--
--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
16
2013

[No.264] 死霊のはらわた(Evil Dead) <70点>

CATEGORYホラー


[※WARNING:本作の予告編は本当にグロい。というか痛い。苦手な人は絶対に見ないように!:WARNING※]


キャッチコピー:『「死霊のはらわた」 壮絶なるリメイク誕生』

 “グルーヴィー!”が、壮絶に、終わる。

三文あらすじ:昔なじみと休暇を楽しむため、深い森の中の空き屋にやってきたデヴィッド(シャイロ・フェルナンデス)。彼には、かつて病気の母を押しつける形で家に残した妹のミア(ジェーン・レヴィ)に再会する目的もあった。しかし、地下室で怪しげな書物を発見した彼らがそこに書かれていた呪文を唱えてしまったことで死霊が復活し、憑依され人外の怪物と化したミアは、怯える仲間たちに死の宣告を告げる・・・


~*~*~*~

 
 始めに言っておくけれど、これはもう『死霊のはらわた』ではない。そんなのは当たり前のことだ。『遊星からの物体X』だってそう。『猿の惑星』だってそう。『トータル・リコール』だってそう。『ベスト・キッド』だって、『ポセイドン・アドベンチャー』だって、全部原典とは多かれ少なかれ“別物”だった。だから、今回は、むやみに目くじらを立てず、出来るだけフラットに“旧はらわた”と“新はらわた”の客観的な違いを比較していこうと思う。

edr14.jpg


 まず目に付く違いは、当然キャスト。旧はらわたでは、最初の犠牲者にしてラスト・ボスでもあるシェリルが中々インパクトのある憑依されっぷりを披露していた。

ed1.jpg


 恐ろしい!っていうか、汚らしい!旧はらわたのレビューで述べたが、この嫌悪感漂う個性的な見た目は、特殊メイクを担当したトム・サリヴァンの手腕である。

 一方、本作における最初の犠牲者は、なぜだか姉から妹へのキャラクター変更があったミア。演じるジェーン・レヴィは、何やらどこかで見たような顔立ちなのだが、フィルモグラフィーを見ても全くピンとこないという不思議な美女。憑依された彼女の雄姿がこれだ。

edr1.jpg


 こ、こわ・・・可愛い!いや、可愛いやん!旧はらわたの薄汚いババァとは大違いなピチピチの死霊。情報が飛び交いモラルが低下した現代社会においては、死霊の低年齢化が進んでいる。

 では、旧はらわたシリーズでめくるめく大冒険の末“時をかけるヒーロー”となった我らが英雄、ブルース兄貴演じるアッシュは、いったいどのように変化したのか。まずは、旧はらわた第一作より、永遠のナイス・ガイ、アシュリー・J・ウィリアムズ

edr2.jpg


 やっぱりいいよね。この概ねコミカルだが時に格好いい一瞬を覗かせる顔立ちが彼の最大の魅力だ。くりぃむしちゅーの有田哲平にクリソツのシャクレさんであるが、彼を見ても分かる通り、シャクレに悪い奴はいない。

 一方で、本作で憑依された妹を救おうと七転八倒するナイス・ガイは、シャイロ・フェルナンデス演じるデヴィッド。彼もまたジェーン・レヴィ同様、大作映画界では全くの無名なニューフェイスである。

edr3.jpg


 イケメン・・・。“ただの”イケメンだ・・・。これは生粋のグッドルッキング・ガイが背負う業であって、彼らは、その顔面の100点満点さから直ちに“アラ”を探される、という運命にある。ブルース・キャンベルぐらいの顔立ちならそんなことはないから、やっぱりイケメンは損だし、シャクレに悪い奴はいない。

 また、アッシュとデヴィッドでは、旧シリーズが持っていた“やり過ぎ感”という点でも歴然とした差がある。大量の血しぶきを浴び、泥にまみれ、ボロボログチョグチョなバトルを繰り広げたアッシュに対し、デヴィッドはまぁキレイなもの。旧シリーズのコアなファンであれば、キレイな顔してるだろ。ウソみたいだろ。主人公なんだぜ、それで・・・。と嘆くかもしれない。しかし、デヴィッドがアッシュのようにドロドロヘロヘロになりながら最後まで戦い抜かない、ということには、本作の大胆な設定変更が実は多分に寄与している。

edr9.jpg


 すなわち、本作でラスボスと血みどろの死闘を繰り広げるのは、序盤・中盤と主人公的扱いを受けていたデヴィッドではなく、他ならぬミア自身。終盤、土に埋めたら死霊から解放される、という旧シリーズにはなかった謎の民間療法で以て見事生還したミアは、憑依されたエリック(ルー・テイラー・プッチ)共々爆死した兄の敵を討つため、そして、全ての悪夢に終わりを告げるため、死霊の親玉と対峙する。

edr5.jpg


 この展開変更を好意的に見るなら、旧シリーズのオチを知る多くの観客に対しての粋なサプライズであろうが、その反面、この変更は、旧シリーズの本質を大きく変えてしまう決定的なポイントでもある。『死霊のはらわたⅡ』のレビューでも書いたが、旧はらわたシリーズにおける死霊たちの最大の個性は、一切の理屈を受け付ぬ存在、という点であった。ジェイソンやジョーズのように物理的障壁で防げる訳でもなく、貞子や他の和製ゴーストのように謎を解明してやることで成仏する訳でもない(貞子に関しては、謎の解明で成仏するのか知らないが。)。そんなホラー映画のお約束、いわば“敵に課せられたルール”を全て無視して襲ってくる死霊たちが最高に恐ろしかったのである。

edr15.jpg


 しかし、本作では、まずそもそもこれから起こることが概ね“死者の書”に記載されている、という親切設計。死霊の退散方法まで2通り3通りと説明される。おまけに前作では解読することが出来なかった謎の文字にも丁寧に英語で読み仮名がふられている、というユーザー・フレンドリーな仕様。そのため、本作では、前作のようにテープレコーダーから発せられる音声ではなく、登場人物の一人であるエリックが呪文を直接詠唱することで死霊を呼び起こしてしまう。だから悪いとは言わないが、少なくとも、生の肉声ではなくてもその文字列を何らかの方法で音にしてしまえば問答無用で発動する、という旧はらわたの斬新さは、本作にはない。

edr13.jpg


 また、死霊の憑依経路がゾンビチック、という点も旧シリーズとは違う本作の特徴。明言はされないものの、本作の死霊は、まず最も精神状態が不安定なミアに憑依し、次にミアによって顔面に大量の吐血を浴びせかけられたオリヴィア(ジェシカ・ルーカス)にも憑依し、その次にミアによって手を噛まれたナタリー(エリザベス・ブラックモア)にも憑依する、というように、概ね何らかの伝達システムや理屈に従って憑依範囲を拡大しているように見受けられる。伝達の原因が明確、というのはゾンビものやパンデミックもののお家芸なのであって、悪霊系のホラー、特に先述のようにルール無用の総合格闘技系ホラーである本シリーズにおいては、賛否は別にしても親和性はあまり無いだろう。

 そんなこんなで、本作の死霊は、全体としてどこか“ベタな悪霊”になってしまったのであった。

edr7.jpg


 とはいえ、本作には、そんじょそこらのホラー映画にはない斬新な点もある。それは“痛みの描写”。その最大の肝は“人体損壊の地味さ”にある。一般的に言えば、こういうスプラッター系の作品の醍醐味は、如何にしてハデで見応えのあるグロシーンをお送りするか、という部分になるだろう。しかし、モラルが低下した現代社会においては、一昔前とは比べ物にならないくらいほどグロい人体損壊描写がそこら中に溢れている。

edr16_20160711013128fc1.jpg


 本作が見せるグロシーンは、そのほとんどが従来の意味と比較して“ショボい”。ナタで舌や太ももを切るだけ、注射器でチクチク刺すだけ、ネイルガンでスパスパ打つだけ。どの攻撃もが決して致命傷にはならないささやかなものばかりだ。しかし、これが極めて“痛い”。つまり“リアル”。豪快に首がちょん切れたり、痛快に頭が爆発したりする描写は確かにグロく、そして、華があるのだが、観客の誰もが当然経験したことのないいわば“ファンタジー的スプラッターシーン”。一方で、本作が提供する“地味な人体損壊描写”の数々は、そのどれもが我々の知る痛みの延長、すなわち、タンスの角で小指をぶつけた痛みの延長、紙で指を切った痛みの延長、画鋲で掌を刺した痛みの延長にある。はっきりと明確に想像することができ、キャラクターの痛みを自身の痛みとして“痛感”することが出来る本作のスプラッターの数々は、さしずめ“リアル・スプラッターシーン”と呼ぶに相応しい。

edr11.jpg


 もちろん、本作は、そのような地味な傷害ばかりで全編を走り抜ける訳ではない。観る者が思わず目を覆ってしまうような従来通りの大胆なグロ描写もいくつか存在する。旧シリーズ、特に第二作におけるハデな人体損壊描写の担い手は、今やホラー映画界きってのアイドル的近接戦闘武器となった“チェーンソー”であった。レザーフェイスが愛用し、アッシュが無くした右手に装着した文明の利器は、本作でもときにそのまま、ときに形を変えて登場する。

edr12.jpg


 まず、衝撃的なのは、憑依されたミアに左手を噛まれたナタリーが、徐々に進行する死霊化を止めようと自身の左腕を肘上で切り落としてしまう、というグロシーン。これは、旧はらわた第二作への明確なオマージュである。同作において、自身の右手を乗っ取られた主人公アッシュは、しばらく自分の手と大乱闘を繰り広げた後、チェーンソーで手首から切り落とす。このシークエンスは、ブルース・キャンベルの一人芝居が素晴らしく、切り落とすまでのハイテンションな勢いと流れが絶妙な、旧シリーズを代表する屈指のシークエンス。さぁ、オマージュを担う次世代の“死霊バスターズ”として、ナタリーは一体どのように腕切断を成し遂げるのか、と注目していると、なんと!彼女はこともあろうに切れ味の弱い“電動フードナイフ”で実行してしまうのである。文字通り、まさに“大英断”。確かに、“切り落としシーン”としてのインパクトは『SAW』とかに負けているかもしれないが、旧シリーズへのオマージュとしては、中々衝撃的であった。

edr6.jpg


 チェーンソーが、今度は直接的に登場するのが、ミアvs死霊のクライマックス・バトル。そもそも自分が憑依されたのが事の発端だったのに、いや、だからこそ、自分で蒔いた種は自分で刈り取るのだ!という“トニー・スターク魂”で以て、血の雨が降りしきる中、死霊の親玉とやり合うミア。彼女が手にする武器は、もちろんチェーンソー。このシークエンスにおいても、我々旧はらわたファンの予想を裏切る衝撃的な展開が用意されているのだが、それは、死霊の怪力によって転倒したジープにミアの左手が下敷きにされてしまうところ。左手は下敷き、右手にはチェーンソー、眼前には死霊が迫る・・・。さぁ、どうする・・・。決まってるよな!ミア、いや、ニア!あれをやるぞ!!という漢の魂完全燃焼なはらわたファンの声援を無視して、ミアはなんと自力で左手を引きちぎってしまうのである。そんなバカな・・・!なんだか、本作を観ていると、ノコギリという刃物を用いた上しっかり止血処置までしていたのに、右足を切り落としたくらいであんなにフラフラになっていたゴードン先生が酷い腑抜けに見えてくる。

edr17.jpg


 その他、オリジナル版と本作で比較したいシーンを思いつくまま以下にいくつか挙げていく。

 まずは、やはり旧はらわたの代名詞的衝撃シーン、“藪からスティック、少女をレイプす!”である。“茂みvs茂み!”と言ってしまうとちょっとお下品だが、つまり、意思を持ったかのように襲い来る木々に絡め取られた、旧はらわたではシェリル、本作ではミアが、ビリッビリリッ!と衣服を剥がれ、仕舞いには股間にも侵入されてしまう、という何ともアンモラルな衝撃シーンだ。これは、両作共通で、その構成もほぼ同じ。ただ、何の変哲もない木がズドーン!と股間にダイナミック・エントリーした旧作に比べ、ヌメヌメして絡まったツタのような物体がニュルニュルと太ももを這い上がり、そのままニュル・・・ニュルニュルル!と股間に全部入ってしまう本作の方が、なんだか“寄生された感”が出ていて良かったかもしれない。

edr10.jpg


 それから、ラストのオチ。旧作では、朝日の中でほっと胸をなで下ろすアッシュ目がけて森の中からシェイキー・カムが一目散に駆け寄ってくる、そして、アッシュの叫び声で終幕、という一種のバッド・エンドであった。とはいえ、旧はらわたでは死霊の退散方法が存在しなかったため(死者の書を焼却する、という方法は、アッシュが勝手に思い込んでいたオリジナル退散法で、事実、効果は一時的なものでしかなかった。)、むしろほっとしていたアッシュが馬鹿者なのであり、逆に合理的、かつ、どこかそこはかとない無常観を噛み締めることの出来る秀逸なオチでもあった。

edr4.jpg


 一方、本作のオチは、一見してハッピー・エンドのように描かれている。遂に死霊との決着を付け、片腕と4人の仲間を失いつつも勝利したミアは、アッシュと同じく朝日を満足げに見つめる。真上からのアングルでカメラに捉えられる開いたままの死者の書は、唐突な突風と共にパラパラパラッ!とめくれていき、パタンッ!と閉じて、終幕。まぁ、意味深っちゃあ意味深かもしれないが、これだけでは何らその後のバッド・エンド的展開を空想することが出来ない。これまで予言の書のように次の展開を告げてきた死者の書なのだから、個人的には、ラストでパラパラとめくれていき、まだ悪夢は終わっていないことを示す次の展開のページが開かれて終幕の方が絶対に良かったと思っている。

点数:70/100点
 もはや“旧はらわた”とは別物である、ということをしっかり肝に銘じて観るならば、中々秀逸なスプラッターホラー。また、旧シリーズとの比較で観ても、本作独自の工夫を凝らし、その一方である程度のオマージュを忘れていない佳作、との評価を与える余地もある。とはいえ、やはり『死霊のはらわた』という作品は、若き日の熱意と勢いに溢れたサム・ライミだからこそ生み出すことの出来た独特の“ロックンロール・ホラー”なのであって、何とも“真面目すぎる”昨今のホラー映画には、決して真似出来るものではないのである。

(鑑賞日[初]:2013.7.15)










Evil Dead (2013) [Blu-ray] [Import]

新品価格
¥2,584から
(2013/7/16 13:23時点)


Evil Dead

新品価格
¥1,156から
(2013/7/16 13:23時点)


電動ナイフ Black & Decker EK700 9-Inch Electric Carving Knife並行輸入品

新品価格
¥6,059から
(2013/7/16 13:25時点)


ナカトミ(NAKATOMI) 電気チェーンソー(305mm) EC-305N

新品価格
¥4,480から
(2013/7/16 13:26時点)



関連記事
スポンサーサイト

Tag:これが女の生きる道 グロ注意 ヘンテコ邦題 リメイク映画

0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。