[No.338] ルーパー(Looper) <82点>





キャッチコピー:『任務:未来から来る犯罪者を消せ 標的:30年後の自分』

 円環のお断り!

三文あらすじ:2044年のアメリカ、カンザス州、ジョー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は、未来の犯罪組織の依頼で過去にタイムトラベルしてくる標的を処理する殺し屋、通称“ルーパー(Looper)”を生業にしていた。しかし、ある依頼で処理することになったのは、30年後の未来からやってきた自分自身(ブルース・ウィリス)。未来の自分を殺せず取り逃がしてしまったジョーは、彼の標的が30年後に犯罪王“レインメーカー”となる幼い子供であることを知る・・・


~*~*~*~


 本作は、今最も注目すべき映画監督の一人ライアン・ジョンソンが手がけたSFサスペンスアクションである。捜査官が自分自身と向き合いながら、かつ、巨大組織に狙われながら謎を追っていくというストーリーラインを未来の舞台設定やガジェット群とともに楽しむ、という点で、雰囲気は少し『マイノリティ・リポート』を彷彿とさせる。

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 さて、このライアン・ジョンソンという監督であるが、名前を聞いても全くピンと来ない。それもそのはずで、本作以前に彼が撮った長編映画は、2005年の『BRICK ブリック』と2009年の『ブラザーズ・ブルーム』の2本のみ。前者は何やらサンダンスで賞を取ったらしく、そういえば確かに聞いたことがある気もする。しかし、後者に関しては、そもそも日本公開もされていないし、さっぱり分からない。とはいえ、筆者同様、ライアン・ジョンソンにこれまで全く興味が無かったという人もこの機会にしっかり覚えておこう。なんと、彼は、『スター・ウォーズ エピソード8(仮)』の監督に抜擢されたのである。しかも、続く『スター・ウォーズ エピソード9(仮)』の脚本も務めるというのだから、我々としては、必然要チェックの要人、心の映画ノートに赤ペンで記しておくべきマストの映画人に違いない。

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 さて、そんなライアン・ジョンソンが監督した初の大作である本作の出来は、と言うと、個人的にはしっかりした良作だと感じた。

 確かに、本作は、終盤で一挙に“トンデモ映画”の様相を呈する。すなわち、未来の大犯罪者である小さな少年シド(ピアース・ガニォン)が有するTK(テレキネシス)の強大さが判明する展開である。観てもらえば分かるが、これはもう完全に『AKIRA』。より正確には、同じ大友克洋の『童夢』がモデルになっているらしい。一応、序盤からTKという能力については前フリされていたものの、やはりシドの“AKIRA化”は、それまでの雰囲気からやや逸脱しているように感じずにはいられない。それでも、完膚無きまでに作品の趣きを破壊しているわけでもなく、むしろ、なぜシドが未来世界において史上最悪の大犯罪者にまでのし上がることができたのか、という部分を説明するためのかなり説得的なギミックであると思う。

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 筆者が個人的に憤慨したのは、ヒロインの淫乱さである。エミリー・ブラント演じる本作のヒロインにしてシドの母でもあるサラは、大作アクション映画のヒロインらしく、結局主人公であるジョーとセックスに興じる。まぁ、それはそうだろう。アクション映画なんてものは、銃撃戦とカーチェイスとセックスがあれば大抵成り立つものであり、どんなに主人公と犬猿の仲にあるヒロインだって、みな往々にして最終的にはセックスをする。これは、有史以来繰り返されてきた途切れることなき理(ことわり)なのである。

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 しかし、サラは強いヒロインである。あたかもサラ・コナーであるかのように、自身の息子を守るため、タイムトラベルのいざこざに巻き込まれながらも、凜と強くある女性である。そんなサラが、ある夜、ネグリジェから覗く美しい太ももを自らさわりさわりし、なにやらアンニュイな表情を浮かべ、非常時に鳴らすことで外にいるジョーに危機を知らせるべきカエルのデバイスをゲコゲコと騒がし、なにごとと駆け込んできたジョーに盛りの付いた猫さながらむしゃぶりつく、という展開は、健全な変態男子として到底看過できるものではない。

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 この展開こそ、本作において最も唐突なそれ。前述の“シドAKIRA化”など取るに足らぬくらい、なんでそうなったん?!と製作者を問いただしたい謎のシークエンスである。もちろん、エミリー・ブラントの美貌を前に易々と応じてしまったヤング・ジョーを責めることはできないが、叶うことならこんな淫乱女のお誘いなんか鋼鉄の意志でお断りしてもらいたかったところである。

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点数:82/100点
 重箱の隅を突いたような悪口を書いたけれど、全体としては、非常に秀逸なSFサスペンスアクション。前述のエミリー・ブラントであったり、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットであったりといった今注目の若手俳優陣の演技も素晴らしい。また、当然、筆者のフェイバリット・アクターであるブルース・ウィリスも相変わらず良い味の演技。総じて、ここ2~3年では個人的SF映画のベスト10に入れてもいいような良作であった。

(鑑賞日[初]:2015.4.12)

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