[No.271] 発情アニマル[劇場](女の日[TV]、悪魔のえじき[ビデオ・DVD])(Day Of The Woman、I Spit On Your Grave) <67点>





キャッチコピー:『凄絶!肉のしたたりをひっさげて - 遂に上陸した強烈、絶品ポルノ!!』

 お前の墓に唾ぶっかけてやる!

三文あらすじ:執筆活動に専念するため、片田舎の避暑地にやってきた女性作家ジェニファー・ヒルズ(カミール・キートン)。人里離れた森の中の別荘で優雅なひとときを満喫する彼女だったが、地元のガソリンスタンドで働くジョニー(アーロン・タボール)を筆頭にした粗野な4人の若者に目を付けられ、ある日、無残なまでに陵辱されてしまう。心身共に深く傷つき絶望するジェニファーは、一転、4人の悪魔たちへの血の復讐を開始する・・・


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 今回感想を述べたいのは、『発情アニマル』。なんともピンクっぽいこのタイトルを聞いて、“Mr.Alan Smitheeも遂にトチ狂ってAVの感想を書き始めたのだな…。”と思われる方もいるだろう。しかし、本作は、ホラー映画ファン、あるいは、スプラッター映画ファンなら知らぬ者のないカルト的傑作スプラッターホラーなのである。

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 とはいえ、そのストーリーの残虐性と破廉恥性から、日本公開時に“ポルノ映画”として扱われていた、というのもまた事実。『発情アニマル』なるアダルトなタイトルは、そんな事情に由来する。では、肝心のストーリーはというと、避暑地を訪れた美人作家が地元のゴロツキどもにボコボコスカスカメチャメチャドロドロにレイプされ、その後、復讐の鬼と化した彼女が、今度は男たちに対して、流血悶絶壮絶凄惨な血の復讐劇を繰り広げる、というもの。つまり、最低の抑圧の後に来る最高のカタルシス、という極めてシンプルで、それだけに一切の無駄が無いプロットなのである。

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 しかしながら、あまりエロを期待しすぎるのは禁物。もちろん、前半から美人作家ジェニファーの美しい水着姿が堪能できるし、肝心のレイプシーンも残虐を極めており、そういうのを楽しむことが出来る、いわば屈折したドS的性癖の持ち主なら興奮できるのかもしれない。また、後半の復讐シークエンスでは、逆にジェニファーから色仕掛けを用いて男を油断させるという展開がいくつかあるので、そういった意味では、一応全編を通してエロ要素は散りばめられている。とはいえ、なんせ展開が陰湿で残虐だし、誰もが超過激映像を手軽にネットで鑑賞出来る昨今からすれば、どうしても生ぬるいエロでしかない。やはり本作は、『キル・ビル』のような紛れもない“女の復讐劇”なのであり、レイプシーンは、復讐を盛り上げるための起爆剤にすぎないのである。したがって、劇場公開時、TV放映時、ビデオ化時と紆余曲折したタイトルの中では、個人的に『女の日』を一番に推したい。本国公開時の正式タイトルもコレであったはずだ。

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 では、そんな本作の内容を若干詳しく見ていきたい。

 まず、オープニングが素晴らしい。素晴らしいと言っても、別にハデなアクションがあったり、ご機嫌な音楽が鳴り響いている訳ではない。片田舎の避暑地を目指して一人車を走らせるジェニファーを助手席の位置からカメラは捉えている。窓から彼女越しに見える平坦な風景。その風景に被せて、つまり、ジェニファーの顔前方と窓枠との間のスペースに収まる形でタイトルが登場する。

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 このシーンの演出は、非常に淡泊。しかし、見事。ジェニファーの美人さ、知的さがその横顔から伝わり、流れゆく風景にのどかさを感じる。そして、その後の残虐なあらすじを知って観る我々は、同時に、そのような何の変哲も無いワンシーンから言いしれぬ不気味さをもまた感じ取ることが出来るのである。

 そんなこんなで片田舎に到着したジェニファー。ここからはしばらく男性陣にうれしいセクシー水着ショータイムである。

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 例えば、こんな感じ。まぁ、美しきジェニファーのおっぱいは、決して美乳とは言えないいわゆる微乳なのだが、そこが却(かえ)ってリアルである。だからこそ、なんだかエロい。“エロさ”とは、ときに“リアルさ”と同義なのだ。

 さぁ、そんなあられもない格好でウロチョロしていたもんだから、と言うといくらなんでも男尊女卑が過ぎるが、少なくとも、そんな彼女のリアルなエロさが引き金となって、ガソスタ店員ジョニーを筆頭にした田舎の不良少年たちが襲ってくる。始めは、川辺のハンモックで執筆活動に専念するジェニファーをモーターボートの騒音で執拗に煽り立てる、といった質の悪いイタズラ程度だったのだが、彼らは、突然、人の皮を被った鬼畜と化すのである。不良少年たちのこの辺りの心境の変化というか、行動の切っ掛けは、非常に不明瞭。からかっている内に怒ったジェニファーが彼らに手を挙げ、逆上の気持ちからドラスティックなレイプに発展した、という展開なら極めて説得的なのだが、本作ではそのような丁寧な説明が一切見られない。そもそも、始終ガソスタにたむろして何やら“小石飛ばし”のような遊びを延々やっている彼らは、現代の、そして、都会の一般的な感覚からすれば、全く以て“不良”ではない。まぁ、さしずめ“健康優良不良少年”といったところなのだろうか。とにかく、その辺のチグハグさ加減を脚本の穴だと責めることも出来る反面、理解不能さからくる不気味さというものも確かに存在しているのである。

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 そして、本作前半のクライマックス、極悪非道林間輪姦の時間である。このシークエンスに限っては、昔の映画だと侮ってはならない。

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 もうボッコボコのドッロドロ、ケチョンケチョンのグデングデンである。林の中で犯され、傷だらけ泥だらけの一糸まとわぬ姿で逃げ出せば、すぐに追いつかれてまた犯される。やっとの思いで別荘に辿り着いてもまたそこで犯される。ポルノ映画を期待して劇場に足を運んだ当時の観客は、やっと本番が始まったかと安堵したことだろうが、まともな映画鑑賞者ならば、すまし顔で直視はできないだろう。

 このシークエンスは、一応、後半に待っている逆襲展開への起爆剤としての役割を持ったパートなのだが、何故か一人が犯しては少しだけジェニファーを逃がし、すぐに追いついてまた一人が犯す、を繰り返す不良少年たちの陰湿な不気味さや、サスペンダーの男がハーモニカを吹くシーンでのどこか情緒すら漂う不気味さや、知恵遅れが故に良い奴で序盤ではジェニファーと友達にもなっていたはずのメガネの男が最終的には一緒になって彼女を犯してしまうという悪趣味な不気味さなどなど、一本のホラー映画として観ても中々な見応えに仕上がっている。

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 さぁ、ここからは、女ジェニファーによる血の復讐劇である。まさに『DAY OF THE WOMAN』。正直なところ、前半で起きた見るも無惨なレイプシーンに比べると、この復讐シーンの残虐さは少し物足りない。それは、おそらく『CUBE』、『セブン』、『SAW』以降、目を背けたくなるようなグロ描写が巷に蔓延したため、我々観客の目が肥えてしまったからであろう。それに対して、前半で描かれたような真っ直ぐで残虐なレイプシーンというのは、未だメジャーにはなっておらず、本作の先進的な点である。

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 とはいえ、後半の復讐シーンにもある程度斬新な見所はある。それは、ジェニファーが復讐の際に色仕掛けを用いるという点。ボコスカに陵辱された後、特に警察に駆け込むでもなく一人そのまましばらく別荘での暮らしを続け、ふと復讐を決意するジェニファーはのんびりしているし、その間、ボートを用いて川から普通にジェニファーを見に来る不良少年たちの行動もどこか間が抜けているのだが、そこはまぁこの時代の映画にありがちな“ゆるゆるテイスト”と理解できる。しかし、あんなに酷い体験、それこそ一生消えぬトラウマを植え付けられたはずのジェニファーが、復讐のためとはいえ、忌まわしき鬼畜どもを自ら誘惑し、体を触らせる、というのは、中々にぶっ飛んだ展開だ。

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 それから、もう一点、これは斬新というか、先述のゆるゆるテイストというか微妙なところではあるが、ボスへの復讐をラストに持ってこない、という点が少しだけ興味深い。ジェニファー陵辱の主犯格は、ガソスタ店員のジョニー。不良少年たちを束ねるアニキ的存在の彼は、その悪性においても頭一つ飛び抜けていると思われるし、それだけにジェニファーが抱く憎悪もひとしおだと推測される。しかし、彼が血の復讐を実行されるのは、何故か2人目。最も悪性の弱かったメガネ男の次である。ジョニーへの復讐方法は、泡風呂入浴中に包丁でイチモツを切り落とすという、およそ女が男にする復讐としては、考え得る限り最凶最悪、山で言うならエベレスト、甲子園なら超高校級、シャンパンだったらドン・ペリニヨンといった感じの天元を突破する凄惨なものなのだから、ラスト間際のクライマックスに持ってくればよかったのに。

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 代わりにクライマックスを飾るのは、ハーモニカ吹きのサスペンダー男とDV気味の禿げ男に対する復讐劇。一人はモーターボートのスクリューでズタズタになり、一人は手斧で背中をグサッと一突きにされる、というビジュアルは、現代の水準からすればやはりどうしてもインパクトに欠ける。“女から男への復讐”というテーマを包含させるなら、どう考えても“イチモツ切断”以上は存在しないだろう。

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 もっとも、ラストの復讐劇が意外にもあっさり終わってしまったことは、その後、BGM無しでボートのエンジン音だけが鳴り響く中、真顔でボートを走らせるジェニファーを捉えつつエンドロール、という演出と相まって、何やら言いしれぬ不気味さと情緒を醸し出すことに成功しているとも言える。

点数:67/100点
 極めて悪趣味であるため大手を振ってオススメしたくはないものの、やはりカルトホラーの隠れた名作と持て囃されるだけの才気を感じるすさまじい作品。特に、男性諸君は、タマを縮み上げながら心して鑑賞して欲しい。

(鑑賞日[初]:2013.7.25)

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