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2013

[No.255] ブレア・ウィッチ・プロジェクト(The Blair Witch Project) <68点>

CATEGORYホラー




キャッチコピー:『怖くて目をつぶれない』

 Fear is Real, Real is Fear.

三文あらすじ:1994年10月、モンゴメリー大学映画学科に通う、女性監督ヘザー・ドナヒュー(ヘザー・ドナヒュー)、録音担当ジョシュア・レナード(ジョシュア・レナード)、撮影担当マイケル・ウィリアムズ(マイケル・C・ウィリアムズ)の3人の学生は、メリーランド州バーキッツビルで語り継がれる伝説の魔女“ブレア・ウィッチ(The Blair Witch)”についてのドキュメンタリー映画を撮影するため現地に赴き、伝説の舞台であるブラック・ヒルズの森に分け入る。しかし、その後、彼らは消息を絶ち、懸命の捜索活動にも関わらず、一切の手がかりの無いまま捜索は打ち切られる。1年後、森の中で発見されたフィルムに残されていた驚愕の映像とは・・・


~*~*~*~

 
 やっと観ました『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。登場人物は無名のほぼ3名のみ、制作費は超低価格の6万ドルという小品でありながら、1999年に公開されるや否や瞬く間に全世界で大ヒットを飛ばし、結果、全世界興行収入2億4050万ドルという驚愕の数字を叩きだした、世紀末を代表するカルト的ホラームービーである。

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 これだけまさかのヒットを飛ばした作品であるから、本作が成功した理由については、非常に多くの映画ファンがあれやこれやと分析している。まぁ、当然いろんな理由が様々に関連した結果、本作は大ヒットとなったわけだが、中でも画期的だった要因は、全米公開映画としては初のインターネット宣伝だったらしい。1999年なんてついこの間のことのように思うが、なんと当時はまだまだネットで映画の宣伝を打つという発想が無かったのである。そんな時代、社会の最先端の流れを的確に読み、コロンブスの卵的にネット世界へと飛び込んでいった本作の制作陣たちは天晴れである。『クローバーフィールド』の例を見ても分かるように、ネットというツールは現在でも手を変え品を変え、映画宣伝において非常に大きなウェイトを占め続けているのだから、やはり当時の“チーム・ブレアウィッチ”はすさまじい先見の明を持っていたのだろう。

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 とはいえ、本作は何も宣伝だけに総力を費やした張りぼて映画ではない。特筆すべきは、やはり当然その中身である。まず一つには、今ではかなりの市民権を得てきたPOVという撮影手法を大々的に取り入れた点が素晴らしい。“POV”とは“Point of View”の略語であり、日本語で言うところのいわゆる“主観視点”のことである。厳密に言えば、現在の我々がすぐ連想するような“登場人物のビデオカメラによって撮影された作品”のことを指すのではなく、“登場人物の主観視点で撮影するという撮影手法”のことを言う。ゲームで言うところの“FP(First Person)”と同義だ。

 また、作品全体のスタイルという意味では、本作を“ファウンド・フッテージ”と形容することが可能だろう。要は、消息不明となった者(または死亡した者)が撮影したビデオテープが後々発見されたので観てみましょう、というていで作られる作品のことである。もっとも、本作公開時にこのような呼び名はまだ無かったのではなかったかな。たぶん、『クローバーフィールド』以降、『パラノーマル・アクティビティ』のヒットを経て世間に浸透したのだと思う。

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 少し余談だが、こういった撮影手法やスタイルを用いた作品に対しては、すぐに“酔う!”という苦情が寄せられる。『クローバーフィールド』公開時にも、筆者の周りでは「Yo!あの映画酔うんだってな?」という輩がひしめき合っていた。しかしながら、個人的にはそんな人たちの感覚が全く分からない。みんな、本当に酔ってる?“酔ってる”に酔ってるんじゃないの?

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 話を戻す。本作が素晴らしいのは、ただ単に特殊な撮影手法を用いたからではない。低予算のホラー映画において使用した、というところこそが、素晴らしい。『クローバーフィールド』のレビューでも述べたが、POVという撮影手法が観客にもたらす最大の効果は、“作品のリアルさ”である。したがって、現実社会にモンスターという非現実的な存在が侵入した世界を如何にしてリアルに描いていくか、というモンスターパニック作品とPOVの相性は抜群だった。結果、『クローバーフィールド』は、当代を代表する傑作モンスターパニックとなったのである。そして、ホラー映画においてもこの公式は変わらない。特に“魔女”という非現実的かつオカルト的な要素を軸とする本作は、POVとの関係で言うなら、ほぼモンスターパニックと同じ。恐怖を演出するギミックがいつ画面に映り込むか分からない、という、通常の映画の因果律を無視した素人カメラの映像は、圧倒的リアルさ、圧倒的恐怖を演出する。

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 しかし、今回初鑑賞してみて、筆者が最も感銘を受けたのは、肝心の“魔女”を結局一切登場させなかった、という演出上の英断である。本作は、本当に恐い。朝起きるとテントの前に吊されている布きれの数々や主人公たちの数だけ積まれた小石の山、夜間の謎の怪音、廃墟での無数の手形。それらのギミックたちは、決して仰々しく映し出されたりせず、あくまでもナチュラルな感じで画面に映り込む。しかし、本作のテーマであり、肝であり、おそらく主人公たちを追い詰めている原因である“ブレア・ウィッチの魔女”の姿は、終ぞ登場することはないのである。

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 この点が、本作の一番上手い点だと個人的には思う。本作以前にPOVをここまで全面的に使用したホラーはおそらくなく(あったとしても作品内のごく一部分での使用だろう。なお、“『ジャージー・デビル・プロジェクト』論争”に関しては、ここでは割愛する。)、そうであれば、ホラー映画として詰め込めるだけの演出・展開を詰め込みたいと思うのが、普通の製作者心理ではないだろうか。しかし、逆なのである。POV作品の黎明期にあるからこそ、わざとらしく“魔女”を登場させない演出が功を奏した。これって・・・マジなんじゃねーの?と騒ぎ出した観客が、少なからずいたのである(主役3人が実名とほぼ同じ名前の役を演じているという点もこれに拍車を掛けた。)。つまり、相当数の観客が、本当に“ファウンド・フッテージ”だと思い込んだのである。

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 もちろん、“実録説”を唱える者も一枚岩ではなく、“一部事実説”や“実話を元にした説”など様々なバリエーションがあったのだが、つまるところ、本作は“映画発信の都市伝説”を生み出したと言っていい。これは中々希有な例だ。『MIB』シリーズに代表されるように、都市伝説発信の映画、というのはしばしば見受けられる。しかし、本作はそれとは逆に、映画内の作り話をネットを利用して都市伝説という最強の口コミにまで昇華させてしまったのだから、いやはや、やはり“映画のマジック”とはすさまじいものである。

点数:68/100点
 極端にトリッキーな手法が故に、本作に高評価を与えなかったり、そもそも“映画なのか?”という疑問を差し挟む人もいる。それはもちろん分かる。しかし、筆者としては、“恐さ・リアルさを伝えるためにはどうすればいいのか?”という映画製作者の飽くなき探求心、チャレンジ精神を心から賞賛したい。真っ当な“名作”とは仮に言えないとしても、本作は、間違いなく映画史に残っていく“記念碑的作品”には違いなかろう。

(鑑賞日[初]:2013.7.9)










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