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17
2013

[No.266] カサブランカ(Casablanca) <94点>

CATEGORY恋愛




キャッチコピー:『アカデミー賞他世界映画賞に輝く 映画史上最高の《愛》の名篇! あなたの胸に すばらしい感動を捧げます。 激動のカサブランカに 激しくも哀しく燃え上がる 恋の炎 - 』

 つべこべ言うな、これがラブ・ストーリーの原典だ。

三文あらすじ:第二次世界大戦下の1942年、親ドイツのヴィシー政権に統治されたフランス領モロッコの都市カサブランカ(Casablanca)。ドイツ軍の支配を逃れるためにアメリカへ渡ろうとする人々で溢れかえるこの混沌の街で酒場“カフェ・アメリカン”を営むリック・ブレイン(ハンフリー・ボガード)は、パリで別れを告げることなく自分の元から去ったかつての恋人イルザ・ラント(イングリッド・バーグマン)と偶然の再会を果たす。封印したはずの過去を思い出すリックとイルザだったが、イルザには、反ナチス活動の末ドイツ軍人を殺害した夫ヴィクター・ラズロ(ポール・ヘンリード)を救うため、リックが所有するアメリカ行きの通行証が必要だった・・・


~*~*~*~

 
 マイナーなスプラッター映画にも少し飽きてきたので、時にはベタベタな超有名傑作映画でも観てみる。

 1942年制作、配給ワーナー・ブラザーズ。監督は、『ロビンフッドの冒険』、『夜も昼も』、『ホワイト・クリスマス』、そして、もちろん本作で有名な巨匠マイケル・カーティス。主役を演じるのは、映画界が宇宙に誇るスーパースター、ハンフリー・ボガード。ヒロインに純白のシャクナゲ、イングリッド・バーグマン。彼女を奪い合うもう一人の“男”は、ポール・ヘンリード。真の友情を教えてくれるいぶし銀、クロード・レインズ。そして、混沌と情熱と男気の舞台“カサブランカ”

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 もう、言葉はいらない。本作が如何に完璧で素晴らしい超傑作映画であるか、ということは、過去のそうそうたる客観的データが教えてくれる。まずは、映画界最高の権威アカデミー賞。前回紹介したマーティン・スコセッシは、この賞に長年呪われ続けた悲劇の監督だったが、さすがのアカデミーも本作に関しては順当な評価を与えた。1944年に行われた第16回アカデミー賞において本作が受賞したのは、作品賞・監督賞・脚本賞の3つ。今思えば少ない気がしなくもないが、それでもちゃんと本作に作品賞を与えたということは、今日、そして、この先もアカデミー賞が権威を保っていく上での非常に賢明な判断であっただろう。基本的に辛口なCUTのアカデミー賞特集号も本年に関しては概ね手放しで絶賛している。“勝因は?”という項目では、

 “時には正義が勝つこともある。”

と端的に正論を述べ、“勝つべきだったのか?”という項目においては

 “明白に、確実に、議論の余地なく、勝つべきでした。”

と断言する。さらに、“今、観るべきか?”という項目に対して

 “訊かなきゃわからない?やれやれ…イエス!”

と締めくくるのである。そう、『カサブランカ』とは、まさにそんな映画であろう。

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 また、前回述べたマーティン・スコセッシ作品も数々登録されていたアメリカ国立フィルム登録簿。文化的・歴史的・芸術的に重要なフィルムを未来永劫保存するという目的のもとで創設されたこのシステムは、1989年に始まった。そして、何を隠そう、記念すべき第一回に登録された25本の内の1本が本作なのである。

 さらに、名作映画であることを示す指標として、AFIアメリカ映画100年シリーズというランキングがある。“AFI”とは“American Film Institute”、すなわち、映画芸術の遺産を保護し前進させることを目的とする映画団体のことであり、彼らは、アメリカ映画100周年を記念して、様々なテーマごとに過去の映画を順位付けするというランキングを1998年からスタートさせた。本作のランクインは、次の通り。

★アメリカ映画ベスト100:2位(再ランキングの際には3位)
★映画スターベスト100:俳優1位(ハンフリー・ボガード)、女優4位(イングリッド・バーグマン)
★スリルを感じる映画ベスト100:42位
★情熱的な映画ベスト100:1位
★ヒーローと悪役ベスト100:4位(リック・ブレイン)
★映画主題歌ベスト100:2位(『As Time Goes By』)
★感動の映画ベスト100:32位



 この堂々たる高順位の数々を見ても本作が如何に名作であるかが一目瞭然なのだが、真にスゴイのは、これらのランキングが為された年代。すなわち、上から順に1998年(再ランキングは2007年)、1999年、2001年、2002年、2003年、2004年、2006年と、公開から半世紀以上も過ぎた最近でも常に上位にランクインし続けているのである。

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 さて、本作の“客観的な映画として完成度”を過去のデータから示したところで、次は、本作中無数に登場する“最高の名言たち”に言及していきたいと思う。まずは、何と言ってもこれだろう。

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「Here's looking at you, kid.」


 日本人であってもおそらく全員が一度は耳にしたことのある人類史上最高の名言。日本語訳すると、

 「君の瞳に乾杯。」

となる。この台詞は、珍しく日本語訳の妙が光っている希有な例。Google翻訳で直訳すると「ここにあなたの子供を見ています。」となる一文を、「君の瞳に乾杯。」としてしまうのだから、翻訳者のセンスに完敗である。ともかく、もはやキザな台詞の代名詞になりすぎて使われることも無くなったこの言葉は、実は本作が発祥だったというわけだ。ちなみにこの台詞は、AFI名セリフベスト100(2005年)において、第5位にランクインしている。

 次に、個人的に何回観ても泣いてしまうマイ・ベスト台詞は、コレ。

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「We'll always have Paris.」


 これはいい!愛した夫の死。その悲しみを胸中に秘めたままのパリでのリックとの出会い。ドイツ軍に占領されたパリからリックと逃げるまさにその日に発覚する夫の生存。最初に愛した男と最後に愛した男との間で揺れるカサブランカ。そんな状況のままイルザは、再び“危険な街からの脱出”という局面に立つ。しかし、今回は、夫を逃がし、自分はリックと残る。イルザの心は、そう決まっていたはずだ。あのパリでの後悔を二度と繰り返さないために。リックは、そんな彼女に告げる。

 「You're getting on that plane with Victor where you belong.」
 (君はヴィクターと飛行機に乗るんだ。)


 戸惑うイルザ。いぶし銀な酒場のオーナーは、ここに残っては2人とも収容所送りになってしまうかもしれないこと、ヴィクターが真にイルザを必要としていること、彼の側にいることがイルザの幸せであることを優しく、切なく説く。

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「But what about us?」
(でも、私たちはどうなるの?)


 深い深い愛の末、愛した男を裏切らなければならなかった戦火のパリ。あの生涯最大の後悔に再び押し潰されそうなイルザは、涙ながらに問う。愛するが故に突き放す。それは大抵陳腐で幼稚で不器用なメロドラマの世界。しかし、俺たちのリックは違う。全てを包む海原のように、独り孤独な荒野のように、悲しみを溶かす夕焼けのように。口を開いた彼の、説得力。

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「We'll always have Paris.」
(俺たちには、パリの思い出がある。)


 リーーーッッック!!!これは本当に最高の名言だ。心揺さぶる男気と前フリに裏打ちされた計り知れない合理性。まさに“熱いハートとクールな頭脳”という訳で、漢の魂を完全燃焼させたあなたは、思わず彼を“アニキ”と呼んでしまうことだろう。このシーン、そして、この台詞こそ、本作がまさに恋愛映画の“天元”を行く堂々たる傑作にして原典であることの証明である。ちなみに、この台詞は、名セリフベスト100の第43位にランクイン。

 そんな我らがアニキ、リック・ブレインの名台詞は、まだまだ尽きることを知らない。これもまた有名中の有名。序盤で登場する、リックのプレイボーイさが炸裂する名台詞である。リックにデートをすっぽかされ、カンカンになった女性イヴォンヌが、リックの酒場にやってくる。リック登場に噴出する怒り。

 「Where were you last night?」
 (昨夜はどこにいたの?)


 目もくれずにリックは言い放つ。

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「That's so long ago. I don't remember.」
(そんな昔のことは覚えていない。)


 これは火に油を注ぐようなもの。ますます怒ったイヴォンヌは、さらに追及する。

 「Will I see you tonight?」
 (今夜は会えるの?)


 さぁ、男の正念場だ!我らがアニキは、もちろん動じない。

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「I never make plans that far ahead.」
(そんな先のことは分からない。)


 ヒュー!!痺れる名台詞だ!世の男どもが皆ベジタリアンになってしまった今日では決して聞けないであろう、古き良き真の“漢”の発言。もちろん、女性から見れば“なんたるクソ男であることか!”となるだろうが、男と女とは元来そういうもの。突き詰めれば決して分かり合えない“別の生き物”なのであって、しかし、だからこそ人は恋に落ちるのである。

 では、今度は、女性側の名台詞、すなわち、本作のヒロインたるイルザ・ラントの味わい深い名言を。夫であるヴィクターと偶然にもリックの酒場にやってきたイルザは、ピアニストに目を止める。彼は、リックとの思い出のパリを名曲『As Time Goes By』で彩ってくれた懐かしき友人だ。夫が席を外した隙に、イルザはサムを呼び、リクエストする。過ぎゆく時を、取り戻すかのように。

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「Play it, Sam. Play "As Time Goes By".」
(あれを弾いて、サム。『時の過ぎ行くままに』を。)


 味わい深けぇ…。このシーンでは、サムの“おとぼけ”も凄くいい。リックの忠実な部下であり、同時に一番の理解者かつ友人でもあるサムは、リックとイルザはもう会わない方がいいと判断し、「Oh, I can't remember it, Miss Ilsa.」とはぐらかす。もちろん、ボスであるリックから『時の過ぎ行くままに』の演奏を禁止されているという側面もあるのだが、このシーンはそんな形式的な雇用規則ではなく、サム自身の信念と優しさと思いやりと男気が表現された名シークエンスだと、筆者は思う。ちなみに、この台詞は、第28位

 その他にも、名セリフベスト100で堂々の第20位を獲得し、名作ラブ・コメディ『恋人たちの予感』でも作品のテーマを象徴する非常に印象的な使われ方をした名言、

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「Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship.」
(ルイ、これが俺たちの美しい友情の始まりだな。)


も当然のことながら本当に素晴らしいし、イルザとの邂逅によって封印した思い出が蘇り、珍しくやけ酒をかっくらうリックが呟いた名セリフ第67位の名言、

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「Of all the gin joints in all the towns in all the world, she walks into mine.」
(世界には星の数ほど店があるのに、彼女は俺の店にやってきた…!)


も哀愁と男気漂う希代の名台詞である。

 とまぁ、本当に語るべきことの多い名作中の名作が本作なのであるが、最後にちょっとだけ筆者独自の感想を述べておこうと思う。勇気を持って忌憚なく発言するが、本作で2人の男の愛に揺れる伝説のヒロイン、イルザは、正直なところ“クソ女”に違いない。

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 まず、まぁ、これは別にイルザだけのせいではないのだが、そもそも互いの過去についての質問はNGという恋人の関係性が、筆者には到底理解出来ない。恋人の昔の恋人の話は訊くべきでないという一般的なルールが何故か蔓延しているし、実際に恋人の過去など訊いても損するだけだ!と訳知り顔で宣う人物を筆者も何人か知っている。でも、筆者からすれば、そんな秘密だらけの相手と一緒に暮らしたり一生を共にしたり出来る人の神経こそ信じられない。気になるなら訊けばいいじゃない。不愉快な過去が露呈されれば思いっきり傷つけばいいじゃない。それが恋じゃないの?もっと思いっきり愛して思いっきり傷ついて、本気で恋しようぜ!

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 …という筆者のしょーもない恋愛哲学は置いておいて、イルザが“クソ女”である最大の理由は、2人の男性間でのフラフラ具合である。これは以前レビューを書いた『ドライヴ』のヒロインとも共通する要素。彼女もまた、夫の服役中に恋に落ちたドライバーとシャバに戻ってきた夫との間で揺れ動き、仕舞いには自分の優柔不断を棚上げしてドライバーを責め立てる、という中々のクソ女であった。本作のイルザも、夫の生存が判明すればしっかり説明することなく内緒でリックの元を去ったり、そのくせ再びリックに会えば今度は夫に内緒でフラフラとリックに惹かれていったりと、極めて優柔不断である。

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 もちろん、先程述べた通り、男と女は完璧には分かり合えない“別個の生物”なのであって、彼女たちのフラフラ感をどう思うかは、どちらが“正しい”という性質の問題ではない。結局は、全て“イデオロギーの戦い”なのである。しかし、いや、だからこそ、筆者は彼女たちを非難したい。単純に、2人のどちらも魅力的な男性に惹かれ、その狭間でフラフラするというだけならまだいい。彼女たちの酷いところは、自分が男を振り回しているのに、結局全部男に押しつけようとするところなのである。「もう私には分からないわ!あなたが決めて!」とリックに泣きつくイルザの態度なんか、全く要領を得ない。いや、イルザよ、分かるやろ。リックはお前のこと夫には渡さへん!っていう姿勢崩してないんやから、“リックに任せる”=“夫捨てる”やん。じゃあ、ちゃんと自分の中で状況整理して、納得出来る答え出して、後悔せぇへん覚悟決めて、それからリックに「あなたと残るわ!」って言わんかい。なんか、どうも彼女たちの立ち居振る舞いを引いた位置から見ていると、結局自分の責任から逃れたいだけのような気がしてしまうのである。

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 したがって、男性諸君が本作で注目すべき見所は、実は、恋愛部分ではなく、イルザを取り巻く男たちの最高の格好良さということになるのである。フラフラしっぱなしのイルザの良い面も悪い面もがっちりと受け止める心の広さ。決めるべきところでバシッと決めるいぶし銀な言動の数々。一人の女を奪い合うライバルでありながら共に互いを“男”と認め、互いに合理的で最善な策を考え、断腸の思いで身を引いたり、何も言わずその覚悟を受け止めるという最高の男気。そして、全てを把握した上で、各々の立場を越えた“男”として理解し合う極上の美しき友情。そんな、現代ではもうほぼ絶滅してしまったような、ましてや先述のように子供じみた主張を偉そうにつべこべ言っている筆者には到底真似出来ないような“これこそが「漢」だ!”という筆舌に尽くしがたい格好良さこそを、我々男性は正座して直視しなければならない。そして、いつか自分が年を取り、本当の“大人”になれたとき、同時に彼らのような真の“漢”にもなれていることを、ただ願うのである。まぁ、そんな先のことは分からないが。

点数:94/100点
 やはり名作は伊達じゃない。よどみなく流れるストーリーライン、本当に一切の無駄がないカット割り、最高のキャストと最高の演技、胸を打つ音楽と感動のラスト。およそ真面目な恋愛映画に必要とされる全ての要素がこれ以上なく完璧に詰まった希代の傑作である。

 それから、これはとんでもなく余談であるが、筆者の友人は、かつて“カサブランカ”という名前のアパートに住んでいたことがある。今となって考えてみれば、“カサブランカ”にはスペイン語とポルトガル語で“白い家”という意味があるから、アパートの名前として別段変なこともないのだが、当時は“すわ、名作映画へのオマージュか!”と筆者は一人で色めき立っていたものだ。実際、友人がそこに住んでいた間、彼の恋愛が順風満帆だったかと言えば決してそうでもなく、それを“悲恋を生むところまで本作そっくりだ”と好意的に考えるか、“そんな縁起の悪いアパートには住むものか”と悲観的に捉えるかは、難しいところである。まぁ、とにもかくにも、通行証無しで既に“カサブランカ”を脱した彼の今後の恋愛を筆者は心から応援したい。

(鑑賞日:2013.7.17)










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