13
2013

[No.273] グエムル -漢江の怪物- (괴물) <86点>

M0010013_333-file1[W578-]



キャッチコピー:『お父さん、助けて!』

 モンスター・パニック、此処に極まれりスムニダ!

三文あらすじ:韓国は漢江のほとりで露店を営むパク・カンドゥ(ソン・ガンホ)は、一人娘のヒョンソ(コ・アソン)だけが生き甲斐のぐーたらダメ男。ある日、ピクニック客で賑わう川縁で接客していたカンドゥは、水中に巨大な影を発見、直後、姿を現した怪物(괴물)が次々に人々を襲い始める。阿鼻叫喚の中、怪物にヒョンソを攫われ意気消沈するカンドゥは、一念発起、愛娘救出のため、家族と共に立ち上がる・・・


~*~*~*~

 
 早く『パシフィック・リム』が観たいぞ~!でも、時間が無く、お金が無い。という訳で、少しでも気を紛らわすために、同ジャンルの素晴らしき傑作『グエムル -漢江の怪物- 』を鑑賞した。まぁ、実際、直近で鑑賞したのは、もう7月の話なので、ややおぼろげな記憶の中、のんべんだらりと感想を述べていきたいと思う。

h4_20160714222647eb5.jpg


 本作を一言で表すならこうだ。ビジュアルは完璧、ストーリーは「?」

 ビジュアルに関しては、もう本当に言うことがない。“モンスター・パニック映画”の本質や醍醐味については、これまでせんぞ述べてきたのでここでは端折るが、とにかく、本作における“モンスターという非現実”は、我々の身近な“現実”をこれでもかと言うくらいリアルに浸食している。

h1_20160714222644399.jpg


 どうです、この溢れんばかりの臨場感!本作のクライマックスは、もうこの冒頭における怪物登場シークエンスで終わっていると言っても過言では無いのだが、そんな尻すぼみ感を差し引いても“傑作”と呼ぶに吝かでない、堂々たるモンスターの爆走、疾走、暴走。

 しかし、このようなビジュアル面の完璧さに対して、本作で展開されるストーリーは、極めてお粗末。B級映画ウォッチャーである筆者は、基本的に“ダメダメなストーリー”というものに拒否反応を示すことはない。ところが、この“ダメダメなストーリー”というものには、“バカバカしくてダメダメなもの”“本当にダメダメなもの”の2種類があり、後者を観た日にゃあ、それはもう怒髪天を衝くのである。

h7_201607142227232bb.jpg


 そして、本作は、もちろん後者。筆者が最も酷いと感じた本作での展開は、やはりおじちゃん死亡のシークエンスである。娘の生存を信じない軍から逃れ、ダメ家族は、今立ち上がる。大枚をはたいたにも関わらず見窄(みすぼ)らしい装備、潜在能力の欠片すら感じられない家族のメンバーたち。しかし、彼らは、ヒョンソを救うという目的のため一致団結し、モンスターの脅威に対して孤独な戦いを挑む。バカバカしい!いじらしい程にバカらしい展開である。そして、“バカらしさ”とは“男気”なのである。特に、モンスター・パニックというそもそもがバカバカしくて男気に溢れたジャンルにおける本作のこの展開は、まさに極上。我々男性観客、いや、男性漢客は、諸手を挙げて喝采を浴びせ、今後の展開に心底ワクワクする。

h5_20160714222648f6f.jpg


 しかし!遂に邂逅した男気ファミリーとモンスターのシークエンスにおいて、ダメ男カンドゥは、うっかり弾の入っていない銃をおじいちゃんに渡してしまい、「お前たち!ここはワシに任せて先に行くんじゃ!」という最高のフリで以てモンスターと対峙した男気おじいちゃんの世にも滑稽な死亡という最低のシーンを演出してしまうのである。

h8_20160714222724197.jpg


 分かってないなぁ。本当に分かっていない。というか、このシーンでギャグっぽくおじいちゃんを殺してしまうという極めて悪趣味なブラック・ジョークには、男気面からの怒り以外にもモラル的な憤りを感じる。筆者は、基本的には“倫理的に許せぬ!”などという辛気くさいチャチャをギャグシーンに入れてくる輩が大嫌いなのだが、それでも本作のこのシーンであんなにもギャグっぽい演出を挿入して、それで手を叩いて笑っている人がいるのであれば、若干信じられない。やっぱり国民性なのかなぁ…。

h3_20160714222645ab5.jpg


 それから、ラストでヒョンソを殺してしまった、という点も本当に男気が分かっていない点。“バッド・エンド”というものは、実は、めちゃくちゃ難しいのである。ミルフィーユのように重ねに重ねた伏線を刹那的な最後の一瞬で大胆に崩してみせる。破壊は一瞬のものであるが、美しい破壊には、そこに至る過程での膨大な努力による建設が不可欠なのである。本作には、そんな建設の過程が一切無い。カンドゥらのファミリーに何らかの“業”がある訳でもなく、それ以外に幼気なヒョンソが死亡するに足る合理的・情緒的な理由がある訳でもない。良く分からないどさくさに紛れてヒョンソが死に、そこまで感情移入できていないこそ泥少年が代わって息子になるという謎のエンディング。それまでの時間をワクワクドキドキで過ごしてきた男たちは、痛くガッカリすることだろう。

h2_20160714222645bcc.jpg


 筆者が思うに、ラストは、絶対にパク・ファミリーの“フルメンバー”による連携プレー、これしかなかった。学生運動に青春を費やしたため就活に失敗したニートの兄がかつての経験を活かした火炎瓶で応戦、彼をサポートするのは、オリンピックという大舞台で実力を出せず家族だけでなく国民全体の期待をも裏切ってしまった妹が放つアーチェリーの矢、中盤で死亡したかと思われた男気おじいちゃんのベタな復活に我々は釘付けになり、川面へと逃れようとする憎きモンスターにトドメを刺すのは、今や立派な父であり一人の“漢”へと成長したカンドゥ。

h6_20160714222721c4a.jpg


 これでよかったやん。これなら最高やったやんスムニダ!ものすごく惜しいところまでいってるのに、細かなところでの詰めがあまりにも甘すぎて、本作は、ビジュアル面しか絶賛出来ない、モンスター・パニック好き以外の者からすれば愚にも付かない駄作に成り下がってしまった。

点数:86/100点
 惜しい!本当に惜しい!もしこれでストーリー面もベタベタな男気展開になっていたなら、欧米文化至上主義の筆者をして、『トレマーズ』に並ぶ傑作だ!と言わしめたであろう作品。まぁ、今のままでもモンスター・パニック好きな映画鑑賞者なら、その類い希なき才能溢れるビジュアルに酔いしれ、舌鼓でジャングル・ビートを刻むことすら出来る希代の傑作には違いない。

<おまけ>
 本作のクリエーターが制作したと言われる次作のビジュアルイメージ。いいですね~。相も変わらずゾクゾクするリアルさである。











グエムル-漢江の怪物- スタンダード・エディション [DVD]

新品価格
¥260から
(2013/8/13 23:25時点)


グエムル-漢江の怪物 韓国映画OST (韓国盤)

新品価格
¥1,995から
(2013/8/13 23:25時点)


大人の韓国・トキメキのソウル旅 (別冊家庭画報)

新品価格
¥780から
(2013/8/13 23:26時点)


歪みの国・韓国(祥伝社新書320)

新品価格
¥819から
(2013/8/13 23:27時点)



関連記事
スポンサーサイト

Tag:ダメ男 バカ映画

0 Comments

Leave a comment