[No.297] アメイジング・スパイダーマン2(The Amazing Spider-Man 2) <75点>





キャッチコピー:『この「戦い」 - 絶対に勝つ』

 行為の英雄というものはない。
 ただ諦念と苦悩との英雄がある。

三文あらすじ:スパイダーマン(Spider-Man)としてニューヨークの平和を守る青年ピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)は、恋人グウェン・ステイシー(エマ・ストーン)との幸せな日々の中でも彼女の亡き父と交わした“グウェンの身に危険が及ばぬよう彼女には近づかない”という約束が頭から離れない。そんな彼の様子を見かねたグウェンは別れを切り出すのだが、一方、巨大企業オズコープ社で働く冴えない技師マックス・ディロン(ジェイミー・フォックス)が不慮の事故から電気人間“エレクトロ”と化し、ニューヨークに危機が迫る。時を同じくして、ピーターの旧友でもあるオズコープの新社長ハリー・オズボーン(デイン・デハーン)が自身の奇病を治癒するための過剰実験の結果、深緑の悪魔“グリーンゴブリン”へと変貌、エレクトロとタッグを組みスパイダーマンの前に立ちはだかる・・・


~*~*~*~

 
 装いも新たに再出発した新スパイダーマンシリーズ。その第一作は、中々素晴らしかったと思う。確かに、アクションにもストーリーにも役者の演技にも、取り立てて目新しい部分は無かった。CGはスゴイけど、よくある感じ。テンポはいいけど、よく見る感じ。イケメン、美女の掛け合いは目の保養になるが、それ以上でも未満でもない。

 筆者が前作で素晴らしいなと思ったのは、物語ラスト付近、ピーターがグウェン父との約束を颯爽と反故にしてしまうところだ。何をまたそんな敢えて奇をてらったようなことを、と非難を受けるかもしれないが、筆者は、この一見脚本家の怠慢のような展開に、新時代のヒーローというものををひしひしと感じ取ったのである。

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 今時の若者が憧れるのはどのようなヒーローか。人類を救うため身を粉にして日々がむしゃらに奮闘するような熱血漢ではないだろう。そもそも、今時の悪役は世界征服といった大仰なアクションプランを持たない。砂漠の水を独占する、なんてリアリティ溢れる野望を相手にするのだから、007だっていつまでも水陸両用車に乗っているわけにはいかないのである。『ダークナイト』で克明に描かれたように、正義は悪を映す鏡だ。ヒーローも変わらなければならない。

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 思うに、現代のヒーローは、みな非常に合理的だ。守るのは、以前の英雄に比べて非常に小さな範囲。自分の住む街を、目に映る人々を、側にいる恋人を。確かに、(自分を“若者”と呼べるかは置いておいて)筆者もこのヒーロー像には痛く共感する。全人類を救うなんてのは、テーマが大きすぎて、そのための手段も合理性を欠くし、そもそもなんの義理があって見ず知らずの人を救わなければならないのか、という動機さえあやふやになってしまう(まぁ、『傾物語』においては、“世界も女の子も救う強欲さこそが今どきのヒーロー像だ”と言及されていたが。)。

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 で、結局何が言いたかったかと言うと、今時の若者は合理的ということなのである。新入社員が飲み会に参加しない?…しないさ。会社の人とは会社内で仲良くすればいい。新入社員が定時ですぐ帰る?…帰るさ。仕事が終わっているなら定時で帰宅できる契約だ。

 というわけで、前置きが長くなったが、ここで前作のピーター・パーカーが出てくる。

 「グウェンの身に危険を及ぼす恐れがあるから、もう彼女には近づかない」っていうグウェン父との約束?
 



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 まぁ、無責任にも思えるし、トンデモなオチとも取れるし、脚本家の怠慢にも感じられる。しかし、よくよく考えてみれば、恋人を守るために正体を秘匿する、という名探偵コナン的な発想は、全く合理的ではない。恋人に正体がバレてもバレなくても、敵に正体がバレ、なおかつ、恋人との関係性がバレれば、必然恋人は狙われる。問題とすべきは、ヒーローの正体が恋人にバレるか、ではなく、ヒーローの正体が敵にバレるか、ではないだろうか。このような発想が常々あったので、筆者は前作のラストに痛く感動したのである。よくやった、それでこそ現代のヒーローだ、と。

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 そんな前作を本作はひっくり返してしまった。

 グウェン父との約束を蒸し返し、くよくよと悩むピーター。別れたけどどっちも実はまだ好きというヤキモキする展開。拍車をかけるグウェンのイギリス行き決定の報告。出発ギリギリで意を決し彼女に思いの丈をぶちまけるのもベタベタでいまいち盛り上がらない。でも、まぁいいよ、ピーター。あとは電気男をぶちのめして、熱いキスを交わして大団円だ!…という男心をも、本作は華麗に裏切る。

 待っていたのは、グウェンの死だった。

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 この展開は、良いことが一つもない。ヤキモキさせられた観客はガッカリ。まぁ、もしかしたら原作通りの展開なのかもしれないけどさ。それでも、結局次作で新ヒロインとくっつくならピーターの節操の無さにげんなり。節操の無いハリウッドのことだから、どうせ次作で新ヒロインとくっつくんだろう?…なんて邪推を巡らしていたら、なんだかんだで本シリーズの続編自体が無くなってしまった。主な原因は、シリーズの不評とディズニー傘下でのリブート優先の方針らしいが(まぁ、つまりは“シネマティック・ユニバース”に組み込みたいってことだろう。)、なんにせよ、やっぱり節操が無い。

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 まぁ、観るけどさ…。

点数:75/100点
 総じて言えば、おもしろかった。ただ、前作のようにカラッと合理的な作品ではない。どちらかと言えば、ウジウジヤキモキした少女漫画的テイスト。つまり、筆者には合わなかっただけで、見る人が見れば名作なのかもしれない。まぁ、世間の評判を聞くにそんなことはなさそうだが。

(鑑賞日[初]:2014.5.4)

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Comment

  • Atyacha
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楽しみに見てます

いつも楽しみに見てます最近更新が無くてどうしたのかなと思ってました。( ̄。 ̄)
アメコミ映画に熱くなったりする感覚が自分と似ててこのブログを見て映画を見た気になっています。(´▽`)
これからも更新続けてください(^O^)

  • Mr. Alan Smithee
  • URL
Re: 楽しみに見てます

ありがとうございます!

ブログ運営をしても筆者に特はありません。
それどころか、非難・中傷を受けることもしばしばです。
つまり、ブログ運営は、ヒーローに似ています。
一度絶望し、マスクを脱いだ筆者は、幼い少年のピンチに再び立ち上がりました!
そう、スパイダーマン2です!

・・・うそです。
環境が変わってだいぶ忙しかっただけです。笑

これからも良いアメコミ映画を観ていきましょう!

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