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2015

[No.318] 劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス <75点>

CATEGORYアニメ
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キャッチコピー:『この正義に、最後の引き金を―』

 因果の代償を払い、共に行こう。

三文あらすじ:人間の心理状態や性格的傾向を計測し、数値化できるようになった世界。あらゆる心理傾向が全て記録・管理される中、個人の魂の判定基準となったこの測定値を人々は、“PSYCHO-PASS(サイコパス)”の俗称で呼び習わした。2116年、逮捕した密入国者から3年前に消息を絶ったかつての部下・狡噛慎也(声:関智一)の手がかりを得た公安局刑事課一係監視官・常守朱(声:花澤香菜)は、単身、東南アジア連合“SEAUn(シーアン)”に潜入するのだが・・・


~*~*~*~


 あらゆるものが人間の管理下に置かれた現代において、もはやロマンは限られた場所にしかない。ひとつは、遙かなる古代。ひとつは、光届かぬ深海。そして、宇宙だ。ここで、管理からの離脱、すなわち、一種の不確定性をロマンの要素として話すなら、“確率の世界”も特筆に値するであろう。乱数によって支配された人智の及ばぬ広大な宇宙。そう、回胴遊技の世界である。宇宙に思いを馳せたくて昨年末からずっと観なければ観なければと急いていた『インターステラー』を鑑賞しに行ったのに、チケット購入から上映の20:45までの間、しばし確率と戯れよう、などと愚かなことを考えた筆者は、意に反してクアドラロックされ、遅刻してしまった。レイトショーだったとはいえ、既購入のチケットはパア。おまけに、遊技自体も▲1kという結果。でも、仕方ない。因果応報であり、代償は払わなければならない。

 何の話だ。
 そう、『PSYCHO-PASS』の話だ。

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 この『PSYCHO-PASS』というアニメは、言ってみれば『攻殻機動隊』である。まぁ、なにも偉そうに宣うようなことではない。『攻殻』を知る者が本シリーズを観れば、そのほとんど全員が同じ感想を抱くであろう。それほどまでに、本シリーズは『攻殻』なのである。

 各個人の“犯罪係数”を測定できるようになった未来の管理社会は、形式的なビジュアルや雰囲気だけでなく、“個人の尊厳”という派生される実質的なテーマまでが、電脳社会を彷彿とさせる。おなじみの(∴)←コレを付した思考戦車やアンドロイドたち。公安内のプロフェッショナルたちが対峙するのは、まんまクゼ・ヒデオな敵キャラ。似通った部分を挙げ出すとキリが無い。

 まぁ、本作の製作者たちも、当然『攻殻』を意識しているのだとは思う。1期の終盤で槙島聖護の次なるターゲットを調査する雑賀譲二は、2ちゃんねるに囮のスレッドを立てるのだが、その際「出島から建国する方法」(うろ覚え)というタイトルのスレッドがちらりと映る。また、狡噛と槙島が最後の追いかけっこをする舞台は、ハイパーオーツの広大な畑。つまり、「ライ麦畑で捕まえて」に他ならない。

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 本シリーズが『攻殻』と一線を画しているのは、取りも直さずヒロイン・常守朱の存在であろう。公安局刑事課一係の新任監視官。学生時代の成績は他の追随を許さぬトップ。シビュラからの職業適性判断では前代未聞の確か7つものお墨付きをもらうほどの秀才である。同時に、あらゆる状況下でサイコパスがほとんど濁らないという特性を持った希有で無垢なキャラクター。そんな“座学は優秀な新米刑事(デカ)が、犯罪捜査の現実に直面し、苦悩と葛藤の中で答えを模索していく”というプロットは、『攻殻』では決して見られなかった趣向である。

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 つまり、本シリーズの総監督があの『踊る大捜査線』を手がけた本広克行であることも考え合わせるなら、“『攻殻機動隊』に青島巡査部長を放り込んだ作品”こそが、本シリーズ『PSYCHO-PASS』と言うことができそうだ(青島くんに関しては“座学が優秀”というよりは“営業成績が優秀”であったが。)。

 で、劇場版である。

 筆者個人としては、本作の予告編を観たとき、得も言われぬ不安に襲われた。最大の理由は、舞台を海外に移したという部分。名ドラマシリーズ『HERO』の劇場版は中盤の舞台を韓国に設定したが、あのパートは完全にいらなかったし、訳の分からん外国人キャラを味方に引き入れた小栗旬版『ルパン三世』は、そのせいで構成がとっちらかったと言っても吝(やぶさ)かではない。とにかく、安易な海外趣向は、作品を迷走させる原因に充分なり得るのである。

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 しかし、本作に限っては、舞台をSEAUnに移した趣向も決して悪くはなかった。舞台が海外に移っても、そこには依然としておなじみの『PSYCHO-PASS』の世界観が健在だったのである。筆者が思う理由は以下の2つである。一つは、そもそもが近未来の話なので、従来物語が展開されていた日本が別に日本っぽくはなかった、という点。そして、もう一つは、公安局刑事課一係のメンバーがたいして魅力的ではない、という点。確かに、1期の一係メンバーは、けっこう魅力的だった。しかし、彼らの大半は、既に1期において退場している。2期からメンバーとなったのは、なんかあんまりキャラ立ちしていない赤髪の陰キャラと強靱なウザさでもって我々のサイコパスを掻き乱すクソ女・霜月美佳のみ。宜野座さん?あぁ、そんな人もいたな。

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 というわけで、よくよくふり返ってみれば、本シリーズは、既に舞台を海外に移す用意を万端調えていた、ということになろう。

 本作の中身としては、まぁ、あまり特筆すべきところはない。いつも通り、こましゃっくれた政治的ストーリー(これも『攻殻』と共通の要素だ。)を楽しむこともできるし、ドミネーターの不在による物足りなさも様々な他の近未来的ギミックの登場によって上手く緩和されている。

 唯一、筆者が痛く感動したのは、物語の幕切りである。意味深な台詞で深く考えさせられたわけではない。ヒロイックな切り際に鳥肌を立てたわけでもない。それどころか、本作の幕切りは、台詞や構成だけでみるならほぼ0点と言っていい。なんやねん!それで終わりかい!と突っ込んでいたことだろう。間髪入れず「名前の無い怪物」が流れなかったならば。これは良かった!!



 本作のOP曲は、凜として時雨の「Who What Who What」。本シリーズにとっては、劇場版にて初出の新曲である。これは当然であろう。劇場版においてそれまでの主題歌から新曲に変更されることなどままあることだ。というか、むしろ、それが普通だ。ここに何の違和感も無いし、事実、凜として時雨の新曲は、決して既存の世界観を壊さない素晴らしい曲であった。まずオープニングとしては大満足なのである。

 それから先、鑑賞者は、ED曲のことなど忘れている。エンディングもアーティストはEGOIST固定で、その新曲かしら?そんなことすら考えない。そこで、静かに、唐突に、おもむろに、首をもたげる“名前のない怪物”。最高じゃないか!筆者は、製作者のこの一種サプライズとも取れる演出に少し涙目にすらなったくらいである。

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 その他、本作固有のアピールポイントとしては、やはり狡噛さんの格好良さ、ということにならざるを得ないのだろう。アンダーアーマーから露骨に浮き出る上半身の肉体美。「ここを生き延びることができたら、また俺を捕まえに来い!」というセクシーな台詞。荒々しくもクールな肉食系の肉弾戦。そういったところを余すところ無く堪能できる。

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 まぁ、こういう系統の“男性的魅力”は、我々男性鑑賞者にとって、全く興味の埒外であることは、もはや言うまでもあるまい。一も二もなく、この趣向は、女性観客へのアピールポイントである。思い起こせば、本シリーズには、女性に向けたような趣向が垣間見えた。それは、度が過ぎた、とも形容したくなる“理不尽さ”の描写である。1期においては、朱の友人が彼女の眼前で首を掻き切られて惨殺されるシーン。2期においては、朱のあばあちゃんが耳を削がれた後に殺害される展開。本作においてはそこまでの描写は無いものの、兄を思った幼気(いたいけ)な少女が無残に銃殺されるシーンが登場する。

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 このような“理不尽さ”の描写は、『攻殻』シリーズでもたまに見受けられた趣向である。とはいえ、『攻殻』においては、この“理不尽さ”の描写も、あくまで“客観的な不条理の表現”に留まっていたように思う。それは、公安9課のメンバーがみな強靱なプロフェッショナルだったから為し得たことだ。しかし、本作の朱は違う。彼女は元レンジャーでもなければ、特A級のハッカーでもない。彼女は“小娘”なのであり、サイコパスは濁らずとも精神は大きく掻き乱される。そして、彼女に感情移入し、楽しく物語を鑑賞していた我々もまた、同時に深い混迷と落胆の渦中に巻き込まれるのである。

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 確かに、『攻殻』の世界に青島くんを放り込んだ本シリーズにおいては、そんな“むき出しの理不尽”も物語に必然のギミックであるのかもしれない。しかし、女性受けを狙って敢えてやっている、とやや穿った見方をすることも充分に可能であろう。とかく女性というのは、ドロドロした話が好きだ。彼女たちは、自らのサイコパスを常時微弱に濁らせておくことで、規定値を超えないよう調整する人種である。筆者のように日々ゾンビ映画やモンスターパニック映画を鑑賞することでなんとかパールホワイトを保っているような種族には、到底理解できる代物ではない。

 まぁ、冗談はさておき、事実、筆者が鑑賞した上映回では、女性客が多かった。一人でバリバリとポップコーンを食べ、満足げにシアターを後にしたうら若き乙女もいたし、おそらくは親子であろうOL風の女性とおばさまというペアもいた。彼女らにとっては、狡噛さんのスイートな魅力(そういえば、宜野座さんとのセクシー共闘シーンもあったな。)や荒々しい男気を堪能でき、かつ、どことなく世の残虐性に触れることもできる本作は、紛れもない名作であったことだろう。

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 ちなみに、OL風女性とおばさまの鑑賞後の感想を筆者は盗み聞きした。映画館に足を運ぶ楽しみの一つには、鑑賞後、できたてホヤホヤの他人の感想を聞くことができる、ということもある。まぁ、あまり良い趣味とは言い難いが。

 OL風女性は、場内が明転するや否やこう言った。「やっぱりめっちゃおもしろかったなぁ。」 おばさまは、続けてこう言った。「わたしは早くあのシュシュの子(霜月監視官のことと思われる。)がサイコパス検査に引っかかれ!って思ってんねんけど!」

 まず、OL風女性に言いたい。「いや、そこまではおもしろくなかったやろ。」と。そして、おばさまに問いたい。「あなたは今、何色ですか?」と。

点数:75/100点
 総じて言えば、既存シリーズの世界観を壊すことなく、舞台を世界に移した手腕は天晴れの一言に尽きる。ただ、それ以上のものは無かった。とはいえ、これは決して悪口ではない。既存シリーズにハマった者が劇場版に望むべきことは、頼むから余計なスケールアップとかして世界観壊すなよ、なのであるから、そういった意味で本作は非常に良くできた作品だったと言えそうだ。さて、三連休も最終日。代償は既に払っている。全部、取り返しに行こうか。

(鑑賞日[初]:2015.1.11)
(劇場:TOHOシネマズ梅田)










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