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07
2013

[No.251] ドライヴ(Drive) <75点>

CATEGORYドラマ




キャッチコピー:『疾走する純愛 ―』

 君の人生に女が入ってくる。
 素晴らしいことだ。
 出ていってくれたらもっと幸福なのに。

三文あらすじ:アメリカ西海岸で自動車修理工を営むある男(ライアン・ゴズリング)は、類い希なるドライビング・テクニックを活かし、ときおり映画のスタントマンをすると同時に、夜は強盗の逃走を請け負う“逃がし屋”を生業としていた。彼は、ある日、アパートの同じフロアに住む人妻アイリーン(キャリー・マリガン)と出会い恋に落ちるが、服役していた彼女の夫スタンダード(オスカー・アイザック)がほどなくして出所してくる。ひょんなことからスタンダードが借金返済のための強盗を計画していることを知った男は、“逃がし屋”として仕事を引き受けるのだが・・・


~*~*~*~

 
 2011年の公開当時、大変な話題になっていた作品。当然、筆者もその噂を耳にすると同時に、“逃がし屋”という主人公のキャラクターに並々ならぬ琴線の震えを感じていたのであるが、なんやかんやで今まで鑑賞の機会を逃してきた作品である。

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 本作は、ドライバーと人妻の“ぴゅあぴゅあはーと”な前半と、ドライバーが血の復讐に奔走する“ゴッドファーザー”な後半に、ものの見事にバッツリ二分された構成で仕上げられている。予告編から想像されるような、いわゆる“スタイリッシュ・アクション”を想像して観ると、まず、前半のあまりの純愛っぷりに度肝を抜かれ、それに慣れた頃に訪れる後半の怒濤の暴力描写に驚愕することだろう。

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 そんな本作に関しては、後々声を大にして怒りをぶちまけたい事柄があるので、とりあえず、ざっと全体の感想を先に述べておく。多数の批評家から絶賛されただけあって、本作は、確かに素晴らしい佳作と呼んで差し支えない。2011年は、本作を年間No.1に挙げている映画ファンも多かった。

 全体の雰囲気としては『ヒート』のような感じ。寡黙だがスマートでプロフェッショナルな主人公を中心に、実に淡々と、しかし、極めて芯の通った語り口で紡がれていく物語。そのような雰囲気の中で展開される前半のラブ・ストーリーは、雰囲気だけなら『エターナル・サンシャイン』を彷彿とさせると言ってもいいかもしれない。また、後半繰り広げられるめくるめく暴力の世界は、古くは『ゴッドファーザー』のようでもあり、トンカチを振りかざしてクックの手に唐突な滅多打ちをお見舞いする主人公の姿は、『オールド・ボーイ』にも通ずるものがある。

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 このように、演出であったり設定であったり雰囲気であったりといった部分では、若干の既視感が無いではないものの、全体としては、非常に一貫した凛々しくもオシャンティな世界観が構築されていて、好感に値する。そして、その世界観をより洗練されたものへと昇華させているのが音楽だ。これもまぁ『ヒート』や『エターナル・サンシャイン』に似通っている気はするのだが、非常にオシャレで絶妙にセンシティブなメロディーが、本作の雰囲気作りに大きく貢献していることは疑いようもない。

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 演出面も悪くない。印象的に何度も用いられるスローモーションは終盤では若干飽きてくるものの、やはり格好いい演出の定番として色あせていないし、BGMの挿入にしても、そのタイミングにいささかの疑問を感じるシーンがなくはないのだが、やはり一定の賞賛を贈るに吝(やぶさ)かではない。

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 そういった訳で、個人的に本作を一言で評するなら、“期待せずにジャケ借りしたらその非常に秀逸な良作ぶりに驚きすごく得をした気分になれる作品”である。こういった作品は時折登場し、我々映画ファンを楽しませてくれるものだ。

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 さて、筆者が本作で許せないのは、何を隠そう本作のヒロイン、アイリーンのクソ女っぷりである。

 時折登場する楽しみが本作のような意外な良作であるのなら、時折登場し、筆者を苛立たせるのが、自分のことしか考ずに立ち居振る舞うクソ女キャラ。前もって申し上げておくが、筆者は“女性”を非難しているのではない。“自己中心的なクソ女”のみに立腹しているのである。また、そのように自分本位で行動するキャラクターは当然女性に限らない、ということも承知している。筆者が魂のバイブルと公言してはばからない『ヒート』に登場する主要男性キャラクターは、みな結局は愛する女よりも自分の世界を優先する者たちであり、アイツらなんかは女性から見たら全員“クソ男”に違いなかろう。思うに、男性から見た“クソ女”と女性から見た“クソ男”というカテゴライズは、どちらが“正しい”か、という問題ではない。突き詰めればそれは極まって“イデオロギーの戦い”なのである。

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 当ブログで既に紹介した作品の中で最も“クソ女”だったのは、やはりぶっちぎりで『GODZILLA』のオードリー・ティモンズである。彼女は、まぁ酷い。紹介済み作品に限らず、筆者がこれまでの映画人生の中で鑑賞した全作品中で考えても、彼女は依然として、他の追随を許さぬ堂々たるトップを独走中だ。詳しい事は、同作を鑑賞してもらうか、筆者が書いた同作のレビューを参照していただきたい。 

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 その他は、まぁ混戦ではあるものの、頭一つ抜けているのは、やはり『スパイダーマン』のM.J.だろう。その様、まさに“傍若無人”。あとは、『殺人魚フライングキラー』のアン『アラクニッド』のマーサなどが、紹介済み作品中の“クソ女”たちである。

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 そんな“Mr. Alan Smitheeのクソ女ランキング”に彗星のごとくランクインしてきた本作のアイリーン。彼女は、まず、亭主の出所を待つ身でありながら、ドライバーと一目で惹かれ合う。その後も堂々と幾度かのデートを重ね、夜道をドライブ中に自らドライバーの手に自身の手を重ねる。ここは、最初の“クソ女ポイント”だ。ただ、この時点では、まだまだ真の“クソ女”と呼ぶに値しない。確かに、はばかりなく浮気する女性はある程度“クソ女”と言ってよかろうが、完全に気持ちが移行してはいるものの、別れを切り出すタイミング的に二股状態になってしまった、という単なる“形式的浮気”は、当ブログにおける“浮気”の定義を逸脱している。もっと言ってしまえば、堂々と開き直って浮気関係のみを追及するような女性なら、それはもう“男らしい”と形容することすら可能だ。

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 したがって、問題はその後なのである。夫が帰ってきてからは、何やら複雑な表情などを覗かせ殊勝そうなアイリーンであるが、夫の死亡後、“逃がし屋”として夫の死亡現場に居合わせたドライバーから状況を聞いた瞬間、彼女は、ドライバーに痛烈な平手打ちをお見舞いするのである。これは大きなポイント。ドライバーは殊のほか論理的であり、理性的である。アイリーンの夫スタンダードは、刑務所内での用心棒を雇うためにチンピラから借金をした。そこにつけ込まれ、出所後、強盗に駆り出されたのである。ドライバーは、強盗の成功率を高めるため、自身の腕を貸しただけだ。スタンダードの死に関しても、ドライバーに否はない。彼は、実にプロフェッショナル然として仕事を進め、スタンダードは全くの不慮の事態によって撃ち殺された。アイリーンに対し、強奪した大金の譲渡を提案したこと、遠方での新生活及び自身の同伴を伺い立てたことも、現実的・経済的観点やそれまでの両者の関係性といった点から考えれば、全く不思議な事ではない。それなのに、話を聞き終わるか終わらないかの内に強烈極まる平手打ちの制裁。これはもう“そこに頬があるからさ。”というジョージ・マロリー的アルピニスト魂でしか説明のつかない行為である。

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 さらに、美しき“クソ女”は、その後もどん欲に追加点を狙う。揃ってエレベーターに乗ったドライバーとアイリーン。同乗者の男が自分たちの命を狙うマフィアの殺し屋だと察知したドライバーは、アイリーンを引き寄せ、口吻(くちづけ)る。これは少々唐突だが、愛する女性との喧嘩状態という現在、殺し屋との命のやり取りという未来を総合的に勘案した結果の非常に男気溢れたキスと言えなくはない。しかし、これはあくまでも同乗者が殺し屋であることを察知しているドライバー側の理屈である。そんなことなど夢にも思っていないアイリーンからすれば、大げんか直後のめちゃくちゃ気まずい状態なのに、しかも、エレベーターという他人のいる密室なのにドライバーが突然キスを迫ってきた、という破廉恥な事実があるばかり。にもかかわらず、彼女はキスに応じる。しかも、マリアナ海溝よりも深いディープキス!どーゆーことなのよ。これはもう“情熱をなくすよりは情熱に溺れたほうがいい。”というジャック・マイヨール的ダイバー魂でしか説明がつかない。

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 要は、夫が好きなら浮気しない、ドライバーが好きなら離婚する、どっちも捨てられないなら真剣に浮気する、という一貫性が欲しいのである。そして、この場合の“一貫性”とは、そのまま“責任感”と言い換えることもできる。夫がいない隙にご近所さんと浮気まがいのことをしたはいいが、いざ夫が帰宅すると罪悪感に耐えきれず、論理的な理由も持たぬまま浮気相手を非難した上に、やっぱりキスを迫られると思いっきり応じてしまう、というそのフラフラ具合。ここには、追い詰められたら全てを男の責任にする、という無責任極まる感情の機微を窺い知ることができるし、その責任感の無さこそを筆者は全力で責めたい。

 全ての“クソ女”キャラクターに共通しているのはまさにこの点、すなわち、誰でもない自分の選択が帰結した事態にも関わらず、追い詰められると他人のせいにする、という醜悪な性根に他ならない。

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 では、独善的でバカバカしい論議はこの辺にして、本作のキャストについて2点ほど。まず、つい先程までボロカスに言っておきながら掌を返すようだが、アイリーンを演じたキャリー・マリガンの可愛さたるや!これはもう筆舌に尽くしがたい。必見である。

 立てばシャクヤク。

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 座ればボタン。

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 憂う姿はユリの花。

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 もひとつオマケに制服姿!

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 いいですねぇ。これはあれか、“天使”という名の“天使”か。いやいや、ホイットニー・エイブル以来の個人的ヒットである。

 それから、もう1人、個人的に注目のキャスティングは、ロン・パールマン。せっかく綺麗なものを見た目をブサイクな、もとい無骨なおっさんの画像で汚すのも忍びないので、特にキャプチャーは貼らないが、真紅の悪魔『ヘルボーイ』で見せたいぶし銀極まる立ち居振る舞いは本作でも健在。事件の真の黒幕でありながら、突き抜けた酔狂なヴィランという訳でもない、ある種“等身大に粋な悪党”を好演している。噂レベルで制作が話題に上る『ヘルボーイ3』がすごく楽しみだ。

点数:75/100点
 クールなドラマが好きな人は観て絶対に損をしない良作。ラストのその後についてはやや議論の余地もあろうが、筆者は、あの後ドライバーは死ぬ、という見解を採りたい。理由は、ドライバーが残した留守電から推し量った因果律という理屈、そして、己の全てを賭けてただ一人の女を守った男の美学はこうあるべきだという感情にある。未見の人がいれば、是非ラストにも注目してもらいたい。

(鑑賞日[初]:2013.7.6)










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