--
--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
09
2013

[No.254] ソイレント・グリーン(Soylent Green) <60点>

CATEGORYSF




キャッチコピー:『People never change. They'll do anything to get what they need. And they need SOYLENT GREEN.』

 君がどんなものを食べているかを言って見給え。
 君がどんなであるかを言ってみせよう。

三文あらすじ:2022年、留まることを知らない人口増加によって、街は人で溢れ、本物の生鮮食品が宝石以上の価値を持つという時代、巨大食品製造業社“ソイレント社”による独占的食糧供給の中で、人々の興味は、同社が新たに供給を開始した高栄養の新食品“ソイレント・グリーン(Soylent Green)”に注がれていた。そんなあるとき、ソイレント社幹部の弁護士ウィリアム・サイモンソン(ジョゼフ・コットン)が何者かに殺害される事件が発生。ニューヨーク14分署の刑事ロバート・ソーン(チャールトン・ヘストン)は、同居する老人ソル・ロス(エドワード・G・ロビンソン)の助けを借りながら、事件の核心とソイレント社の秘密に迫っていく・・・

※以下、ネタバレ有り。


~*~*~*~

 
 まず、本作の予告編であるが、これが中々おもしろい。古き良き時代の映画ならではのどこか抜けているような演出。何度も繰り返し“What is the secret of Soylent Green”とのフレーズをリピートしているにも関わらず、一方でソーンが食品工場に潜入している場面や、そこで人間の死体らしきものがベルトコンベア上を流れているシーンなどを映してしまっているため、少し勘の良い人ならたちどころにオチが分かってしまいそうな作りである。非常に微笑ましく、味わい深い予告編だ。

sg4.jpg


 さて、そのオチも含めて、本作は、古典的SFの隠れた良作と呼ばれ、また、いわゆる“どんでん返し”系作品としても知られる一本。

 監督は、リチャード・フライシャー。『海底二万哩』、『ミクロの決死圏』、『ドクタードリトル不思議な旅』、『トラ・トラ・トラ!』などの代表作を見て分かる通り、主に50年代半ば~70年代を中心に数々の名作を輩出した名匠である。

 主役を務めるのは、チャールトン・ヘストン。古くは、『地上最大のショウ』、『十戒』、『大いなる西部』、『ベン・ハー』、『猿の惑星』などなど、代表作を枚挙する暇すらないスターの代名詞。最近の、かつ、個人的に興味ある彼の出演作としては『アルマゲドン』が印象的だった。冒頭で白亜紀の地球に隕石が衝突するシーン、そこで流れるナレーションを彼が担当している。また、全米ライフル協会の会長を1998年から5期も務めた“銃大スキおじさん”としても有名。本作においても、非常に慎ましやかながら、終盤で彼の銃撃戦シーンを観ることが出来る。

sg5.jpg


 本作の内容面に関して、今観ても新鮮なのは、やはりその世界観であろう。テンポや演出は正直古臭いし、ときに“衝撃的”と語られる“ソイレント・グリーンの原料が人肉だった”というオチにしても、ゼノギアスを始めとした数々のメディアでオマージュされた今となっては、退屈と断じることも吝(やぶさ)かではない。

 これに対して、本作の世界観、すなわち、未来世界の設定の数々は、今観ても新しく、極めて魅力的だ。まず、人口増加が進みすぎて、自分の部屋を持っていることすら高いステータスであるというニューヨーク。主人公ソーンが暮らすアパートの階段は、部屋を持たない者たちで連日足の踏み場もないほどである。また、印象的に繰り返される“生鮮食品への憧れ”を表す描写も非常に効果的。生の牛肉を見たときのソルの涙であったり、生鮮食品を使った本物の夕食を食べるソーンとソルの笑顔など、役者の演技も光っている。

sg1.jpg


 そんな中、筆者が最も感銘を受けたのは、“家具人間”“本人間”といった存在だ。ソーンと恋に落ち、本作のヒロイン的役割を担うキャラクター、シェリル(リー・テイラー=ヤング)は、富豪が住むアパートの部屋に備え付けの“家具”なのである。つまり、人権などほぼないに等しい存在ではあるが市井の人々よりよほど良い環境で暮らすことが出来るという、人口爆発の未来を周到にシミュレーションしたキャラクター。同じく、ソーンと同居する老人ソルは、ソーンの“本”なのである。そもそも本物の本自体が希少になった世界で、彼らのような“本人間”は、刑事など知識を必要とする人間のおそらくは“所有物”として共に暮らし、必要な知識を与えている。この辺りの設定は実に魅力的だ。まぁ、1点だけ欲を言えば、彼らが実際に人権を度外視され人外の扱いを受けていることを示唆するシーンが少しでもあれば、より説得的であったと思える。

sg2.jpg


 また、このような“家具人間”、“本人間”という設定は、本作のオチにも大きく関わっている。つまり、人口増加に苦しむ人類は、ついに守るべき最後の一線を越え、“家具人間”、“本人間”だけでなく、“食料人間”という役割を生み出してしまった、ということだ。

sg3.jpg


 今となってはベタなオチではあるものの、このような前フリを配置している辺り、やはりさすが古典的名作SFといった貫禄がある。

点数:60/100点
 どんでん返し系映画としては、既にその賞味期限を過ぎていると言わざるを得ないものの、終末世界を描くいわゆる“ディストピア作品”として観るならば、今でも充分一線で活躍出来るであろう名作SF。一度鑑賞すれば、きっとあなたの野菜嫌いも治るだろう。

(鑑賞日[初]:2013.7.9)










ソイレント・グリーン [DVD]

新品価格
¥1,320から
(2013/7/9 19:57時点)


人間がいっぱい (ハヤカワ文庫SF)

中古価格
¥2,399から
(2013/7/9 19:57時点)


90億人の食糧問題―世界的飢饉を回避するために

新品価格
¥2,625から
(2013/7/9 19:58時点)


ゼノギアス

新品価格
¥17,399から
(2013/7/9 19:58時点)



関連記事
スポンサーサイト

Tag:衝撃のラスト! アイ・ラブ・ニューヨーク

0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。