[No.269] ピラニア(Piranha) <67点>





キャッチコピー:『Lost River Lake was a thriving resort until they discovered...』

 ピラニアは俺の前で歯を立てない、立てるのは目くじらだけだ!

三文あらすじ:夜の山中をハイキング中にある施設を見つけ潜り込んだカップルが、そのまま消息を絶つ。後日、2人を探すためやってきた女性調査員マギー・マッキューン(ヘザー・メンジース)は、酔いどれガイドのポール・グローガン(ブラッドフォード・ディルマン)を雇って施設に辿り着く。しかし、そこで出会ったロバート・ホーク博士(ケヴィン・マッカーシー)の忠告を聞かずにマギー、ポールが飼育プールの水を放出してしまったため、軍によって遺伝子改造を施された凶暴なピラニア(Piranha)が、折しも大勢の人で賑わう川へと解き放たれてしまう・・・


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 以前当ブログでも紹介した巨匠ジェームズ・キャメロン後悔の一本『殺人魚フライングキラー』。なんともふしだらなヒロインのキャラクターや一様に同じアングルからパタパタと飛んでくる飛行ピラニアというモンスターが極めてバカバカしく、かつ、非常に愛らしかった珍作である。その前編に当たるのが本作『ピラニア』。続編が続編なら前編も前編という訳で、本作もストーリー、ビジュアル共に正真正銘、真っ向から天元を行くB級モンスター・パニックである。

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 まず、ビジュアルがとってもショボい。まぁ、それでも“今から観れば”という意味なのであって、もちろん1978年という当時の技術水準や本作の低予算からすれば、充分に素晴らしいスプラッター描写の数々。襲ってくるときは必ずプクプクプクプク…!という効果音が流れ、毎回同じアングルからの濁った水中の魚影しか映らないというピラニア襲来描写における趣向は、本作の味わいの一つであり、次作においてもほとんど改善されなかった単調なギミックでもある。

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 こんな感じ。まぁ、クライマックスではもうちょっとだけハッキリ見えるのだけれど、概ねこんな感じですごく不明瞭。また、時折挿入される“ピラニア目線で泳いでいる人間を捉える”というカメラアングルは、明らかに『ジョーズ』のパクリである。

 次に、ストーリー面。これがまた酷い。逆に言えば、極めてB級らしいストーリーとも言える。大まかな筋は、川に解き放たれた凶暴なピラニアを追う主人公の忠告を無視して土地の権力者が川開きを敢行してしまったがために、川辺は阿鼻叫喚の地獄絵図と化す、というこれまた『ジョーズ』のパクリらしきプロット。既視感は必ずしも高評価に繋がるわけではないが、当時のモンスター・パニックはすべからく『ジョーズ』の亜流として制作される運命にあったのだから、この点にあまり目くじらを立てるべきではない。

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 問題は、主人公たちの厚顔無恥さ加減である。まず、そもそもを言うなら、凶暴な殺人ピラニアが川に解き放たれたのも、明確に一点の疑問の余地もなく主人公2人の責任。そりゃあ、確かにもっと根源を辿るなら、そんな凶暴なピラニアを造ってしまった軍や研究中止を命令された後も引き続き独断で研究していた博士を恨むべきなのかもしれない。そうは言っても、勝手に施設内へと不法侵入してきた主人公たちに対して博士はきちんと忠告してくれていた。それなのに、その忠告をガン無視して無理くり飼育プールの水を川へと流してしまった主人公たちは、およそモンスター・パニック映画の主人公に必要とされる程度の“善人性”を欠いていると言わざるを得ない。しかも、その後も事の重大さを説明しようと繰り返し試みる博士をギチギチに縛り上げ、彼の脳天を射るくらいの上から目線で常に命令口調。やっとのことで博士が説明を終えると、今度は水を得た魚のように、キュウリを得たカッパのように、烈火の如く博士を責め立てるのである。それはないぜよ、いくらなんでも。

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 ある意味では、全部こいつら2人のせいなんだよ。当然、その後も他のB級映画の主人公と同様、中々に不合理な行動の連続。まぁ、今思えば、そのような本作の性質をある程度受け継いでいた『殺人魚フライングキラー』は、“良い続編”と言っていいのかもしれない。

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 なんだか悪口ばかり書いてきたが、本作のクリエーターは実は最高に豪華だ、ということを最後にお伝えして終わりたい。まず、監督は、ジョー・ダンテ。狼男への変身シーンがあまりにも有名な『ハウリング』やスピルバーグ制作の大ヒットキューティー・モンパニ『グレムリン』を後に手がける男。

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 それから、特殊効果担当が超豪華。当ブログでも何度もその名が登場したロブ・ボッティンも参加していれば、『スターウォーズ』シリーズや『ロボコップ』、あるいは、『ジュラシック・パーク』や『スターシップ・トゥルーパーズ』などなど筆者を始めとした男の琴線を震わせる名作SFを数多く手がけるフィル・ティペットもその名を連ねる。

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 変態半漁人強姦譚『モンスター・パニック』でもそうだったが、突っ込み所満載のB級モンスターパニック映画は、巨匠たちの登竜門であるようだ。

点数:67/100点
 これぞB級映画だ!と言わんばかりの素晴らしいモンスター・パニック作品。本文では述べなかったが、ハイカーカップルがピラニア飼育プールで命を落とすくだりがあって、その後すかさずタイトル登場というオープニング演出も最高に素晴らしい。なお、本当のピラニアのアマゾンにおける生態については、開高健の釣り紀行文『オーパ!』に詳しいので是非ご一読を。

(鑑賞日[初]:2013.7.28)

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