一方で、ことビジュアル面、すなわち、モンスターによるグロ描写に目を向けるなら、本作は、同ジャンル中でも中々上位のぶっ飛び度を誇っている。血しぶきが飛びまくったり、肉片が乱舞したり、といったグロさではない。本作が追及しているのは、ヌメヌメ系の、ベタベタ系の、ジメジメ系の、そんな“陰湿な気持ち悪さ”である。

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 まず、エイリアンに乗っ取られ、彼らの“母体”となってしまったグラントのデザインが非常に陰湿。“イカ野郎”とあだ名を付けられ、コミカルなテイストになってはいるものの、『バイオハザード』や『サイレント・ヒル』に勝るとも劣らないグロ系クリーチャーである。

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 また、本作における一番の見所、ナメクジ型クリーチャーも期待に違わぬ気持ち悪さ。ヌメヌメした生物に恐怖症を持っている人や、無数に集合する生物に恐怖を感じる人は、失神覚悟で本作を鑑賞しなければならないだろう。

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 このようなビジュアル面の“湿っぽい気持ち悪さ”は、きちんとストーリーによって補完されている。一見軽いコメディタッチなノリでご機嫌っぽい本作なのだが、よくよく考えてみれば、非常に切なく悲しい物語なのである。

 まず、“イカ野郎”ことグラントが、とっても可哀想。彼がエイリアンに乗っ取られたのは、バーで出会ったブレンダ(ブレンダ・ジェームズ)という女性と意気投合し、2人ともベロベロの状態で森の中に入っていったためである。彼らは森の中でキスをしてしまっているので、特に女性鑑賞者などは“グラントの自業自得だ!”と感じるかもしれない。しかし、よく考えれば、それは違う。

 そもそも、彼が夜中に一人でバーへと足を運んだのは、久しぶりの夜の営みを妻であるスターラに拒まれたからだ。彼は久々の夫婦の夜をとっても楽しみにしていたのに、妻は「今夜はそんな気分じゃないの。」なんていうお決まりのフレーズで彼を拒否する。だから彼は一人でバーに行き、昔から自分のことを好きだった、と近寄ってきた美人のブレンダと一緒にお酒を飲み、森の中ではしゃいでいたら彼女から一方的にキスをされたのである。しかも、この時点でグラントは、キス以上を拒み、妻が心配するからもう帰らなくては、と神が如き殊勝な一面を見せている。それなのに、その直後、哀れにもエイリアンの餌食になってしまったのであった。

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 こんなのおかしいよ! 男性諸君なら涙を禁じ得ないところであろう。

 そんなこんなで、彼はエイリアンに自我を乗っ取られるのだが、それでも少しばかり残った意識の中、スターラを求める。見るもグロテスクな姿になりながらスターラの名を呼ぶその姿は、まるで暴走した力に凌駕されながらもカオリを求めた鉄雄、あるいは、怪奇極まりない“ハエ男”になりながらも愛しのヴィロニカへと手を差し延べたセス・ブランドルのような陰湿な哀しさがあり、それも相まって、グラントの外見がよりグロテスクに感じられるのである。

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 ちなみに、スターラの名誉のために言っておくが、営みを拒んだことを後悔した良妻スターラは、翌日朝一で帰宅した夫を誘い、まさに朝飯前のセックスを行う。良いお嫁さんだね。“イカ野郎”へと変貌してしまった後のグラントを説得する際にも「結婚式のとき誓ったわ。“どんな運命になろうとも。”って。」と献身的な態度を見せる彼女は、現時点で、個人的“モンスター・パニックでお嫁さんにしたいキャラクターNo.1”である。

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 それから、乗っ取られたグラントによってエイリアンの“宿主”にされてしまう女性ブレンダも、本作のジメジメした恐怖を増幅させる装置になっている。彼女は、何の罪もない普通の女性。強いて言うなら、夫がありながら妻帯者のグラントを誘惑した、ということぐらいだが、その程度の罪と比較して、宿主となった彼女の見た目は、あまりにもグロテスク。日常の範疇でしか罪を犯していない女性が、通常の範疇を遙かに超えた悲劇に見舞われる、というギャップが観る者の心を締め付ける。

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 あとは、物語の幕引きも切ない。献身的な妻スターラは、ラストでもはや人間の原型を失った夫を自らの手で殺す。これは致し方ない。もう、どうしようもなかった。しかし、その後のエンドロールでは、スターラのことをずっと思い続けていた若手警察署長ビルとなんだか少し良い感じになって終わっていくのである。確かに、前半から、17歳のスターラがお金持ちになりたくてグラントと結婚した、だの、幼い頃から仲の良かったビルが未だにスターラを愛している、だのという町民の無責任な噂話が、生き残った2人がくっつく伏線として縦横無尽に張り巡らされていたのではあるが、実際、スターラとグラントは真に愛し合った立派な夫婦だったのだから、あまりにも安易でご都合主義的なハッピーエンドに心が掻き乱される。

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 以上のように、ビジュアルはもちろんのこと、ストーリー展開も非常に陰湿でジメジメした本作は、花畑の地面を掘り返すとミミズがうようよ出てきた、という感じの非常に風変わりな名作モンスター・パニックである。

 とはいえ、誤解の無いように再度言っておくと、本作は基本的に極めて軽快で愉快なホラーコメディだ。筆者が以上で述べた見解は、重箱の隅を突いて掘り出した感想を、かなり誇張して書いたものに過ぎない。グロいビジュアルに耐性のある人であれば、是非気軽に鑑賞してもらいたい作品である。

 ただ一点だけ、決定的に不満だったのは、終盤、寄生された町人たちがゾンビになってしまった、というところ。センス溢れるクリーチャー造形と見せ方で引き込まれた前半だけに、月並み・オブ・ザ・デッドな展開になってしまった終盤が非常に悔やまれる。

点数:75/100点
 理不尽なストーリーに裏打ちされた、極めて“気持ち悪い”モンスター・パニック作品。一応言っておくが、これも悪口ではない。しっかりとしたビジョンの元、テーマを一切ぶらすことなく描ききった、完全なる名作である。

(鑑賞日[初]:2013.6.20)










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Tag:バカ映画 グロ注意 エイリアン侵略系SF

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