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22
2015

[No.323] スガラムルディの魔女(Las brujas de Zugarramurdi) <78点>

CATEGORYホラー
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キャッチコピー:『このおとぎ話、予測不可能。』

 女は弱い男を支配するよりも、強い男に支配されたがる。
  ― アドルフ・ヒトラー

 ヒトラーの嘘つき!
  ― Mr. Alan Smithee

三文あらすじ:イエス・キリストや兵士に扮装し大道芸人に成り済ました5人組の強盗団が、白昼のマドリードで宝飾品店を襲撃。警察の包囲から逃げ切った失業中の三十路男ホセ(ウーゴ・シルバ)、彼の息子セルシオ(ガブリエル・デルガド)、女弁護士のヒモ男アントニオ(マリオ・カサス)は、通りかかったタクシー運転手マヌエル(ハイメ・オルドニェス)を脅して逃走する内、かつて魔女が火あぶりにされたという伝説の残る村“スガラムルディ”に迷い込む。それは、彼らと凶悪なスガラムルディの魔女(Las brujas de Zugarramurdi)との死闘の始まりだった・・・


~*~*~*~


 2015年2月22日(現地時間)は、第87回アカデミー賞の発表日だ。ハリウッドのドルビー・シアター(旧コダック・シアター)にて開催される授賞式の模様を全世界の映画ファンが楽しみに注目している。今年はどれが作品賞をとるのだろうな。まぁ、手堅く『バードマン』なんじゃないかしら、なんて、同賞にそこまで関心のない筆者などは、適当な予想を薄ぼんやりと思い巡らしている。ちなみに、日本時間では、明日2月23日が授賞式開催日となる。

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 さて、今回感想を書きたいのは、2014年、「スペインのアカデミー賞」と言われるゴヤ賞で10部門にノミネートされ、そのうち実に8部門を受賞した“傑作”ホラーコメディ。8部門も受賞した、と聞くと一見して極めて質の高い真の名作ドラマであるような印象を受けるが、実際のところ本作が受賞したのは、以下の8部門。

・助演女優賞
 (魔女マリチェ役 テレレ・パベス)
・編集賞
・美術賞
・プロダクション賞
・衣装デザイン賞
・メイク&ヘアメイク賞
・録音賞
・特殊効果賞



 つまり、アカデミー賞に引き直して考えるなら、本作が受賞したのは、ほとんどが全く“主要”では無い部門なのである。しかも、助演女優賞を受賞したテレレ・パベスがおばあちゃんであることを考えれば、この受賞はいわゆる“功労賞”なのであって、実質的には本作に与えられた主要部門など無い、という結論に容易に到達できる。したがって、本作に『カッコーの巣の上で』のような非の打ち所なき上質のドラマを期待してはいけない。『ベン・ハー』のような壮大な歴史スペクタクルを要求するのも以ての外だ。

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 全ての(B級)映画ファンが本作に期待すべきは、強盗団と魔女軍団とのノリノリな死闘。つまり、ロックンロール・バトル・アクションに他ならない。そして、そんな作品が過去にもあったことを我々は既に知っている。そう、筆者の敬愛するクエンティン・タランティーノが脚本と出演を担当し、彼の盟友ロバート・ロドリゲスが監督を務めた“怪作”、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』である。

 同作は、ジョージ・クルーニー、タランティーノ両名が演じる強盗殺人犯ゲッコー兄弟の極めてクールでファッキンな逃避行を描く前半と、一転して彼らと吸血鬼とのバイオレンスでロックンロールな死闘を描く後半に構成がバッツリ二分された奇妙な傑作。我々B級映画ファンにとっては、この奇抜な趣向ほど生唾を飲んでかぶりつきたいものも少ないだろうが、まぁ、各種映画賞の審査員を務めるような“真面目な”映画鑑賞者にとっては、ただの奇妙奇天烈なバカ映画としか映らないかもしれない。よって、『フロム・ダスク~』同様の構成と趣向を採用した本作が、ゴヤ賞において主要部門をほとんど貰えなかったのも、以上を勘案すれば至極当然、と納得出来るところであろう。

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 では、本作の中身についてであるが、大枠としては既に述べた通り、スペイン版『フロム・ダスク・ティル・ドーン』だと思って貰って概ね差し支えない。前半と後半で大胆に二分される構成もそうだし、登場人物の粋な会話や目を背けたくなるようなグロ描写という点でもそう。

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 本作の独自性が表れているのは、魔女と強盗団というキャラクターを借りて、“女”vs“男”というテーマを描いている部分である。本作に登場する魔女たちは、人間社会というか“男性社会”を強く憎んでおり、魔女=女性による男性の支配を画策している。一方で、強盗団たる男性メンバーたちは、みな一様に女性に対する“恐怖”や“嫌悪”に満ちた人生を歩んできた野郎共。

 気の強い妻シルビア(マカレナ・ゴメス)と離婚したホセは彼女を“魔女のような女だった”と形容し、美人女弁護士のヒモ男アントニオは交際する上でのコンプレックスを吐露する。また、偶発的に逃避行の巻き添えとなった憐れなタクシー運転手マヌエルは、ホセらと話す内に現在の妻に対する不満を自覚し、彼女との決別を決意するようになる。この辺りのキャラクター描写は非常に丁寧に行われているため、我々は、作品が描いていこうとするテーマをきちんと念頭に置いた上でその導き出す結末を待つことになるのである。

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 さぁ、有史以来決して互いを理解することなく、いつ果てるとも知らぬ憎しみと反目の道を歩んできた“男女”というものに、本作はいったいどのような答えを提示するのか。もちろん、ロックンロール・バトル・アクションたる本作に、深遠なドラマ性を期待するのは愚の骨頂だ。

 本作が提示するのは、男性の勝利という単刀直入でデリカシーの希薄な、雄にとっての“名回答”である。少なくとも、魔女の打倒、エバ(カロリーナ・バング)の裏切り、彼女とホセが結ばれるハッピーエンドから紡ぎ出すべき一義的な帰結は、そうならざるを得ないと思う。

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 したがって、本作を最後まで鑑賞した女性、あるいは、フェミニストの草食系男子は、激高のあまり卒倒してしまうことだろう。もちろん、本稿の好感度を気にする筆者としても、「やったぜ!」などという真意をここで明記するわけにはいかない。ただ、これだけははっきりと言える。本作は、全ての男子が一度は夢想する典型的な“少年漫画的サクセス・ストーリー”であり、大人になりきれないあなたや女性に恵まれない諸君が歓喜すべき“男の子のバイブル”なのである。

点数:78/100点
 いつくかの映画ブログを読んでみると、本作を低く評価する人もいるようである。彼らの性別や真意は分からないが、筆者的には、“女”vs“男”なんていうみんなが確答を期待すべきテーマをこんなロックンロール・バトル・アクションに盛り込んでしまったことに元凶があるような気がしている。観始めて「バカ映画じゃん」と一蹴しかけた観客は、本作のテーマに少しだけ「お?」と興味を持ち、本作が提示する愚直な回答に「やっぱりただのバカ映画じゃん」と呆れ果てる。そういった意味では、徹頭徹尾1ミリのメッセージ性も持たせずに描ききった『フロム・ダスク~』の方が、やはり秀逸な“バカ映画”だと言えそうである。

(鑑賞日[初]:2015.2.1)










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Tag:バカ映画 男には自分の世界がある これが女の生きる道 グロ注意

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