14
2013

[No.274] 処刑山 -デッド卐スノウ- (Dod Sno) <80点>

CATEGORYゾンビ




キャッチコピー:『海に行けばよかった…』

 終わりはかない!夏は待たない!
 だが夏へのこの想いはやまない!

三文あらすじ:休暇を利用し雪山を訪れた8人の医学生。そこは、かつてナチスの兵団が略奪を繰り拡げた後に全滅したといういわくつきの土地だった。山小屋の地下で財宝を発見し歓喜する学生たちだったが、冷凍されていたナチス兵がゾンビとなって復活してしまう・・・


~*~*~*~

 
 筆者は、ダイビングなどを嗜む関係上、山・川よりやっぱ海!といった性分であり、先日も和歌山の海に行ってきたばかりなのだが、本作は、そんな海好きには有り難い、逆に言えば、山好きが肝を冷やすべき良作ゾンビ・スプラッター・ホラーである。

ds7_2016071423290792e.jpg


 まず、雪山にゾンビという発想が、何とも無理矢理感漂うというか、男気に充ち満ちているというか、とにかく、絶妙なバカバカしさを醸し出しており素晴らしい。しかも、登場するゾンビが全てナチスの残党である、というに至って、B級ゾンビ映画好きたちは、ゲレンデが溶けるほどの熱い期待を胸に、めくるめく白銀世界での血みどろバカ騒ぎを待ち受けるのである。

ds10_20160714233315c40.jpg


 では、そんなバカバカしくも素晴らしい発想を映画化してしまった立役者は誰かと言うと、もちろん、監督を務めるトミー・ウィルコラ。数多ある“バカバカしさ”の中でも、どこか“ロックンロール的バカバカしさ”に分類すべき本作の趣は、何を隠そう彼の持ち味。というのも、彼のデビュー作は、『キル・ブル 〜最強おバカ伝説〜』という何ともバカバカし過ぎるタイトルの作品で、あろうことか、それは、“ロックンロール馬鹿の神“たるクエンティン・タランティーノが監督した『キル・ビル』のパロディ映画なのである。

ds12_20160714233928e1f.jpg


 そんな訳で、本作には、タランティーノっぽい演出がそこかしこに散見される。特に、登場人物が何かを用意する際の“シュッ!ジャキッ!シュキーンッ!バタンッ!”みたいな、それぞれの仕草をアップで矢継ぎ早に映していく演出が顕著。タランティーノ好きならば、ん~なんかこいつパクってんなぁ、と首を傾げながらも、どこかうれしい気持ちで鑑賞することが出来るはずだ。

 その他にも、例えばコレなんかタランティーノっぽい。

ds1_20160714232854943.jpg


 スノーモービルの先にマシンガンを装着し、勢いよく飛び出してゾンビ共を一蹴!一体全体どーやって撃っているのかが分からないところなんか、まさにロバート・ロドリゲスが盟友タランティーノと共に企画した『グラインドハウス』で監督した『プラネット・テラー』における“フルアーマード・チェリー・ダーリン”の雄姿を想起させる。

ds4_20160714232857129.jpg


 このように若干のタランティーノ・イズムを受け継いだ彼であるが、本作のようなB級ゾンビ・スプラッターを撮るに当たって、その道の先駆者たちのエッセンスを忘れている訳ではない。まず、目に付くのが『死霊のはらわた』。序盤でメンバーが小屋を目指している最中、映画オタクのデブ青年が皆に映画雑学を披露する。その際に登場するのがロックンロール・ホラーの金字塔として現在も燦然と映画史に君臨し、近頃公開されたリメイク版も比較的好評だった同作。その後、男女混合で最高にグルービンな音楽かけ、小屋に到着したメンバーらが、襲い来る怪異の恐怖に立ち向かうというプロットも、基本的には、同作を彷彿とさせる。

ds11_20160714233548620.jpg


 それに、同作で鮮烈なデビュー(?)を飾り、今やB級ホラーには欠かせないアイドル的近接戦闘武器となったチェーンソーもバッチリ登場。

ds8_20160714232909e47.jpg


 立ち姿が中々様になっている彼は、デブから吹聴された“ゾンビに噛まれるとゾンビになってしまう”という民間伝承を盲信し、この後、自らチェーンソーで腕を切断するというアッシュ・イズムを披露してくれる。

 また、デブ青年が着用しているT-シャツが、あの愛と戦慄のロード・オブ・ザ・デッド『ブレインデッド』のものである、というところにも、監督のB級スプラッター愛が垣間見える。彼のように人前で、しかも、バカンスに着ていくのはノミの心臓を持つ筆者には無理そうだが、寝間着として着用し良い悪夢を期待するのなら、悪くないかもしれない。

ds6_2016071423290673d.jpg


 それにしても、このオタクデブ青年は、皆のヒンシュクを買い続けながらもちゃっかりヤル気はマンマン!の美女に誘われてトイレでエッチしてしまったり、登場人物中最も残酷な方法で殺害されてその様が日本版のポスターになっていたりと、B級スプラッターにおいては中々優遇されたヒーローぶり。

ds5_20160714232858cbb.jpg


 …これだから、バカ映画好きはバカに出来ないのである。

点数:80/100点
 おバカな設定とおバカなノリを極めて丁寧に、しかし、勢いは決して落とさず描ききった素晴らしき良作B級ゾンビ・スプラッター。みなさん、残り少なくはなってきましたが、いい“夏の思い出”、作りましょう。行先は、できればやっぱり山より海の方が良いだろう。というわけで、筆者はこの夏の思い出作りに、今から『パシフィック・リム』でも観に行こうかしら、と思っている。

(鑑賞日[初]:2013.7.27)






処刑山 デッドスノウ [DVD]

新品価格
¥3,243から
(2013/8/14 18:58時点)


夏の思い出

新品価格
¥3,970から
(2013/8/14 18:59時点)




関連記事
スポンサーサイト

Tag:走るゾンビ グロ注意 ヘンテコ邦題 バカ映画

0 Comments

Leave a comment