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28
2013

[No.268] ザ・デプス(DeepStar Six) <76点>





キャッチコピー:『Not All Aliens Come From Space.』

 モンスター・パニック?
 はたまたサバイバル・パニック?
 いやいや、これは“スナイダー・パニック”だ!

三文あらすじ:豊富な資源と戦略上の機密性から、深度1万メートルの海底に造られたアメリカ海軍の秘密基地ディープスター・シックス(DeepStar Six)。長期の海底生活にうんざりしつつも日々ミサイル発射台建造に従事していた11人のクルーは、地下の巨大な空洞を発見し、それを爆破。海底に潜んでいた未知の巨大深海生物が、遂に目覚めた・・・


~*~*~*~

 
 1989年制作の海洋冒険モンスター・パニック映画。この頃は、深海を舞台にしたモンスター・パニックが大人気で、巨匠ジェームズ・キャメロンが監督した深海パニックの名作『アビス』や、“深海のエイリアン”と称される隠れた名作『リバイアサン』なども時を同じくして公開されている。

 まず、本作のタイトルが少しだけ不思議。原題は、本作の舞台である深海基地の名前そのままの『DeepStar Six』なのだが、邦題は、“深さ”を意味する『ザ・デプス(The Depth)』。だいたい、原題と異なる邦題というのは、日本人にも分かりやすくするために日本語にしたり、平易な英単語に置き換えたりするものだ。例えば、コスプレ男の伝説三部作完結編『ダークナイト・ライジング』なんかは、原題『Dark Knight Rises』だったところを微妙に語尾だけ変えられたのである。しかし、本作における変更後の邦題は、“Deep(深い)”という形容詞の名詞形“Depth(深さ)”。まぁ、大学受験英語としてはそこまで難しいものではないとはいえ、一般の観客に直感的な理解を求めるのなら賢い選択とは言えないだろう。これは、まず間違いなく、当時ヒットしていた『アビス』の乗っかりに相違あるまい。

 さて、本作の監督は、ショーン・S・カニンガム。何を隠そう、殺人鬼ホラーの押しも押されぬ金字塔『13日の金曜日』の監督である。と、いうことは、当然本作にも彼ご自慢の恐怖演出が光っているのか!というと、その辺は正直よく分からない。『13金』を未だ鑑賞していない筆者の不徳もあるだろうし、そもそもそんなに恐怖演出らしい演出が無いという部分もあるだろう。

 では、そんな監督の手による本作の出来は、というと、これが中々一言では言い表せない魅力とバカバカしさに満ちあふれた、なんとも不思議な良作なのである。まずは、モンスター・パニック作品の真の主役たるモンスターの造形を見ていただこう。

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 どーん!…ワニ?…エビ?…シャコ?いや、カニンガムなだけにカニか!という感じのビジュアル。中々醜悪かつ凶暴で秀逸なデザインである。

 問題は、彼が登場するまでの“煽り”にある。ミサイル発射台建造間際になってその地下に“巨大な空洞”があるという事実が発覚。研究者である女性クルーがまず調査を申し出るも爆破という強攻策を命令する司令官。寝込みを襲われ立腹したカニンガム・モンスターは、ディープスター・シックスとは別棟の施設をまず攻撃する。その際、ソナーでモンスターの接近を感知した駐在クルーは、「めちゃくちゃ巨大な何かが高速で近づいてくる!」と慌てふためく。壊滅の危機に瀕した別棟を救出するべく、本棟から探査艇で出動した主人公らも同じようにモンスターとニア・ミスし、またぞろ同じように「巨大すぎる…!しかも…速い…!」と驚愕する。そんなこんなで、こちらのボルテージは最高潮。一体全体、どんなバカデカイ怪獣が登場するのか、と小躍りしていたところに、上記写真のモンスター。いや、小っちゃ!!と思わず仰け反ったのは、決して筆者だけではないはずだ。

 しかも、である。このモンスター、作中あんまり仕事をしない。序盤で登場し、終盤でもディープスター内で暴れるものの、中盤はずっと音沙汰無し。モンスター・パニックなのにモンスターがサボっている、というのはいかがなものだろう。確かに、本作と同時期に公開された『アビス』においても、深海に潜んでいた映画史上希に見る平和主義のエイリアンたちは、作中あまり登場しなかった。とはいえ、同作は、どちらかと言えば“海洋アドベンチャー”の趣が強かったから、まぁまだいいだろう。一方で、本作は、一応全編を通してモンスター・パニックの王道を行く作品。モンスターの中盤における長いシエスタは、どこか拍子抜けな気がしないでもない。

 では、本作の中盤はダルダルにたるみきった中だるみの時間かと言うと、決してそんなことはない。ここで活躍するのが、本作一のトラブルメイカー、スナイダー氏である。演じるのは、ミゲル・フェラー。変態監督ポール・バーホーベンの出世作『ロボコップ』において、悪い副社長ロバート・モートンを演じた俳優であり、なんとジョージ・クルーニーの従兄でもある。

 そんなミゲル演じるスナイダーが、もうとにかく所狭しと暴れ回る!作中、ディープシックスが見舞われる災難のほとんどは、実は紛れもない“人災”であり、その内の99.9%が何を隠そうこのスナイダーのせいなのである。

 まず、何と言っても酷いのが、核ミサイルを解体しろと命令され際に、強がって一人だけでやったものだから、なんと深海で核爆発を起こしてしまう、という大失態。そのせいでてんやわんや、阿鼻叫喚のディープスター内でスネ続けるスナイダーは、その後もモンスター退治のためのモリを誤って司令官に突き刺し殺してしまったり、挙げ句の果てには、みんなで脱出するための緊急脱出ボートを強奪し、きちんと減圧処理もしないまま逃げ出してしまったために、一人孤独に死んでしまうのである。

 ここまで行くとムカつかない。始めの内こそ、おいおい…。とため息をついていた我々は、次第に彼の一挙手一投足に引き込まれていき、いつの間にやら爆笑し、次の事件を期待する。ここまでいけば、もう彼の独壇場。我々は、既にスナイダーの虜である。したがって、筆者は、本作が紛れもなく新ジャンル“スナイダー・パニック”であると断言する。主役は、カニもどきのモンスターではない。暗く深い海の恐怖でもなく、気持ちの良い10人のクルーたちですらない。本作の舞台は全て、彼のためにある。

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 そう、スナイダーのために。

点数:76/100点
 世にも奇妙が故に目を見張ってのめり込む傑作海洋モンスター・パニック。まぁ、本当は、いくつか登場する探査艇であったり、ポスターにもなっている潜水スーツなど、メカニカルなギミックという見所も本作にはあるのだが、とりあえず、初見の際にはスナイダーの雄姿にだけ舌鼓を打っておけばよろしい。

(鑑賞日[初]:2013.7.19)






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Tag:海洋冒険ロマン ダメ男 ヘンテコ邦題

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