[No.327] インランド・エンパイア(Inland Empire) <56点>





キャッチコピー:『わたしも、世界も、乱れていく。』

 混沌こそ秩序。
 虚構こそ現実。
 永遠こそ刹那。
 矛盾こそ真理。

 ― わたしが享有する“内なる帝国”。

三文あらすじ:落ち目のハリウッド女優ニッキー・グレイス(ローラ・ダーン)は、映画監督キングスリー・スチュワート(ジェレミー・アイアンズ)最新作の主役に抜擢される。しかし、実はこの企画は、かつて主演2人の怪死によって制作が中止されたいわくつきの作品のリメイクだった。撮影が進むにつれて現実と映画が交錯し始めたニッキーは、次第に虚構の世界へと足を踏み入れていく・・・


~*~*~*~


 “カルトの帝王”との異名を欲しいままにする鬼才デヴィッド・リンチ。2006年制作の本作は、現時点での彼の最新作である。

ie1.jpg


 この監督の作品は、相変わらず本当に意味が分からない。1986年の『ブルー・ベルベット』以降、ほぼ全ての作品がわけワカメ。当ブログで既に感想を書いたものとしては、『ロスト・ハイウェイ』『マルホランド・ドライブ』があるが、この2作もまぁ本当にチンプンカンプンであった。とはいえ、この2作の難解さの原因は、単純に監督の説明不足にあった。逆に言えば、時系列とか各シーンの言いたいことなどがある程度理解できれば、作品全体に論理的な解釈を施すこともそう難しくはなかったのである(もちろん、筆者はあんまり理解できなかったのだが。)。

ie2.jpg


 ところが、本作の難解さは、上記2作を遙かに凌ぐ。なんせ本作にはちゃんとした脚本が無かったらしい。監督が思いついたシーンを書いたメモ用紙が俳優に配られ、彼らはそれを元に日々演技していた、というから驚きだ。はっきり言って、そんなもんはもう映画でも何でもない。もしかしたらデヴィッド・リンチ自身ですら、本作の明快で一貫した解説は持ち合わせていないのではないだろうか。

ie5.jpg


 そんなわけで、本作がデヴィッド・リンチの過去作と比較しても群を抜いて難解なのは、ある意味で当然のこと。本作を評論してやろう、なんていうのは、ある種、誰かの“夢”を他人が勝手に解説するようなもので、完全に荒唐無稽な行いに他ならない。我々映画ファンが本作鑑賞後にできることは、せいぜい“作品のコンセプト”だとか“制作の背景”みたいなところをデヴィッド・リンチ自身から聞くぐらいなもんじゃないだろうか。気分はモヤモヤで頭はトロトロなままだけど、それでも幾分かの溜飲は降りるかもしれない。

 ということで、本作を鑑賞し、かつ、さらなる情報を望む方は、以下のポッドキャストを参照していただきたい。



 この町山さんという人はスゴイな!確かに、ワンセンテンスごとに「はい。」が挿入されたり、話がすぐ散り散りになったりして若干聞きづらくもあるのだが、何と言っても巨匠たちとのコネクションがスゴイ。デヴィッド・リンチに直接聞けるなんて羨ましいことこの上無しである。しかも、タランティーノの自宅にも行ったことがあるとは…。中々にファッキンなサノバビッチではないか。

 彼の解説を聞けば、本作がどういった意図で作られたのか、とか、あのシーンはどういったシーンだったのか、といったところがまぁまぁ分かる。もちろん、それでも本作に対するわだかまりを完全に払拭することは難しいのだが、何も無いよりは遙かにマシだ。

ie4_20160726011951c3b.jpg


 それにしても、デヴィッド・リンチという人は、映画を何だと思っているのだろうな。“鬼才”とか“カルト”とか、そう言えば聞こえはいいけどさ。ここまでわけが分からないとなると、これはもはやオナニー以外の何ものでも無いと言いたくなる。

 そんなわけで、本作に対する筆者の評価を一言で言うと、こんなもんは観る価値すらない、おっぱいのシーン以外は!ということになるのである。

点数:56/100点
 町山さんの評論も素晴らしいが、実は、筆者の友人にもリンチファンが一人いる。当然のことながら、彼はリンチの自宅にお邪魔できるような人物ではないのだが、次に会ったとき、あるいは、本稿のコメントにてぜひとも本作の感想をご教示願いたい所存である。お待ちしている。

(鑑賞日[初]:2015.2.22)

インランド・エンパイア [DVD]

新品価格
¥1,000から
(2015/3/7 23:51時点)


帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺

新品価格
¥2,376から
(2015/3/7 23:54時点)


関連記事
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply





管理者にだけ表示を許可する

Trackback