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2015

[No.330] スキャナーズ(Scanners) <60点>

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キャッチコピー:『There are 4 billion people on earth. 237 are Scanners. They have the most terrifying powers ever created … and they are winning. 』

 乳を見せろよ、デコ助野郎…!

三文あらすじ:対象の神経細胞を撹乱させるテレパシーを生まれながらにして有した超能力者“スキャナーズ(Scanners)”。その能力ゆえ孤独な人生を送っていた男カメロン・ベイル(スティーヴン・ラック)は、国際的警備保障会社コンセックに雇われた博士ポール・ルース(パトリック・マクグーハン)に拾われ、自身の能力とその使い方について学ぶ。彼の使命は、“スキャナーズ”による世界支配を目論む最強の能力者ダリル・レボック(マイケル・アイアンサイド)を打倒することだった・・・


~*~*~*~


 1981年公開の本作は、現在でも熱狂的かつカルト的な人気を誇る超能力バトルものの隠れた傑作である。若造たる我々にもイメージしやすく言うなら、おそらく『AKIRA』を引き合いに出すのがよかろう。確かに、同作の能力者が扱う力は周囲への物理的干渉力を持ったいわゆる“サイコキネシス”だったのに対して、本作の“スキャナーズ”が有する能力は、対象の神経細胞にのみ効力を発揮する類のものであるから厳密に言えば両作の趣は異なる。しかし、“スタンド”だったり“念能力”だったり“悪魔の実”だったりといった、いわば“ハデな能力”に慣れた我々からすれば、上記2作品の能力バトルは、どちらも比較的“静的な戦い”として共通のものであろう。

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 結局のところ、本作においてビジュアル的な見せ場と言えるのは、序盤における頭大爆発のシーンと、終盤における超絶グロ兄弟喧嘩のシークエンスぐらい。CG技術など存在しない当時からすれば確かに卒倒必至の衝撃シーンだったのだろうが、映像のリアルさ向上に反比例してグロ描写のモラルが低下し続けている昨今からすれば、そこまで騒ぎ立てるものでもない。

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 とはいえ、それはやはり浅はかでゆとりに溢れた現代の鑑賞者による戯れ言。平凡な脳神経細胞をフル稼働させて当時の水準に思いを致せば、本作で繰り広げられる“質量を持ったスプラッター”がいかに素晴らしく、また、味わい深いものであるかが分かるだろう。同時に、特殊メイクを担当したディック・スミスに今さらの賛辞を送り、思わず脱帽してしまうのも無理からぬところである。

 スタッフという観点で本作を見るなら、特筆すべきは当然、監督であるデヴィッド・クローネンバーグを置いて他にはいない。当ブログでもこれまで何作かの彼の作品を紹介してきた。あるときはめくるめく幻想の世界、あるときは荒廃したゾンビの世界、またあるときは厳格なギャングの世界。彼が描き出す物語は多岐にわたるが、その全てに共通するキーワードは“変態”である。

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 そういった視点を持って本作を鑑賞すると、いささかの物足りなさを禁じ得ない。つまり、『ビデオ・ドローム』における“腹部の女性器”や、『ラビッド』における“腋のアナル”や、『イースタン・プロミス』における“キン○マ丸見え風呂場大乱闘”のような“変態要素”が随分と希薄。もとより『ザ・フライ』で幼き筆者にトラウマを与えたようなグロと切なさの完璧な融合も本作では見られない。

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 本作を端的に評するなら、実は、かなり正統派な少年漫画ということになる。そりゃあ、確かに、前述のような映画史に残るべきグロシーンはそこかしこに散見される。しかし、ことプロットに目を向けてみれば、そこには典型的な“男子のサクセスストーリー”が顔を覗かせているのである。選ばれし能力者という主人公だったり、彼を見いだす師匠的おじいさんだったり、同じ能力を有する最強のボスだったり、そんな彼の目的が世界征服だったり、主人公と美女の出会いがあったり、当然2人の冒険があったり、実はボスが主人公の実兄だったり、最後には死闘の末勝利し、美女とハッピーエンドを迎えたり。

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 まぁ、このような感想も、実は本作があまりにも偉大なカルト的傑作たることの単なる裏返しでしかないのかもしれない。すなわち、本作以降、無数のクリエーターがそのプロットを真似たため、現在の我々からすれば“ベタだなぁ”という本末転倒で舎本逐末で釈根注枝で冠履倒易な読後感を抱くだけの話。これはプロットではないが、事実、冒頭で述べた『AKIRA』の人体損壊シーンが本作に影響を受けている、というのは、有名な話だ。

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 あ、でも、そう言えば本作には少年漫画の最重要ギミックである“おっぱい”が全然登場しないじゃないか!これはけしからん!…やっぱり、本作は、まだまだ“正統派”だったころのクローネンバーグが描く血湧き肉躍るピュアな“ヒーロー譚”と、才気溢れるディック・スミスが仕掛ける血しぶき飛び散り肉はじけ飛ぶゴアな“スプラッター”のみを刮目すべき傑作なのであろう。

点数:60/100点
 カナダ生まれの変態監督が放つ元祖“能力者バトルもの”。なんかけっこう前にリメイクの話があったように思うが、その後とんと続報を聞かないということは、ご多分に漏れずポシャッてしまったのだろうか。もしリメイクするのなら、プロットの軸はそのまま、スプラッター要素やストーリーの陰湿さをパワーアップさせたもっとピーキーな作品を個人的には期待している。

(鑑賞者[初]:2015.3.7)










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