--
--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
24
2013

[No.293] エリジウム(Elysium) <85点>

CATEGORYSF




キャッチコピー:『彼の余命は、あと5日-。』

  空へ向かうあの人は、何をつかめば笑うのでしょう。

三文あらすじ:2154年、大気汚染や人口爆発によって地球上の生活環境は極限まで悪化、衛星軌道上に建造された宇宙コロニー“エリジウム(Elysium)”へ移住した少数の富裕層のみが、高度な科学技術により老いや病から解放された理想郷で暮らしていた。一方、スラム化した地球のロサンゼルスで、いつか“エリジウム”で暮らすことを夢見ながら工場労働者として働く青年マックス・ダ・コスタ(マット・デイモン)は、ある日、作業中の事故により余命5日と診断される。彼に残された最後の手段、それは、鉄壁の防御を誇る宇宙(そら)の楽園“エリジウム”に侵入することだった・・・


~*~*~*~

 
 2009年、彗星のごとく、あるいは、漂着したエイリアンが如く颯爽と映画界に現れ、地球人の度肝を抜いた革新的SF作品『第9地区』。その監督であるニール・ブロムカンプが再びメガホンを取るSFファン期待の新作が、本作『エリジウム』である。

 ニール・ブロムカンプという人の作るSFは、なんだか切ない。『第9地区』に関しての詳しくは同作のレビューで書きたいと思うが、運命の濁流に呑み込まれ翻弄される一人の男の生き様が描かれていた。そして、本作もなんだか切ない。主人公マックスは、幼くして教会に預けられた孤児。彼の憧れは、天空の楽園“エリジウム”、そして、幼なじみであるフレイ(アリシー・ブラガ)だ。しかし、届かない。いくら手を伸ばしても、届かないのである。

e9.jpg


 まず、フレイについて。マックスと同じく幼くして教会に預けられた彼女は、先輩孤児である彼と意気投合。どこに行くにも2人一緒。手には相合い傘なんか書いちゃうほどのラブラブっぷりである。ところが!いつしかフレイはロスから姿を消し、マックスは、彼女の消息を知る術を失う。女ってのは、いつも身勝手だぜ!

 大人になり、愚然にも奇跡的な再会を果たすマックスとフレイ。ロスを出た彼女は、夢だった看護士になり、再び町に戻ってきていたのである。当然夕食に誘うマックスを無下にあしらうのは、女の魔性か優しさか。「私の人生は複雑なの。」…クソ女だねぇ。

e7.jpg


 “複雑”って何よ?飯行くか行かへんか、付き合ってくれんのかくれへんのか、好きか嫌いか。それしかないはずやん!なんてなぁ、甘い子供の論理。大人になったフレイは、既に我らを遙か置き去りにしている。彼女には子供がおり、しかもその子供は末期の白血病を患っているのである。子供の父親は不明。マックスを捨てて町を出て、どこぞの男と子供を作り、舞い戻ってきた天使にして悪魔は、マックスのいきさつを知るや当然のように「私をエリジウムに連れてって!」と懇願する。そんな…スキーじゃないんだから…。

e8.jpg


 筆者は、本作前半を鑑賞した時点で、「これは中々斬新な物語だなぁ。」と一人悦に入っていた。というのも、大人フレイが本格的に参入してくるまでの時点における主人公マックスは、自分が死にたくないというその一心のみで決死のエリジウム侵入に挑もうとするからだ。愛する人のためではない、世界を守るためでもない。ただただ我が身可愛さのみを行動原理として突き進む主人公というのは、これまでの物語論から逸脱した斬新なキャラクターだと感じたのである。しかし、それはあくまでも後半への布石にすぎなかった。なんやかんやでエリジウムに同行したフレイとその娘。例え想いは届かなくても、例え知らぬ男との子供であったとしても、最愛の彼女らを守るため、マックスは変わる。自らの命を賭して、フレイ親子を、そして、地球上の民たちを守るのである。

e5.jpg


 切ないお話だ。言うなれば“セツナSF”。もっと言ってしまえば、刹那・F・セイエイである。…まぁ、くだらないダジャレは置いておいて、本作のSF的見所は、そのビジュアルの斬新さにもある。SFっていうのは、ビジュアルが非常に重要だ。我々は、現実の延長にある遠い世界へ思いを馳せ、科学の進歩(厳密にはその可能性)に感銘を受ける。

 例えば、楽園のコロニー“エリジウム”。

e1.jpg


 コンセプトデザインは、『ブレードランナー』も手がけた伝説のデザイナー、シド・ミード。ちなみに、こういった形状のコロニーは“スタンフォード・トーラス型”というらしい。さらにちなみに、ガンダムに登場したあのコロニーは、“シリンダー型”である。

 それから、死の淵にあるマックスが決死のバトルを繰り広げるためのギミック。

e2.jpg


 これはいい!男心をくすぐり倒す熱いギミックだ!アイアンマンスーツのようでもあり、強化外骨格のようでもあり。“エクソ・スーツ”というのがこのギミックの名であるが、マックスが装着するそれは旧式の“第三世代機”である、というのが完膚無きまでに漢の魂完全燃焼!

 他にも、マックスを執拗に追跡する執念の狩人M・クルーガー(シャールト・コプリー)が展開する防弾バリアもおっと目を見張るギミックだったし、何よりも彼が最新式のエクソ・スーツを装着し、桜舞い散る中でマックスとの最終決戦を繰り広げる、というクライマックスの展開は、感涙必至の佳局である。

e4.jpg


 そんなこんなで、ストーリーの切なさ、ギミックの熱さ共に男心をくすぐる本作であるが、その反面…というか、だからこそオチは少々雑な感じもする。結局、マックスの命を賭した活躍によりエリジウムの制御系統がリセットされ、エリジウムはそれまでのように一部の富裕層だけでなく地球の人類全体を“市民”として認識することになる。したがって、地球上の全ての人々が、エリジウムの万能治療を受けることができる、という訳だ。エリジウムから派遣された治療アンドロイドがスラムに降り立ち、難病や重症に苦しんでいた人々を救うという美しき大団円。ヒーローの誕生は時に死と同義かつ同時であることを教えてくれる。

e11.jpg


 でも、これでいいの?渇望した貧しき人々は、きっとエリジウムに殺到するだろう。これまでの抑圧への反発。富裕層の虐殺。富の略奪。これらの未来は目に見えている。ヒーローの誕生は、更なる混乱を招いただけではなかったか。楽園を手にした訳でもない。愛しき人を我がものにした訳でもない。ましてや、世界を救った訳ですらない。やはり、非常に切ないのである。

点数:85/100点
 SF映画としては、もちろん一級品。多少の荒さもエンターテイメントのお約束である。誕生と同時に死した悲哀のヒーローに、せめてもの冥福を祈りながら、極上のSFエンターテイメントに酔いしれて欲しい。

(鑑賞日[初]:2013.11.16)










エリジウム [DVD]

新品価格
¥3,990から
(2013/11/24 21:03時点)


エリジウム [Blu-ray]

新品価格
¥4,980から
(2013/11/24 21:03時点)


切ない…。

中古価格
¥1から
(2013/11/24 21:04時点)


失われた楽園(「天空の城ラピュタ」より)

新品価格
¥200から
(2013/11/24 21:06時点)



関連記事
スポンサーサイト

Tag:劇場鑑賞作品 男には自分の世界がある クソ女 日本刀最強説 天の光はすべて星

0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。