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01
2015

[No.335] ハード・キャンディ(Hard Candy) <62点>

CATEGORYサスペンス




キャッチコピー:『赤ずきんが仕掛けるオオカミへのゲーム』

 狼たちの沈黙。

三文あらすじ:32歳のカメラマン、ジェフ・コールヴァー(パトリック・ウィルソン)は、出会い系サイトで知り合った14歳の少女ヘイリー・スターク(エレン・ペイジ)と会う約束を取り付ける。意気投合した彼女を自宅に連れ込んだジェフだったが、ヘイリーが作ったスクリュードライバーを飲み卒倒。目を覚ましたとき、彼は本性を現した残虐な少女の手によって、椅子に縛り付けられていた・・・


~*~*~*~


 本作は、個人的に以前から並々ならぬ期待を持って注目していた作品。というのも、筆者は少し前からいわゆる“拷問系”の作品を鑑賞出来るようになり、それどころか、凄惨で執拗なめくるめく暴力の世界に少しハマってすらいたのである。

 同ジャンルの最もポピュラーな縦軸というのは、イカれた犯罪者に囚われた罪なき一般人がただただシッチャカメッチャカに拷問を受ける、というものだろう。比較的最近の例で言うなら、『ホステル』だとか『ムカデ人間』だとかが分かりやすいかもしれない。また、『CUBE』『SAW』なんかも、広い意味での“拷問系”作品と言えるだろう。以上の作品では、やはり囚われの被害者たちは、みな一様に“善人”であった。確かに、ジグソウの価値観からすれば“悪人”と呼ぶべき者もいただろうけど、少なくとも法規範という観点から言えば、ゴードン先生もアダムも“善人”に違いない。

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 しかし、あらすじから推して図ることのできる本作のストーリーは、やや特異である。つまり、本作で拷問を受けるであろうジェフ・コールダーというおっさんは、どうやら真性のロリコンである様子。対して、これを拷問する加害者は、いたいけな少女だと言うのである。“拷問系”における従来型の被害者・加害者構図を逆転させた本作のこの独自性に筆者は感銘を受けた。そして、同時に、最終的には相対的に見てやはり従来型の構図に落ち着くのではないか、と予想したのだが、それは、すなわち、社会的に“悪人”であるロリコン親父が“善人”に思えるほどの圧倒的狂気と残虐性を一介の少女が発揮していくのではなかろうか、という夢想である。なんてワクワクする“拷問系”なんだ!と、血に飢えた筆者が小躍りしながら鑑賞に望んだことは、もはや言うまでもあるまい。

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 さて、実際の本作は、以上のような筆者の不健康な妄想とは少し趣の違う作品だ。“拷問系”であることは間違いないのだが、そこにはサスペンスの要素がやや色濃く添えられている。ヘイリーが言っていることは真実なんだろうか。つまり、ジェフは本当にロリコンなんだろうか、そして、本当に未解決の少女殺人事件の犯人なのだろうか。終盤に至るまではこの辺りが観客にも分からないので、ヘイリーの仕掛ける拷問に顔を青ざめながらも、我々は物語の顛末をスリリングに見守るのである。

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 結論から言えば、ヘイリーの言っていることは真実であり、ジェフは共犯者と共に少女をイタズラの末に殺していた、ということが最後に判明する。このラストでのネタばらしは中々上手い。ヘイリーが、おそらくはジェフにしたのと同様の過程を経た上で、実はその共犯者を既に殺していた(正確には自殺に追い込んでいた)、ということをたった一言でスパッと表現する。なんだかドンデン返しを見せられたような感覚にもなる秀逸なクライマックスであった。

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 その他、本作で特筆しておくべきことは、以下の2点である。

 まず、本作で描かれる“拷問”は、その手のジャンルの中でもかなり偏ったものだ、ということ。というか、本作の拷問は、ほぼジェフの去勢に集約されていると言っていい。

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 男性諸君、これはキツイぜ。このとき既にジェフが違法な幼女ポルノを愛好する真性のロリコンであるということは分かっているのだが、それでも男性鑑賞者の9割以上が「やめてあげてよ!」と思わず声を上げてしまうことだろう。それくらいジェフの恐怖が克明に描かれ、かつ、その描写は、およそ通常の感覚を持つ男性が去勢に対して想像する恐怖と概ね相違無いリアルなものなのである。ましてや、この段階では、まだ本当にジェフが殺人まで犯しているかは分からないのだから、「ロリコンぐらいいいじゃない!男性だもの!」と声を荒げたとして、誰が我々を責められようか。

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 もう1点特筆しておくべきことは、魔性の去勢女ヘイリーを演じるエレン・ペイジの好演である。本作で批評家たちの目にとまり、『JUNO/ジュノ』で爆発的に注目された若手実力派女優。筆者的には、『スーパー!』のエキセントリックな役どころと『インセプション』のアリアドネ役が印象的だ。もちろん、本作の彼女も素晴らしい。ヘイリーという正義のサイコパスは、間違いなくエレン・ペイジという女優の代表的キャラクターに挙げるべきであろう。

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 いたいけだけど大人びていて、キュートだけどグロテスク。そんな相反するいくつもの要素を纏った“血みどろの赤ずきん”

 筆者の愚直な感想を言うと、こいつめっちゃムカツク!となる。彼女はことあるごとにジェフを小馬鹿にし、嘲笑し、見下し、蔑み、そして、挙げ句の果てにはキンタマを切り落としてしまう(本当に切り落としたかはやや議論の余地あり。)のだが、その際の所作全てにどこか“子供が背伸びしている感”が漂っているのである。だから、最初の内こそ「この子供恐い・・・」と縮み上がっているものの、こと去勢という事態に直面するに至って「お前ええかげんにせぇよ!」という怒りの気持ちがこみ上げてくる。

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 しかし、彼女に対するこのような感想は、決して間違った見方ではないように思う。いくら残虐な行いをしようとも所詮は“子供”なんだ、という我々の“侮り”は、“ジェフは殺人犯か否か”という本作のサスペンス的本質をラストまで新鮮に保つための最高の保存料。これがもっと完成された“大人の演技”だったなら、我々は、すぐさまジェフの有罪を確信してしまい、ラストでのネタばらしも「ふ~ん」てなもんでキンタマ掻きながら眺めていたことだろう。また、去勢のシークエンスにおける緊張感や焦燥感もずいぶん質素なものだったに違いない。

 総じて、“拷問系”としては一風変わっているけれど、名作に近い良作だった、というのが全体としての感想である。

点数:62/100点
 “男はオオカミなのよ、気を付けなさい”なんて一昔前は言われていたらしいが、今やそんなことはない。オオカミこそが狙われる時代。我々は、声を押し殺して、ただ粛々と健全なエロを楽しまなければならないのである。

(鑑賞日[初]:2015.3.29)






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Tag:グロ注意 拷問系 クソ女

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