[No.342] マッドマックス 怒りのデス・ロード(Mad Max:Fury Road) <98点>





キャッチコピー:『WHAT A LOVELY DAY.』

 What A Perfect "ReMAD".

三文あらすじ:核大戦の末、ほとんどの地表が砂漠化し荒廃した世界“ウェイストランド”。元警官のマックス・ロカタンスキー(トム・ハーディ)は、かつて救えなかった愛する者の亡霊に苛まれながら放浪する内、水や石油を独占し、人民を恐怖で支配するイモータン・ジョー(ヒュー・キース・バーン)の一味に捕らえられ、彼らの砦“シタデル”に連行される。脱出を試みるマックスは、ジョーが受胎・出産目的で監禁する彼の妻たちを解放するため反乱を企てた大隊長フュリオサ(シャーリーズ・セロン)と共に、決死の逃亡を試みることになるのだが・・・


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 1979年公開のB級アクション映画『マッドマックス』。監督であるジョージ・ミラーの名を世界に知らしめ、マックスを演じたメル・ギブソンを一躍スターダムにのし上げた映画史に残る傑作である。その後、1985年公開の第3作『サンダードーム』までが制作されるに至り、オーストラリアが生んだ狂気と荒廃の物語は、いったんその幕を下ろすことになる。そして、27年後の2015年。長らくの沈黙を破り、シリーズの創始者ジョージ・ミラー自身の手でリブートされたのが、本作『怒りのデス・ロード』。始めに言っておく。本作は、大傑作である。少なくとも、筆者にとっては、2015年のNo.1だ。

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 近年、本作のような経緯でリブートされる作品が多い。例えば、当ブログでも以前感想を書いた『死霊のはらわた』なんかがそうだ。同作も、かつて3作に渡り制作されたかつての人気シリーズを現代に蘇らせた企画だったわけだが、このような場合、往年のファンは、往々にして完膚無きまでの不完全燃焼感に苛まれることになる。その原因たる部分をやや具体的に言葉にするなら、なんだかゴチャゴチャした余計な設定が付加されている、であったり、なにやらかつての勢いが衰えている、であったりということになるだろう。つまり、我々おっさんファンからすれば、いや、コレじゃないんだよなぁ、という感想を抱くことがほとんどなのである。

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 では、筆者を含めた往年の『マッドマックス』ファンは、本作を観てどのような感想を抱くか。公開から悠久に等しい怠惰な期間を経て鑑賞した筆者のような不届き者が偉そうに述べるまでもなく、国内外の映画ファンの反応を見るにそれは瞭然であろう。すなわち、コレだよ!コレこそが『マッドマックス』なんだよ!イエーイ!!イモータン!!!ジョーーー!!!!、である。

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 『マッドマックス』という映画を構成していた要素は、車と砂漠と暴力である。この3つだけあればいい。このシンプルなエンターテイメント性に我々おっさんたちは歓喜し熱中したのである。したがって、ストーリーや展開運びといった部分は、極めて簡素なものでかまわない。第1作の内容を改めて考えてみれば、「最愛の妻子をチンピラに殺された警官が彼らを血祭りにあげる映画」、であるし、よりスケールの大きくなった第2作にしても、結局は、「一般人とチンピラの喧嘩に立ち会った元警官がチンピラにボコられてブチ切れ、チンピラを血祭りにあげる」、というただそれだけの作品。この手のシリーズものの性としてなんだかワチャワチャしたアドベンチャー指向になってしまった第3作は、ここでは無視しよう。

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 本作も次のような簡潔なセンテンスで以て評することのできる作品である。すなわち、「元警官が女どもと共にチンピラを血祭りにあげながら逃げて行き、チンピラを血祭りにあげながら戻ってくる話」

 このシンプルさが本当に本当に素晴らしい。本作中盤までの目的地は、フュリオサがその存在を主張する緑の楽園“グリーンランド”。荒廃した世界で伝説の楽園を求めるというコンセプトを他の例に例えるなら『ウォーター・ワールド』だろうか(もちろん、数多ある同様のプロットが全て『マッドマックス』に起源を持つということは、お察しの通りである。)。しかし、本作では、物語中盤、件の“グリーンランド”など既に消え果てた、ということが判明する。ここからが斬新。マックス一行は、浪漫を求めて別の新天地を目指すわけでもなく、現実を受け入れ砂漠で強く生きていくことを決意するわけでもなく、なんと元来た道を戻っていくのである。

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 この唐突で荒唐無稽な展開運びに拒否反応を示した観客は多いだろう。しかし、『マッドマックス』はこれでいいのである。そもそも、B級アクション映画なんてものは、アクションが凄ければそれでよい。そこには、そこはかなる無常観も深遠なる哲学も無用である。分かりやすいのはいわゆる“カンフー映画”であり、同ジャンルのストーリーラインというのは、例えば“カンフーの達人である青年が、攫われた自分の飼いゾウを助けるためにチンピラたちを殴り倒していく”であるとか、“カンフーの達人である少女が、親の債権を取り立てるためチンピラたちを殴り倒していく”であったりといった、良く分からない動機によるものが多い。つまるところ、B級アクションにおけるストーリーは、アクションを展開するための単なる舞台でしかないのである。

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 本作では、マックスたちの往路と復路、この2つの舞台で極上のカーアクションが展開される。そして、これがまた本当に素晴らしい。スピード感、センス、残虐性は、かつての勢いを微塵も弱めていない。それでいて、最新のSFXによる映像が発するパワースケールは、筆舌に尽くしがたい圧倒的な迫力。これなんだよ。“本当のリメイク作品”というのは、これのことなんだよ!

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 冒頭で述べた『死霊のはらわた』や『インディ・ジョーンズ』なんかが為し得なかった“完璧なリメイク”。筆者はこれまで個人的に、4作以上作られたシリーズもので当初のおもしろさを維持できていたのは『リーサル・ウェポン』シリーズのみである、との持論を吹聴していたのだが、本作の鑑賞を以て翻意し、今後は『マッドマックス』シリーズも加えることにしようと思う。

点数:98/100点
 27年の幕間があったとは到底思えない空前絶後の傑作リメイク。とはいえ、筆者が感動したのは、本作の“リメイクとしての素晴らしさ”であるので、『マッドマックス』をこれまで知らなかった、という人には実はそこまで痛烈におすすめできるわけではなかったりもする。

(鑑賞日[初]:2015.7.3)
(劇場:TOHOシネマズ梅田)

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