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2013

[No.282] スーパーマン(Superman) <90点>

CATEGORYアメコミ




キャッチコピー:『あなたも空を翔べる!』

 あなたは、真のヒーローを目撃する。

三文あらすじ:地球から遠く離れた惑星クリプトンの科学者ジョー=エル(マーロン・ブランド)は、惑星爆発の危機を察知、息子である赤ん坊のカル=エルを地球に向けて脱出させる。地球に住むクラーク夫妻に拾われたカル=エルは、その超人的な能力を隠しつつ、クラーク・ケントという名で幼少期を過ごすが、やがて自らの使命に気付き、旅立つ。月日は流れ、大人になったケント(クリストファー・リーブ)は、ニューヨークの一流新聞社デイリー・プラネットに記者として就職、凄腕女性記者ロイス・レーン(マーゴット・キダー)と徐々に交流を深める日々の中、天才的頭脳を持った犯罪者レックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)の凶悪な陰謀を前に、今、最強のヒーロー“スーパーマン(Superman)”として立ち上がる・・・


~*~*~*~

 
 最新作『マン・オブ・スティール』が好評と不評の狭間で、とりあえず興業収入面でぶっちぎりの数字を叩きだした素晴らしきコンテンツ“スーパーマン”。その映画化における初の作品が本作。その名も『スーパーマン』である。厳密には“初”ではないのだが、やはり我々が持つ鋼鉄の超人のイメージは、本作を始めとする4部作のそれで間違いないだろう。

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 まずは、本作のオープニングが素晴らしい。本当に本当に素晴らしい。



 この圧倒的簡潔さ!この圧倒的胸の高鳴り!この圧倒的疾走感!

 重要な要素は、やはりまずテーマ曲だろう。『マン・オブ・スティール』の感想でも少し述べたが、この最強スコアを生み出したのは、映画界が誇る最強コンポーザー、ジョン・ウィリアムス。ハンス・ジマーが生み出した新テーマも確かに悪くはなかったのだが、やはりスーパーマンの真テーマは、時代が移ろおうとウィリアムス版のものに違いない。永遠の決定版である。

 クレジットの出し方も大変素晴らしい。昨今の、特に年末に向けてのキーワードは“遊びやすさと疾走感”であるが、本オープニングは“力強さと疾走感”。結構しっかりめの効果音を被せたところが最大の勝因ではないかと筆者は考えている。もやもやっとした液状の銀河やロケット花火の様な彗星だって、充分に“宇宙”だ。大切なのは“パッション”と“アイデア”。つまり、“熱いハート”と“クールな頭脳”なのである。

 キャッチコピーも本当に秀逸。

  あなたも空を翔べる!

 これは、英語版キャッチコピーである“YOU'LL BELIEVE A MAN CAN FLY.”のほぼ直訳と言っていいだろう。

 “ヒーロー”とは、“希望”だ。つまり、成りたい自分、在るべき自分、駄目な現状の裏返し。あらゆるヒーローが飛翔の能力を保有しているのも、“空を飛ぶ”という行為が人類にとって永遠の“夢”であり“希望”だからだろう。したがって、ヒーローものを鑑賞した我々が抱くべき感想とは、一義的にはヒーローたちの格好良さに対する“羨望”だろうが、最終的究極的には、自分だって彼のようになれる!という“自己の投影”であるべきだ。この点を鋭く突いたのが、日本を代表する国民的な子供のヒーロー“アンパンマン”における主題歌。“アンパンマンは、君さ。”という歌詞は、全ての子供たちに進むべき道を提示し、全ての大人たちに忘れていた気持ちを思い出させてくれる最高のフレーズである。本作のキャッチコピーは、限りなくこれに近しい。だから素晴らしい。

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 我々ゆとり世代の映画鑑賞者が本作を観て驚くべきは、スーパーマンというキャラクターが持つスーパーな能力の数々であろう。我々が抱く漠然としたイメージは、ビビッドな全身タイツに身を包み、同じくビビッドなマントをはためかせて空を飛ぶゴリマッチョな熱血漢、といったもので概ね相違なかろう。ところが、本当の彼は、意外と多彩で繊細な能力を有したすさまじい超人なのである。

 目から熱線を放射する、というのは、まだある程度有名かもしれない。日本では“サイクロップス”の技という印象が強いが、最新作『マン・オブ・スティール』でもスーパーマンは目からビームを出しまくっていた。ちなみにこの技は“ヒート・ビジョン”という。

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 一方、『マン・オブ・スティール』では登場しなかったのが、“スーパーブレス”という技。そのままズバリ、スーパーマンが息を吹きかける、という単純な技である。

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ふーーーっ!!


 初見の人は“なんじゃこりゃ?”と思うかもしれないが、侮ってはいけない。スーパーマンのスーパーな肺活量を以て吹きかけられるこの息は、火災の鎮火はもとより、それを越えてあらゆる物体を凍結させる力まである。なんせ、空気を肺で圧縮することにより液体窒素を吐き出している、というから、T-1000もビックリだ。

 スーパーマンは、固い。なんと40メガトンもの核爆発にも耐えうるフォースフィールドが彼を包んでいるのである。そんな彼の耐久力をそのままズバリで活用し、筆者をうーんと唸らせたシーンがこちら。

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 どーん!どうだろう、このシュール感というか率直感というか、圧倒的な説得力!大地震で崩壊した線路に自らが成り代わり電車を守る、というシーンなのだが、なんだろうなぁ、この何やらおもしろい感じは。こういったある種の泥臭さは、ヒーローへの親近感と説得力を兼ね備えた古き良き演出の妙である。

 このシーンに引き続き披露されるのが、本作におけるスーパーマンの最も壮大な技。ある者はそれを“時間旅行”と呼び、またある者は“タイムトラベル”と呼ぶ。“時間跳躍”、“タイムリープ”、“タイムスリップ”、“タイムトリップ”、“タイムワープ”…。呼び方だけではなく、その実践方法も実に様々だ。車での疾走、全裸での登場、マシンの駆動…。そんな中、やはりスーパーマンは別格。

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 お分かりだろうか。最愛の人ロイス・レーンの死を前にした彼は、成層圏外まで上昇、そのまま地球の自転方向とは逆向きに高速で飛行し、なんと地球を逆回転させてしまうのである!彼には、これが出来る。なぜなら、彼が飛行する速さは公称でこそ時速800万kmという光にも遠く及ばないものであるのだが(ちなみに光は時速約10億8000万km。)、彼の父ジョー=エルの口から作中語られるのは、なんと無限というとんでもない速さだからである。無限って…。それはもう“速さ”とかそういう概念の問題ではないだろうに。

 という訳で、地球が逆向きに回れば時間が戻るのは自明の理。ん?ん~…自明の理!!というなんとも強引で、しかし、圧倒的なシンプルさと説得力を持った理屈で以て、彼は時間を逆行させる。この演出には、スーパーマンというキャラクターの強さも弱さも格好良さもダサさも全て詰まっている気がしてならない。ちなみに、公式設定曰く、彼のこの時間逆行は、ロイスを救いたいという強い想いによって実現された“愛の奇跡”だそうで、何もホイホイといつでもタイムトラベル出来る訳ではない、とのこと。この設定に関しても、何とも率直で不器用で、それでいて大変素晴らしい。もっとも、このタイムトラベル後のシーンではそもそもの元凶たる地震自体が発生しておらず、時間逆行後のスーパーマンがロイスの元に馳せ参じるまでに一体どこまでのことをしたのか、という点がいささか不明瞭ではある。

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 このような愛すべき鋼鉄の超人を描くエピソード1である本作。物語の構成という意味で筆者が新鮮に感じたのは、前フリの投げっぱなし感である。大きなもので言えば、やはりゾッド将軍ロイスとの恋

 まず、ゾッド将軍に関しては、冒頭の惑星クリプトンでファントムゾーンに幽閉され、「お前の息子を絶対に見つけて殺してやるからなぁぁぁぁ!!」という強めの捨て台詞まで吐いていたのに、その後一切の音沙汰無し。彼が再登場するのは、次作まで持ち越しである。

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 また、ロイスと恋に落ち、先述のような時間旅行まで敢行してしまうスーパーマンだが、本作ラストで正体をバラし、しっかりとお付き合いを始める、ということはない。2人の恋に関しては実に宙ぶらりんのまま、本作は幕を閉じるのである。

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 まぁ、これらの点は、もしかしたら本作制作時点で既に次作の制作が決定していたからなのかもしれない。が、あれもこれもと色んな要素を詰め込みすぎたり、すぐさま正体をバラしてすぐさまヤッてしまうという破廉恥な醜態を晒し大失敗していまいがちな昨今のアメコミものに比べれば、余程情緒溢れ、落ち着き、それでいて大胆で素晴らしい構成だと筆者は感じた。

 筆者が本作、本シリーズを鑑賞してすごく残念に感じた点は、実は、本作自体についての事柄ではない。それは、『スパイダーマン』も『ドラゴンボール』も結局は『スーパーマン』のパクリやん!という失望である。スパイダーマンに関しては、もうほとんどスーパーマンだ。赤と青のスーツ。恋人に正体をバラせない苦悩。新聞社に勤める冴えないサラリーマン。ドラゴンボールもしかり。特にZ。地球人にあらざるパワーを持ちながら地球人の心を有した宇宙人。彼が戦う母星からの侵略者(これは『スーパーマン2』における展開と酷似。)。高速で飛行しながらの肉弾戦というビジュアルもそっくりくりそつ。…ふーむ。まぁ、本作がそれほどエンターテイメントとして完成された素晴らしいコンテンツだ、と素直に誉めておけばいいだけの話ではある。

 ちなみにではあるが、本作においてクラーク・ケントが電話ボックスに入って変身する、というお馴染みのシーンは登場しない。というか、旧4部作、『リターンズ』、『マン・オブ・スティール』を通して観ても、確か一回あったかどうかだったと筆者は記憶している。

点数:90/100点
 鋼鉄の超人、その始まりの物語ということで、今回は彼のスーパーな能力を中心に感想を述べた。要は、スーパーマンとは“何でも出来るヒーロー”なのであり、人々の希望を体現する“ヒーロー”とは、煎じ詰めれば彼のことを言うのであろう。そのような言わば“真のヒーロー”を真っ直ぐに真剣に描いてみせた本作は、やはりあらゆるヒーローものの基礎であり究極版であると筆者は思う。

(鑑賞日[初]:2013.8.26)










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Tag:タイムトラベル 先天的ヒーロー

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