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2014

[No.316] デッド・スノウ:デッド vs レッド(Dod Sno 2) <78点>

CATEGORYゾンビ


※かなりグロいです・オブ・ザ・デッド。


キャッチコピー:『Heads up. They're back.』

 May the FILTH be with you.

三文あらすじ:恋人を含む7人の仲間と自身の右腕を失いつつ死の雪山から脱出した医学生マーティン(Vegar Hoel)だったが、街へ戻る途中に自動車事故を起こし、病院へ搬送される。目覚めた彼が見たのは、なんと、医者の勘違いによって、車中に残されていたゾンビの右腕が接続された自身の姿だった。ゾンビの腕によって驚異的な身体能力を得たマーティンは、ゾンビたちが街の住人の殲滅というナチス時代の目的を実行しようとしている事実を知り、アメリカの“ゾンビ・ハンター”ダニエル(Martin Starr)の助けを借りつつ、再び死の軍隊との戦いに身を投じていく・・・


~*~*~*~


 本作は、名作ゾンビ映画(あるいは、それは一部のゾンビマニアにとってのみ、かもしれないが)であるところの『デッド・スノウ』の続編である。二作目における“監督の自由度アップ”という法則は、近年のアメコミものでまま見られるが、なにも取り立てて同ジャンルだけに許された専売特許でもあるまい。事実、本作は、前作から引き続き監督を務めるトミー・ウィルコラの趣味・嗜好が爆発した大変痛快な“珍作”と言って差し支えない。

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 まぁ、一口に“自由度”などと言っても、その内実は多岐に渡る。ことゾンビ映画に関しては、果たしてそのグロさがアップしているのか、はたまた一見ゾンビ映画らしからぬヒロイックな展開が用意されているのか、などなど、様々なバリエーションが想定される。意に反して、と言うべきか、おおかたの予想通りに、と言うべきかはさておき、本作では、およそ想定されうる“全ての要素がパワーアップしている”という点を特筆すべきであろう。

 まず興味をそそられるのは、ゾンビの腕を移植されたため人外のパワーを得た主人公、という設定だ。“敵の圧倒的な力を持ちながら正義の心も併せ持つ”という主人公は、古(いにしえ)からのロングセラー。仮面ライダーがひな形であろうが、近年では、『進撃の巨人』や『テラフォーマーズ』といった漫画作品にもしばしば見受けられる設定である。強靱な能力を得た主人公のヒロイズム、しかして、敵と同じであるという葛藤の両方を楽しむことができる。

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 期せずして“ゾンビの右腕”を得た本作のマーティンも非常にヒロイックで素晴らしい。始めのうちこそ戸惑いと嫌悪に支配されていた彼の魂は、大切な故郷のピンチに完全燃焼する。確かに、彼がゾンビの腕を移植されたのは、おとぼけ医師のお茶目な勘違いという偶然の産物だったわけだが、何かを守る(ときとしてその対象は現在あるいは未来に限定されない。)という内実を得て、必然にして最強の“武力”へと昇華される。この点は、前作のチェーンソーと比較して大幅なパワーアップと言ってよいだろう。

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 もう一つ、本作では、グロの要素が非常にパワーアップしている。正確には、グロというより“悪趣味さ”と言ったほうが正しい。マーティンは、一般人を殺しまくる。もちろん、それはゾンビの腕を手なずけられていない序盤の失態がほとんどとはいえ、中には、いやいやそれは、過失の域を出ているのでは…というようなシーンもいくつかある。特に、監禁されていた病室からの逃亡を助けてくれた幼気(いたいけ)な少年をおもいっきり残虐に殺してしまうシーンなんかは、いくらプロット上過失として描かれていたとしても、描いた製作者の神経を疑うべきクレイジーな場面だ。

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 それから、オチも悪趣味。一般人を殺しまくったとはいえ、中盤以降のマーティンは、紛う事なき“ヒーロー”だ。それは、ひとえに彼が自己犠牲を厭わない強い信念の下、最強の右腕でもって敵と対峙するからである。彼は、それまでの自分の罪をしっかりと受け止め、愛すべき故郷を、そして、何より最愛の恋人を含む友人たちの無念を晴らすため、忌まわしき悪の軍勢に立ち向かう。まぁ、そこまで真剣な作品ではないのだけれど、そういった雰囲気が感じられる。

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 しかし、全てにケリが付いた後、恋人の眠る墓に赴いたマーティンは、自身の右腕の能力を使い彼女を目覚めさせる。もちろん、冥府から無理矢理引き戻されたかつての恋人に見る影はない。ドロドログチョグチョの“ゾンビ”である。が、彼はそれでも愛している。で、カーセックスである。いや、まぁいいのだけれど。一般的にきれい事ばかり言う正義の味方に筆者は魅力を感じないし、じゃあマーティンに限って潔癖を貫くべき理由があるのかと問われれば皆無なのであるが、なんだろう、このモヤモヤ感は。あ、そっちで落とすんや…。みたいな。

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 総じて、ヒロイックな部分が素晴らしすぎた、あるいは、悪趣味な部分が強烈すぎた、そのどちらかなんだろうと思う。

点数:78/100点
 前作ファンならもちろん見ておいて損はない。とはいえ、当然友達に勧められるような作品ではない。昔の恋人のように、そっと我々ゾンビ映画ファンの魂のライブラリーに秘めておくべき傑作である。

(鑑賞日[初]:2014.10.26)






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Tag:グロ注意 悪趣味映画 走るゾンビ

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