05
2015

[No.343] フィフス・エレメント(The Fifth Element) <72点>

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キャッチコピー:『誰も見たことのない未来。』

 振り向くな、決してためらうな。

三文あらすじ:2214年、巨大かつ邪悪なエネルギー体“ミスター・シャドー”が地球に接近しつつあった。一方、元特殊部隊のエリート兵士で今はタクシー運転手をしているコーベン・ダラス(ブルース・ウィリス)は、ある日、赤い髪の謎の少女“リールー”(ミラ・ジョボヴィッチ)を偶然にも助ける。彼女を神父コーネリアス(イアン・ホルム)の元へ届けたコーベンは、リールーこそが地球滅亡を防ぐただ一つの鍵だと知らされるが、そんな彼らに、“ミスター・シャドー”の手下である武器商人ゾーグ(ゲイリー・オールドマン)の魔の手が迫っていた・・・


~*~*~*~


 “バカSF超大作”として言わずと知れた本作『フィフス・エレメント』。監督は、これまた知らぬ者のない、フランスが生んだ名(あるいは“迷”)監督リュック・ベッソンである。

 本作を一言で評すなら、当然“リュック・ベッソン版『スター・ウォーズ』”ということになる。この点に疑義を差し挟む人はいないだろう。

 ともすれば辟易とすらしそうになる個性的な登場人物たち。彼らが歩く空間はみなことごとく独創的であり、我々は、そこに確固たる“世界”の存在を確信する。今やファンタジー寄りのSFとしては唯一無二の金字塔と言ってもよい『スター・ウォーズ』が人々を惹き付けた一番の魅力はやはりその“世界観”にあったと思われるが、本作においても殊“世界観”という点では、非常に素晴らしいものがある。

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 しかしながら、本作は、『スター・ウォーズ』ほどの大傑作にはなれなかった。筆者の“個人的推論にのっとった映画評論”によれば、その原因は、本作のプロットがいくらなんでもガキっぽすぎるという点にある。

 まず、5つ目のエレメントが“愛”というのがサムい。我等がブルース・ウィリスが奮闘しているとはいえ、真面目な顔して“愛”などと宣っている主人公を見ると、こちらが赤面してしまう。まぁ、しかし、“愛”について真摯に描いているSFやアクションというのは巷に多く、本作だけに特有の要素ではないのもまた事実。筆者の批判は既にもろくも崩れそうなのだが、ある人が“愛”について「諦めないことさ」と言っていたので、もう少し続けることにする。

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 筆者が思うに、本作を観た者の多くが赤面し、ガキっぽいと断じる最大の原因は、プロットと登場人物のチグハグさ、にある。そこでもう一度本作の基本的なプロットを全体として見てみると・・・

 “ある日偶然空から降ってきた少女に恋したおっさんが、世界に破滅をもたらさんとする巨悪から少女と世界を守るため奮闘する”



 …ん?どこかで見たことのあるストーリーのような気がしてきた。ちょっとだけ書き直してみよう。

 “ある日偶然空から降ってきた少女に恋した「少年」が、世界に破滅をもたらさんとする巨悪から少女と世界を守るため奮闘する”



 そう、本作のプロットは、実はほとんど『天空の城ラピュタ』なのである。だけれども、『ラピュタ』が真の傑作たり得たのは、誰もが少年のころ憧れたベタな冒険譚の中で、パズーという無垢で勇気ある「少年」が奮闘していたからではなかっただろうか。同様のピュアなプロットを採用し、しかし、主人公がハゲかけた中年のおっさんである、というそのチグハグさこそ、本作を観た数多のおっさんが赤面した所以に違いない。

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 つまり、本作のプロットに対してみなが抱きちな“ガキっぽい”という印象は実は逆で、本当は、“主人公がおっさんすぎる”のである。思えば、他の作品と比較して本作で謳われる“愛”が相当うすら寒かったのも、ブルース・ウィリスというゴリゴリのおっさんが口にしていたからではなかったか。そういうわけで、筆者は、本作には、火・水・土・風・愛に次ぐ「若さ」というエレメントが欠如していたと考えるのである。

点数:72/100点
 偉そうに批判めいたことを述べてみたけれど、まぁ“SF”なんていうジャンルは、つまるところ“ガキっぽい”ものである。また、そうあり続けなければならないものである。それに、純粋な心で以て鑑賞する限り、なんだかんだで本作は非常におもしろい。特に、様々な登場人物を巧妙に配置・展開した脚本は秀逸。名優ゲイリー・オールドマン演じるゾーグは本作の実質的なラスボスであるにも関わらず、主人公であるコーベンと作中ほぼ一切顔を合わせないのだが、これはこの手の映画にしては極めて異例の事態である。なおかつ、そのようなトリッキーな展開でありながらにして、ちゃんと違和感なくクライマックスを演出しているあたり、やはり一級の傑作という技量と風格を存分に感じる。そう考えると、筆者は名作に対してとても無礼な罵詈雑言をぶつけたということになるだろう。でも、ある人は「振り向かないことさ」とも言っていたので、いつまでも若くありたい筆者は、特に訂正も謝罪もすることなく、このまま本稿を終えたいと思う。

(鑑賞日:2015.4.19)










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